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「ハンバーガーに含まれる脂質」は何を上昇させる?【医師監修】

 公開日:2026/02/11
ハンバーガーに含まれる脂質と健康リスク

ハンバーガーには、動物性脂肪を中心とした脂質が豊富に含まれています。一般的なハンバーガー1個で15g〜35g、高カロリーなものでは40g以上の脂質を摂取することもあります。特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は、血中のLDLコレステロールを増加させ、動脈硬化のリスクを高める可能性があります。動脈硬化は自覚症状がないまま進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患につながることもあるため注意が必要です。脂質の総量だけでなく、その質にも目を向け、不飽和脂肪酸を含む食品をバランスよく取り入れることが大切です。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

ハンバーガーに含まれる脂質の種類と健康への影響

ハンバーガーの栄養面でカロリー以上に注意すべきなのが、脂質の含有量とその「質」です。脂質の種類や摂取量によっては、血中脂質プロファイルに悪影響を及ぼし、長期的に健康を損なう可能性があります。

脂質の種類と健康への影響

脂質には、大きく分けて飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、そしてトランス脂肪酸などの種類があり、それぞれ身体への影響が大きく異なります。ハンバーガーのパティ(特に牛肉)やチーズに含まれる動物性脂肪は、主に飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸はエネルギー源として重要ですが、過剰に摂取すると血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)を増加させ、血管壁にプラークを形成し、動脈硬化のリスクを高めることが科学的に報告されています。

また、揚げ物であるフライドポテトや、一部のバンズや菓子類の製造過程で使用されるショートニングやマーガリンには、トランス脂肪酸が含まれる場合があります。トランス脂肪酸は、国際的に使用制限や表示義務化が進んでいます。日本では欧米ほどの厳しい法的規制はありませんが、多くの企業が自主的に低減に取り組んでいます。

一方、青魚やナッツ、アボカド、オリーブオイルなどに含まれる不飽和脂肪酸(オメガ3系やオメガ9系など)は、適量であれば血中脂質を改善し、心血管系を保護する働きがあるとされています。しかし、一般的なハンバーガーにはこれらの健康的な脂質はほとんど含まれておらず、脂質の質という観点では改善の余地があると言えます。

ハンバーガー1個あたりの脂質量

一般的なハンバーガー1個に含まれる脂質量は、15g〜35g程度です。しかし、チーズバーガーやベーコンエッグバーガー、ダブルパティのバーガーになると、40g〜60g、あるいはそれ以上に達することもあります。

成人の1日の脂質摂取目標量は、総摂取エネルギーの20%〜30%とされており、1日2,000kcalを基準とすると約44g〜67g程度です。つまり、高脂質なハンバーガーを1個食べるだけで、1日の脂質摂取目標量の大半、場合によっては上限を超えてしまう可能性があるのです。

さらにセットメニューのフライドポテト(Mサイズ)を加えると、脂質量はさらに15g〜25g増加します。このように、ハンバーガーとポテトの組み合わせは、脂質の過剰摂取につながりやすい食事パターンといえます。

脂質とコレステロールの関係

ハンバーガーに豊富に含まれる特定の種類の脂質は、血中のコレステロール値に直接的な影響を与え、長期的には動脈硬化を進行させ、心血管疾患のリスクを高める可能性があります。

LDL(悪玉)コレステロールの上昇メカニズム

食事から摂取した飽和脂肪酸は、主に肝臓でのコレステロール合成を促進し、血中に放出されるLDLコレステロールの量を増加させることが数多くの研究で示されています。LDLコレステロールは、血管の内壁に入り込み、酸化されることでプラーク(粥状の塊)を形成し、動脈硬化を進行させる要因となります。

動脈硬化は『沈黙の病』とも呼ばれ、自覚症状がないまま進行します。血管が著しく狭窄したり詰まったりして初めて、心筋梗塞や脳梗塞といった致命的な発作として現れるため、早期からの予防が極めて重要です。ハンバーガーを頻繁に食べる習慣がある方は、自覚症状がなくても動脈硬化が進行している可能性があるため、定期的な血液検査でコレステロール値(特にLDLコレステロール)をチェックすることが推奨されます。

特に、すでに脂質異常症(高コレステロール血症)と診断されている方や、家族に心血管疾患の既往歴がある方は、飽和脂肪酸の摂取量に注意を払う必要があります。医療機関では、個々のリスクに応じてコレステロール値の管理目標を設定し、食事療法や運動療法、必要に応じてスタチンなどの薬物療法を組み合わせた包括的な治療が行われます。

トランス脂肪酸の二重のリスク

天然にはほとんど存在しないトランス脂肪酸は、LDLコレステロールを上昇させるだけでなく、HDL(善玉)コレステロールを低下させる作用があり、心血管系にとって二重の脅威となります。世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1パーセント未満に抑えるよう強く勧告しており、多くの国で食品への含有量表示の義務化や使用規制が進んでいます。

日本では、欧米諸国と比較してトランス脂肪酸の平均摂取量は低いとされていますが、ファストフードや市販の揚げ物、洋菓子、パン類を頻繁に食べる方は、摂取量が増える傾向にあります。近年、大手ファストフードチェーンではトランス脂肪酸の低減に自主的に取り組んでいますが、完全にゼロではないため、摂取頻度には引き続き注意が必要です。

トランス脂肪酸を避けるためには、揚げ物の頻度を減らす、加工食品を購入する際に原材料表示を確認し、ショートニング・マーガリン・植物油脂などの表示に注意する、自宅で調理する際はオリーブオイルやキャノーラ油などの良質な植物油を選ぶといった工夫が有効です。

脂質が体脂肪に変わるプロセスと肥満への関連

脂質は、炭水化物やタンパク質が1gあたり4kcalなのに対し、倍以上の9kcalと非常にエネルギー密度が高く、三大栄養素の中で肥満につながりやすい栄養素です。

脂質が体脂肪として蓄積されるプロセス

食事から摂取した脂質は、消化・吸収された後、身体活動のエネルギー源として利用されるか、あるいは体脂肪として脂肪細胞に貯蔵されます。炭水化物やタンパク質と比較して、脂質は体内でエネルギーに変換される際のプロセスが少なく、余剰分は極めて効率よく体脂肪に変換されてしまいます。

特に、飽和脂肪酸を多く含む食事は、皮下脂肪よりも健康リスクの高い内臓脂肪の蓄積を促進する可能性が複数の研究で指摘されています。内臓脂肪は、単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、さまざまな生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌する内分泌器官としての側面を持ちます。脂肪が過剰に蓄積すると、炎症を引き起こす物質やインスリンの働きを妨げる物質が分泌され、メタボリックシンドロームや生活習慣病の直接的な原因となる可能性があります。

また、脂質は消化吸収に時間がかかるため、満腹感を得るまでにタイムラグが生じる傾向があります。そのため、脂質を多く含む食事では、脳が満腹のサインを出す前に、必要以上のカロリーを摂取してしまうことが少なくありません。

脂質摂取のバランスを整える方法

肥満を予防・改善するためには、脂質の総摂取量を抑えるだけでなく、その「質」にも注目することが重要です。動物性脂肪に多い飽和脂肪酸の摂取を減らし、青魚(EPA、DHA)、ナッツ類、アマニ油(α-リノレン酸)、オリーブオイル(オレイン酸)などに含まれる不飽和脂肪酸を適度に取り入れる「脂質のスマートスワップ」が推奨されます。

ハンバーガーを食べる際には、レタスやトマト、オニオンなどの野菜を多めに追加する、サイドメニューにフライドポテトではなくサラダや野菜スティックを組み合わせるといった工夫で、全体の栄養バランスを改善できます。また、食事の時間を少なくとも20分は確保し、ゆっくりとよく噛んで食べることで満腹中枢が刺激され、過食を防ぐ効果も期待できます。

データで見るファストフードと肥満の相関

ハンバーガーを含むファストフードの頻繁な摂取と肥満との関連については、世界中で数多くの大規模な疫学研究が行われており、その間には明確な正の相関関係が認められています。

ファストフード摂取頻度と肥満率の相関

複数の追跡調査研究によれば、週に2回以上ファストフードを食べる方は、月に1回未満の方と比較して、体重増加量が多く、肥満や2型糖尿病を発症するリスクが高いことが一貫して報告されています。これは、ファストフードが高カロリー・高脂質・高塩分であることに加え、食物繊維やビタミン、ミネラルといった健康維持に不可欠な栄養素が乏しいという栄養的な欠陥に起因すると考えられます。

特に、子どもや若年層におけるファストフードの摂取頻度の増加は、小児肥満の蔓延と将来的な生活習慣病リスクの増大に直結する深刻な公衆衛生上の問題として懸念されています。成長期に形成された食習慣は、成人期以降の健康状態に生涯にわたって影響を及ぼすため、家庭や学校における早期からの適切な食教育が重要です。

また、ファストフードは手軽で安価、そして中毒性の高い味付けであるため、多忙な現代人や経済的に余裕のない層にとって魅力的な食事の選択肢となりがちです。しかし、その利便性と引き換えに、長期的な健康リスクを高めてしまう可能性があることを認識し、意識的にバランスの取れた食事を心がける必要があります。

肥満がもたらす多様な健康への悪影響

肥満は、単に外見上の問題で体重が増えるだけでなく、「万病のもと」と称されるように、全身のさまざまな健康問題の引き金となります。国際的には、BMI(Body Mass Index:体格指数)が25以上を「過体重」、30以上を「肥満」と定義しています。肥満が進行すると、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症、心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、変形性関節症、睡眠時無呼吸症候群、さらには特定のがん(大腸がん、乳がんなど)のリスクが複合的に高まる可能性があります。

特に内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)は、メタボリックシンドロームの中核をなす病態であり、動脈硬化性疾患の重要なリスク因子です。日本では、腹囲が男性85cm以上、女性90cm以上の場合、内臓脂肪の過剰な蓄積が強く疑われ、精密検査の対象となります。

肥満の予防と改善には、食事療法と運動療法の両輪を組み合わせたライフスタイルの修正が基本となります。急激な体重減少はリバウンドや健康障害のリスクを伴うため、健康的な減量の目安として、1ヶ月に現体重の5%以内、あるいは1〜2kg程度が推奨されます。ただし、持病がある方や高齢の方は、筋肉の減少を防ぐためにも、必ず医師の指導のもとで計画的に進めてください。

糖尿病や高血圧に与える直接的影響

ハンバーガーの頻繁な摂取は、肥満を介して間接的に、あるいはその栄養構成によって直接的に、さまざまな生活習慣病の発症リスクを高める可能性があります。

2型糖尿病との関連

高カロリー・高脂質な食事の継続は、インスリン抵抗性を引き起こし、2型糖尿病の発症リスクとなります。インスリン抵抗性とは、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効き目が悪くなり、膵臓がより多くのインスリンを分泌しなければならなくなる状態を指します。

ハンバーガーの白いバンズや甘いソースに含まれる精製された炭水化物(糖質)は、消化吸収が速く、食後の血糖値を急激に上昇させやすい(高グリセミック・インデックス食品)。これにより、インスリンの過剰分泌が頻繁に引き起こされます。この状態が繰り返されると、膵臓のβ細胞が疲弊し、インスリン分泌能力が低下していく可能性があります。また、内臓脂肪の蓄積自体がインスリン抵抗性を悪化させる強力な要因となります。

糖尿病は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、「サイレントキラー」とも呼ばれます。しかし、高血糖状態を放置すると、細い血管が障害され、網膜症(失明の原因)、腎症(透析導入の原因)、神経障害(足の壊疽の原因)といった深刻な合併症を引き起こし、生活の質(QOL)を著しく損なう可能性があります。定期的な健康診断で血糖値やHbA1c(過去1〜2ヶ月の血糖コントロール指標)を確認し、早期発見・早期介入につなげることが重要です。

高血圧・心血管疾患との関連

ハンバーガーには、美味しさを引き立てるために多くの塩分(ナトリウム)も含まれています。ファストフードの味付けは一般的に濃いめに設定されており、ハンバーガー1個で2g〜3.5gの食塩相当量を含むことも珍しくありません。日本人の食事摂取基準における1日あたりの目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされているため、ハンバーガー1個で目標量の半分近くを摂取してしまうことになります。

過剰な塩分摂取は、体内に水分を溜め込み、血液量を増加させることで血圧を上昇させる要因です。高血圧が持続すると、常に血管壁に高い圧力がかかり、血管が傷つきやすくなり、動脈硬化が進行します。その結果、脳卒中や心筋梗塞、心不全、腎不全といった生命に関わる重篤な疾患のリスクが高まる可能性があるのです。

また、前述の通り、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸はLDLコレステロールを増加させ、動脈硬化を促進します。高血圧と脂質異常症が併存する状態は「死の四重奏」の一角をなし、心血管疾患のリスクを相乗的に高めます。

まとめ

ハンバーガー1個のカロリーは300kcal〜800kcal以上と幅広く、フライドポテトや甘いドリンクとのセットメニューでは容易に1,000kcalを超えます。また、脂質は15g〜50g以上含まれ、特に飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は血中コレステロールのバランスを崩し、動脈硬化を促進する可能性があります。

外食や中食を利用する際には、メニュー選びを工夫し、サイズを調整し、サイドメニューや飲み物を見直すといった小さな選択の積み重ねが、10年後、20年後のあなたの健康状態を大きく左右します。定期的な健康チェックで自身の身体の状態を客観的に把握し、必要に応じて専門家への相談をためらわないこと。自分の身体と真摯に向き合い、日々の選択を大切にすることが、健やかで豊かな未来を築くための確かな第一歩となるのです。

この記事の監修管理栄養士

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