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現代医療で「アルコール」は消毒以外にどのように活用されている?【医師監修】

 公開日:2026/01/18
現代医療におけるアルコールの主要な用途

現代の医療現場において、アルコールは内服薬ではなく外用として重要な役割を担っています。特に消毒や感染予防の分野では欠かせない存在です。本章では、現在の医療でどのようにアルコールが活用されているのかを分かりやすく整理します。

沖 一匡

監修医師
沖 一匡(医師)

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【略歴】
2007年3月 琉球大学医学部医学科 卒業
2007年4月 沖縄県立北部病院 初期研修医
2009年4月 湘南鎌倉外科グループ所属 外科レジデント
2010年8月 相澤病院 外科
2013年4月 高山赤十字病院 救急・麻酔科・外科
2014年4月〜9月 北部ウガンダ医療支援事業 参加 アンボロソリ記念病院
2016年4月 千葉徳洲会病院 外科
2017年4月 北総白井病院 救急・麻酔科
西山救急クリニック 総合診療
あまが台ファミリークリニック 総合診療
(※ あまが台ファミリークリニックは2020年から)
2020年11月 やちよ総合診療クリニック(千葉県八千代市) 院長

【専門・資格・所属】
主な診療科 総合診療科、救急科、麻酔科、外科

日本外科学会 外科専門医
日本救急医学会 救急専門医
麻酔科標榜医
日本外傷診療研究機構 JATEC インストラクター
日本医師会 認定産業医
認知症予防学会 認知症予防専門医
認知症サポート医
健康スポーツ医

現代医療におけるアルコールの主要な用途

現代の医療現場では、アルコールは主に外用として使用されています。その用途は限定的ですが、感染予防において重要な役割を担っています。

消毒・殺菌目的での使用実態

医療用アルコールの主要な用途は、皮膚の消毒と医療器具の殺菌です。エタノール濃度70〜80%程度の消毒用アルコールは、細菌やウイルスの細胞膜を破壊し、短時間で殺菌効果を発揮します。注射前の皮膚消毒、採血時の穿刺部位の消毒、体温計や聴診器などの医療器具の清拭など、日常的な医療行為において不可欠な存在です。これらの用途は、医療現場における基本的な感染予防策として確立されています。

手指衛生においても、アルコール含有手指消毒薬は重要な感染予防手段となっています。速乾性があり、水や石鹸が使えない状況でも使用できるため、医療従事者の手指衛生遵守率向上に貢献しています。ただし、芽胞形成菌や一部のウイルスに対しては効果が限定的であるため、状況に応じてほかの消毒方法と併用する必要があります。

適切な濃度と使用方法を守ることで、アルコールは安全で効果的な消毒手段として機能します。医療機関では、標準化された手順に従ってアルコール消毒が実施されており、これが医療の質と安全性を支えているのです。

特殊な医療処置における活用

消毒以外にも、アルコールは特定の医療処置において活用されています。神経ブロック療法の一つであるアルコール神経破壊術では、高濃度のエタノールを神経周囲に注入し、難治性の疼痛を緩和する治療が行われます。これは、がん性疼痛など通常の鎮痛薬では十分に管理できない痛みに対して選択される方法です。患者さんの生活の質を維持するために、専門的な技術を持つ医師によって慎重に実施されています。

また、肝細胞がんに対する経皮的エタノール注入療法では、腫瘍内に直接エタノールを注入して腫瘍細胞を壊死させる治療が実施されています。この治療法は、手術が困難な場合や患者さんの状態により侵襲的な治療が適さない場合に選択されることがあります。これらは専門的な技術を要する治療法であり、適応となる患者さんや施設は限られています。

いずれも医師の厳格な管理下で行われる医療行為であり、一般的な治療とは異なる特殊な位置づけです。治療の適応については、主治医との十分な相談が必要になります。患者さんの状態や病状の進行度、ほかの治療法との比較検討を行ったうえで、適切な判断がなされるのです。

まとめ

医療用アルコールは、消毒・殺菌という重要な役割を担う一方で、適切な使用と管理が求められる物質です。歴史的には薬として用いられた時期もありましたが、現代医療では主に外用として活用されています。迅速な殺菌効果と使用の簡便性は大きなメリットですが、皮膚への影響や引火性などのデメリットも存在します。医療現場では、これらの特性を理解し、標準化された手順に従って安全に使用されています。患者さん自身も、アルコール使用の意義とリスクを理解し、皮膚トラブルやアレルギーがある場合には医療スタッフに相談することが重要です。適切な知識と対応により、安全で効果的な医療を受けることができます。

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