「血尿の色」で”出血部位”を見分けることができるのか?【医師監修】

血尿の色調は出血部位や尿の状態、薬剤や食品の影響などさまざまな要因により変化します。医学的には色調だけでなく、随伴症状や尿検査、画像検査を総合的に評価し原因を特定します。薬剤や食品による着色との鑑別も重要であり、真の血尿かどうかを確認するには尿検査が有用です。ここでは尿の色と出血部位の関連、薬剤や食品による着色との区別について詳しく説明します。

監修医師:
村上 知彦(薬院ひ尿器科医院)
血尿の色と病態の関連|医学的な見分け方
血尿の色調は、出血の部位や程度、尿のpH、尿の濃度、薬剤や食品の影響など、さまざまな要因により変化します。医学的には、血尿の色調だけでなく、随伴症状や尿検査の結果、画像検査などを総合的に評価し、原因を特定します。
尿の色と出血部位の関連
尿の色は、出血部位によって異なる特徴を示す傾向があります。腎臓からの出血では、血液が尿中で長時間経過するため、暗赤色や茶褐色、コーラ様の色調を示すことがあります。糸球体腎炎では、赤血球が糸球体を通過する際に変形し、尿中に変形赤血球が認められることが特徴です。
尿管からの出血では、結石が粘膜を傷つけることで暗赤色の血尿が出現します。結石の移動に伴い激しい痛みが生じ、血尿の程度も変動します。膀胱からの出血では、鮮やかな赤色の血尿が見られ、排尿時の痛みや頻尿を伴うことが多いです。
尿道からの出血では、排尿の始めに血尿が濃く、後半は薄くなる初期血尿が特徴です。尿道損傷やカテーテル留置による出血で見られます。前立腺からの出血では、排尿の最後に血尿が濃くなる終末血尿が見られることがあります。
しかし、これらはあくまで一般的な傾向であり、実際には精密検査を行わなければ、色だけで正確な出血部位や原因を特定することは不可能です。「茶色いから重くない」といった自己判断は非常に危険ですので、どのような色であっても必ず医療機関を受診してください。
薬剤や食品による尿の着色との区別
尿が赤やピンク、茶褐色に着色しても、必ずしも血尿とは限りません。薬剤や食品による着色を鑑別することが重要です。ビタミンB群やリファンピシン、抗凝固薬のワルファリン、抗菌薬のメトロニダゾールなどを服用すると、尿が赤やオレンジ、茶褐色に着色することがあります。
食品では、ビーツやブラックベリー、ルバーブ、赤色の食用色素などを摂取すると、尿が赤やピンクに着色することがあります。また、激しい運動後には、筋肉からミオグロビンが漏出し尿が茶褐色になることがあります。これはミオグロビン尿と呼ばれ、横紋筋融解症の一症状として現れることもあります。
真の血尿かどうかを確認するには、尿検査が有用です。尿試験紙による潜血反応を確認し、尿を遠心分離して顕微鏡で赤血球の有無を観察します。赤血球が検出されれば真の血尿と判断され、原因疾患の精査が進められます。薬剤や食品による着色であれば、赤血球は検出されません。
まとめ
血尿は、さまざまな原因により生じる重要なサインです。軽度の炎症から重大な疾患まで幅広い可能性があるため、血尿を自覚した際は自己判断で放置せず、速やかに医療機関を受診することが大切です。男性では前立腺肥大症や膀胱がん、女性では膀胱炎や腎盂腎炎が頻度の高い原因であり、年齢や性別、随伴症状によって鑑別すべき疾患が異なります。
尿の色調や排尿時の症状を観察し、医師に正確に伝えることで、適切な診断と治療につながります。鮮やかな赤色の血尿は膀胱や尿道からの出血を示唆し、暗赤色や茶褐色の血尿は腎臓や尿管からの出血を示唆することが多いです。また、痛みや発熱、頻尿などの随伴症状も重要な情報となります。
早期発見により治療選択肢が広がり、予後の改善が期待できるため、血尿を軽視せず専門医に相談しましょう。特に40歳以上で肉眼的血尿が出現した場合は、悪性腫瘍の可能性を念頭に置いた精密検査が推奨されます。健康診断で顕微鏡的血尿を指摘された場合も、放置せず医師に相談し、必要に応じて精密検査を受けることが重要です。適切な対応により、安心して日常生活を送ることができます。
参考文献