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免疫機能の維持に欠かせない“5つの栄養素”とは? 食事で体調を整えるコツを医師が解説

 公開日:2026/02/19
免疫機能の維持“5つの栄養素”とは?

免疫機能を維持するためには、適切な栄養素を含む食べ物を日常的に取り入れることが大切です。タンパク質やビタミン類、ミネラルといった栄養素は、免疫細胞の産生や機能維持に重要な役割を果たします。また、腸内環境を整える発酵食品や食物繊維も、免疫機能と深く関わっています。免疫機能を支える食べ物や栄養素、さらに運動や自己チェックの方法まで、実践的な内容をご紹介します。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

免疫機能を支える食べ物と栄養素

免疫機能を維持するためには、適切な栄養素を含む食べ物を日常的に摂取することが重要です。タンパク質、ビタミン類、ミネラルといった特定の栄養素は、免疫細胞の産生や機能維持に重要な役割を果たします。

免疫細胞を支えるタンパク質とビタミン

タンパク質は免疫細胞の主要な構成成分であり、抗体の材料にもなります。良質なタンパク質を含む食品として、鶏肉、魚、卵、大豆製品などが挙げられます。これらの食品から1日あたり体重1キログラムあたり1グラムから1.2グラム程度のタンパク質を摂取することが目安です。
ビタミンAは粘膜を健康に保ち、病原体の侵入を防ぐバリア機能を強化します。レバー、にんじん、かぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に豊富に含まれています。ビタミンCは免疫細胞の働きを活性化させ、抗酸化作用も持ちます。柑橘類、いちご、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれており、水溶性ビタミンであるため毎日適量を摂取することが重要です。
ビタミンDは免疫調整作用を持ち、過剰な免疫反応を抑える一方で、必要な免疫応答を促進します。魚類、きのこ類に含まれるほか、日光を浴びることで体内でも合成されます。ビタミンEは抗酸化作用により免疫細胞を酸化ストレスから守ります。ナッツ類、植物油、アボカドなどに豊富です。

発酵食品と食物繊維の役割

腸内環境は免疫機能と密接な関係があり、腸管には非常に多くの免疫細胞が存在し、発酵食品は腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果が期待できます。ヨーグルト、納豆、味噌、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品を日常的に摂取することで、腸内フローラのバランスが改善される可能性があります。
特に乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌は、免疫細胞を刺激して活性化させる働きがあることが研究で示されています。食物繊維も腸内環境の改善に欠かせません。食物繊維は善玉菌のエサとなり、その増殖を促進します。野菜、果物、海藻、きのこ、豆類、全粒穀物などに多く含まれています。
特に水溶性食物繊維は腸内細菌によって発酵され、短鎖脂肪酸という物質を産生します。この短鎖脂肪酸には免疫調整作用があり、適切な免疫応答を促す効果が期待されています。食物繊維の摂取目標量は、成人男性で21グラム以上、成人女性で18グラム以上とされています。ただし、急激に摂取量を増やすと消化器に負担がかかる場合があるため、徐々に増やすことが望ましいです。

食事のタイミングと調理法の工夫

免疫機能を高める食べ物を選ぶことに加えて、食事のタイミングや調理法にも配慮することで、栄養素の吸収効率を高めることが期待できます。規則正しい食事と栄養素を損なわない調理法が重要です。

栄養素の吸収を高める食べ方

食事のタイミングは体内時計と関連しており、規則正しい時間に食事を取ることで、栄養素の吸収や代謝が効率的に行われる可能性があります。朝食は1日のエネルギー源として重要で、タンパク質やビタミンを含むバランスの取れた内容にすることが推奨されます。朝食を抜く習慣は、生活リズムの乱れを通じて体調に影響する可能性があります。
また、よく噛んで食べることも大切です。咀嚼によって唾液の分泌が促進され、唾液に含まれる抗菌成分が口腔内環境の維持に関与しています。さらに、食べ物が細かく砕かれることで消化吸収が良くなり、栄養素を効率的に取り込めるようになります。
食事の際には、複数の栄養素を組み合わせることで相乗効果が得られる場合があります。例えば、ビタミンCは鉄分の吸収を促進するため、肉や魚とビタミンCを含む野菜を一緒に摂取すると効果的です。脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、Kは油脂と一緒に摂取することで吸収率が高まります。

免疫機能を損なわない調理のポイント

調理法によっては、食材に含まれる栄養素が失われてしまうことがあります。ビタミンCやビタミンB群などの水溶性ビタミンは、茹でることで水に溶け出してしまうため、蒸す、焼く、炒めるといった調理法が栄養素の損失を抑えられます。野菜を茹でる場合は、茹で汁をスープに活用することで溶け出した栄養素も摂取できます。
一方、加熱によって吸収率が高まる栄養素もあります。トマトに含まれるリコピンや、にんじんのβカロテンは、加熱することで細胞壁が壊れ、吸収されやすくなります。油と一緒に調理するとさらに吸収率が向上します。発酵食品の乳酸菌は熱に弱いため、味噌汁を作る際には火を止めてから味噌を溶かすなど、加熱しすぎない工夫が必要です。
また、食材を洗いすぎることも栄養素の損失につながります。野菜は短時間でさっと洗い、長時間水に浸けないようにしましょう。調味料の使い方にも注意が必要で、塩分や糖分の過剰摂取は免疫機能低下につながる可能性があるため、適量を心がけることが大切です。

免疫機能を支える運動の種類と強度

適度な運動は免疫機能の維持に役立つとされています。有酸素運動、筋力トレーニング、ストレッチを適切に組み合わせることで、血液循環が促進され、免疫細胞が体内を効率よく巡回できるようになることが期待されます。

有酸素運動の効果と実践方法

有酸素運動は免疫機能向上に特に効果的とされています。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を定期的に行うことで、免疫細胞の機能が改善する可能性があることが報告されています。特にナチュラルキラー細胞の活性が一時的に高まる可能性があることが報告されています。
有酸素運動の目安としては、1回30分程度、週に3回から5回の頻度が推奨されています。運動強度は、軽く息が上がる程度、会話ができる程度が適切です。運動中の心拍数は、最大心拍数(220マイナス年齢)の60%から70%程度を目標にすると良いでしょう。
急に激しい運動を始めるのではなく、まずは軽いウォーキングから始め、徐々に時間や強度を増やしていくことが大切です。運動する時間帯も重要で、朝から午前中にかけての運動は体内時計を整える効果もあり、免疫機能の維持に役立つ可能性があります。

筋力トレーニングとストレッチの重要性

筋力トレーニングも免疫機能向上に寄与します。筋肉量が増えることで基礎代謝が上がりやすくなり、体温調節にも関与します。また、筋肉からは免疫調整作用を持つマイオカインという物質が分泌され、全身の炎症を抑制する効果があることが報告されています。筋力トレーニングは週に2回から3回、自分の体力に合わせた負荷で行うことが推奨されます。
スクワット、腕立て伏せ、プランクなど、自体重を使ったトレーニングから始めると良いでしょう。各運動を10回から15回、2セットから3セット行うことを目標にします。筋力トレーニングの後には、十分な休息と栄養補給が必要です。
ストレッチも免疫機能の維持に役立ちます。柔軟性を高めることで血液循環の改善やリラクゼーション効果が期待されます。また、ストレッチにはリラクゼーション効果があり、ストレス軽減にもつながります。運動前の動的ストレッチと運動後の静的ストレッチを組み合わせることで、怪我の予防にもなります。就寝前の軽いストレッチは、睡眠の質を高める効果も期待できます。

運動時の注意点と過度な運動のリスク

運動は免疫機能向上に効果的ですが、やり方を誤ると逆効果になることもあります。適切な運動強度と回復時間を確保し、季節や体調に合わせた運動計画を立てることが重要です。

適切な運動強度と回復時間

過度な運動は一時的に免疫機能を低下させることが知られています。長時間の激しい運動を行うと、運動直後から数時間にわたって免疫細胞の数や機能が低下する「オープンウィンドウ」と呼ばれる状態が生じる可能性があります。この期間中は感染症にかかりやすくなることがあるため、特にマラソンや長距離走などの持久系競技を行う方は注意が必要です。
運動後は十分な休息を取り、栄養補給を適切に行うことで、この免疫低下期間を最小限に抑えられます。また、毎日激しい運動を続けると、身体に慢性的なストレスがかかり、免疫機能が常に抑制された状態になる可能性があります。運動と休息のバランスを保つことが大切で、強度の高い運動を行った翌日は軽めの運動や完全休養にするなど、身体を回復させる時間を設けましょう。
体調が優れないときに無理に運動することも避けるべきです。風邪の症状があるときや疲労が蓄積しているときは、身体を休めることを優先してください。

季節や体調に合わせた運動計画

季節によって運動の仕方を調整することも免疫機能の維持に役立ちます。冬場は寒さによって身体が冷えやすいため、運動前の十分なウォーミングアップが必要です。室内での運動を取り入れることも検討しましょう。夏場は熱中症のリスクがあるため、早朝や夕方の涼しい時間帯に運動し、こまめな水分補給を心がけることが重要です。
また、花粉症の時期には屋外での運動が症状を悪化させる可能性があるため、室内運動に切り替えるか、マスクを着用するなどの対策が有効です。自分の体調や体力レベルに合わせた運動計画を立てることも大切です。
運動習慣がない方が突然激しい運動を始めると、身体への負担が大きく、逆に免疫機能を低下させる可能性があります。まずは軽い運動から始め、身体が慣れてきたら徐々に強度や時間を増やしていくことが望ましいです。持病がある方や高齢の方は、運動を始める前に医師に相談し、適切な運動内容や強度について指導を受けることをおすすめします。

自分の免疫状態をチェックする方法

免疫機能は目に見えないため、自分の免疫状態を把握することは難しいと感じるかもしれません。日常生活で現れる身体のサインに注意を払うことと、必要に応じて医療機関で検査を受けることで、免疫機能の状態をある程度推測できます。

日常生活で気づく免疫機能低下のサイン

免疫機能が低下すると、さまざまな身体のサインが現れます。風邪をひきやすくなったり、一度風邪をひくと治りにくくなったりすることは、免疫機能低下の代表的な兆候です。頻繁に風邪をひく場合は免疫機能が低下している可能性があります。
口内炎や口唇ヘルペスができやすくなることも、免疫機能低下のサインの一つです。これらは身体の抵抗力が弱まったときに現れやすい症状です。疲れやすさや倦怠感が続く場合も注意が必要です。十分な睡眠を取っているのに疲れが取れない、朝起きるのがつらい、日中に眠気を感じやすいといった症状があれば、免疫システムが正常に機能していない可能性があります。
肌荒れや湿疹は体調やストレスなどさまざまな要因の影響を受けます。傷の治りが遅くなったり、ちょっとした傷が化膿しやすくなったりすることも、免疫機能の低下を示唆しています。また、お腹の調子が悪い状態が続く、便秘や下痢を繰り返すといった消化器症状も、腸内環境の悪化を通じて免疫機能の低下につながっている可能性があります。

専門的な検査と医療機関での確認

日常生活でのセルフチェックに加えて、医療機関で免疫状態を客観的に評価してもらうことも可能です。血液検査では、白血球数やリンパ球数を測定することで、免疫細胞の量を確認できます。白血球は免疫システムの中心的な役割を担う細胞であり、その数や種類のバランスが崩れていれば、免疫機能に問題がある可能性があります。
特にリンパ球の中のT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞などの詳細な分析を行うことで、より具体的な免疫状態を把握できます。免疫グロブリンの測定も有用です。免疫グロブリンは抗体の一種で、IgG、IgA、IgM、IgEなどの種類があり、それぞれ異なる役割を持っています。これらの値が基準範囲から外れている場合、免疫機能の異常が疑われます。

生活環境を見直す免疫チェックリスト

自分の生活習慣や環境を客観的に見直すことで、免疫機能に影響を与えている要因を発見できます。睡眠、食事、運動、ストレス管理、生活環境の各項目について、定期的にチェックすることが大切です。

睡眠・食事・運動のバランス確認

まず、睡眠について確認しましょう。毎日7時間以上の睡眠を取れているか、就寝時刻と起床時刻が一定しているか、朝すっきり目覚められるか、日中に強い眠気を感じないかといった点をチェックします。睡眠の質が低い場合は、寝室の環境や就寝前の習慣を見直す必要があります。
食事については、1日3食を規則正しく取っているか、野菜や果物を毎日摂取しているか、発酵食品を習慣的に食べているか、タンパク質を十分に摂取しているか、加工食品やインスタント食品に頼りすぎていないかを確認しましょう。特定の栄養素が不足していると感じる場合は、食事内容を見直すか、必要に応じてサプリメントの利用を検討することも一つの方法です。
運動については、週に3回以上、30分程度の運動を行っているか、日常生活で身体を動かす機会があるか、長時間座りっぱなしになっていないかをチェックします。運動習慣がない方は、まずは日常生活の中で階段を使う、一駅分歩くなど、小さな変化から始めることが継続のコツです。

ストレス管理と生活環境の評価

ストレスレベルについても定期的に自己評価することが大切です。仕事や人間関係でストレスを感じているか、リラックスできる時間があるか、趣味や楽しみを持っているか、睡眠や食欲に影響が出ていないかといった点を確認しましょう。ストレスが高い状態が続いている場合は、ストレス解消法を積極的に取り入れる必要があります。
生活環境については、室温や湿度が適切に保たれているか、換気は十分か、清潔な環境を維持できているかをチェックします。特に冬場の乾燥は粘膜のバリア機能を低下させるため、加湿器を使用するなどの対策が有効です。
また、喫煙や過度な飲酒の習慣がないか、規則正しい生活リズムを保てているかも重要なチェックポイントです。これらの項目で問題が見つかった場合は、一つずつ改善していくことをおすすめします。すべてを一度に変えようとすると継続が難しくなるため、優先順位をつけて取り組むことが大切です。定期的に見直しを行い、生活習慣の改善が免疫機能の維持につながっているか確認しましょう。

まとめ

免疫機能は、睡眠・食事・運動・ストレス管理といった日々の生活習慣によって大きく影響を受けるため、基本的な生活リズムを整えることが重要です。同時に、免疫機能を低下させる要因を避ける意識も欠かせません。自分の体調や生活習慣を見直し、必要に応じて医療機関に相談することで、より健康的な生活につながります。免疫機能の維持方法には個人差があり、年齢や基礎疾患、生活環境によって適切な方法は異なるため、本記事の内容は一般的な情報として参考にし、体調に不安がある場合は医師の指導を受けることが大切です。日々の小さな工夫を積み重ねることが、長期的な健康維持につながります。

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