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ただの風邪や倦怠感ではない? 「狂犬病」の疑いがある3つのサインを医師が解説

 公開日:2026/02/03
狂犬病の初期症状と特徴

狂犬病は発症すると致死率がほぼ100%に達する、極めて危険な感染症です。しかし初期段階では風邪のような症状が中心となるため、重大な病気と気づかず受診が遅れてしまうケースが少なくありません。早期発見と適切な予防処置が生命を守る唯一の手段となるため、初期症状の特徴を正しく理解しておくことが重要です。本章では、潜伏期間中の身体の変化や前駆期に見られる症状について詳しく解説します。

小林 誠人

監修医師
小林 誠人(医師)

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■略歴
1994年 鳥取大学医学部医学科卒業
同年 鳥取大学医学部第1外科(一般・消化器外科)入局
1996年 大阪府立千里救命救急センター レジデント医師
1997年 鳥取大学医学部第1外科および鳥取大学大学院医学系研究科外科系専攻博士課程
2001年3月 鳥取大学大学院医学系研究科外科系専攻博士課程修了 学位(医学博士)取得
2001年4月 大阪府立千里救命救急センター 医長
2003年8月 兵庫県災害医療センター 救急部副部長兼集中治療室室長
2005年9月 大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター(旧大阪府立千里救命救急センター)ICU室長兼救急医長
2008年4月 大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター ICU室長兼救急副部長
2010年1月 公立豊岡病院 但馬救命救急センター センター長
2020年4月 (兼任) 鳥取県立中央病院 救命救急センター 顧問
2021年4月 鳥取県立中央病院 高次救急集中治療センター センター長,救急集中治療科統轄部長,
救急外傷外科部長,小児救急集中治療科部長
2025年9月 大阪府済生会千里病院 千里救命救急センター 部長,
外傷・急性期外科センター センター長

■資格: 日本救急医学会指導医・専門医
日本集中治療医学会専門医
日本外科学会指導医・専門医
日本外傷学会外傷専門医
日本Acute Care Surgery学会Acute Care Surgery認定外科医
日本腹部救急医学会腹部救急教育医
日本航空医療学会認定指導者
日本急性血液浄化学会認定指導者
社会医学系指導医・専門医
麻酔科標榜医

狂犬病の初期症状と特徴

狂犬病の症状は段階的に進行し、発症初期には他の病気と区別がつきにくい非特異的な症状が現れます。特にこの初期段階では、本人も周囲も重大な感染症とは気づかず、受診が遅れてしまうケースが少なくありません。しかし、狂犬病は一度発症すると治療が極めて困難であるため、初期症状を正しく理解しておくことが重要です。

潜伏期間中の身体の変化

狂犬病ウイルスに感染してから症状が現れるまでの潜伏期間は、一般的に1か月から3か月程度とされています。しかし、個人差が大きく、1週間ほどで発症することもあれば、1年以上経過してから症状が現れることもあります。潜伏期間の長さは、咬まれた部位が脳に近いかどうか、傷の深さ、侵入したウイルス量などによって左右されます。顔や首、手指など脳に近い部位を咬まれた場合は、比較的早く症状が出やすいとされています。
潜伏期間中、ウイルスは神経組織を伝ってゆっくりと中枢神経系へ移動しますが、この段階では自覚症状はほとんどありません。血液検査などの一般的な検査でも感染を確認することは難しく、本人が異変を感じることはほぼありません。そのため、動物に咬まれたという事実そのものが、唯一の重要な手がかりとなります。症状がないからといって安心せず、咬傷があった場合には速やかに医療機関を受診することが求められます。

前駆期に見られる症状

発症初期の前駆期には、発熱、頭痛、全身の倦怠感、食欲不振などといった、風邪やインフルエンザとよく似た症状が現れます。これらの症状は2日から10日程度続くことが多く、日常生活の中で見過ごされやすいのが特徴です。
この時期に狂犬病特有といえる症状とされるのが、咬まれた部位の異常感覚です。具体的には傷がすでに治っている場合でも、かゆみや痛み、ピリピリとした違和感、焼けるような感覚が出現することがあります。また、不安感や落ち着きのなさ、不眠、抑うつといった精神的な変化を伴うこともあり、本人は「なんとなく体調がおかしい」と感じることが少なくありません。
しかし、この段階で狂犬病と診断されることは非常に難しく、適切な対応が遅れる原因となります。前駆期を過ぎると、症状は急速に進行し、治療の選択肢はほとんど残されていないのが現実です。

まとめ

狂犬病は発症するとほぼ確実に命を失う極めて深刻な感染症ですが、適切な知識と予防によって感染を防ぐことができます。日本国内では長年発生がない一方で、海外では今も多くの方々が犠牲になっています。動物に咬まれた際の迅速な対応、予防接種の活用、海外渡航時の注意、そして飼い犬への適切な予防措置が、この病気からご自身と社会を守る鍵となります。少しでも不安がある場合は、ためらわず医療機関や保健所に相談し、専門家の指導を受けることをおすすめします。

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