知っているようで知らない「ALS」の正体。病名の漢字一文字ずつに隠された深刻な病態

ALSは日本語では筋萎縮性側索硬化症と呼ばれ、病理学的な特徴を表した名称です。この病名は、筋肉の萎縮、脊髄の側索という部位の変性、組織の硬化という3つの要素を組み合わせたものです。病名の由来を知ることで、疾患の本質的な特徴がより深く理解できます。筋萎縮と側索硬化の意味、そして英語名と国際的な認知について詳しく見ていきましょう。

監修医師:
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の病名の由来
ALSは日本語では筋萎縮性側索硬化症と呼ばれ、病理学的な特徴を表した名称です。この病名は、筋肉の萎縮、脊髄の側索という部位の変性、組織の硬化という3つの要素を組み合わせたものです。
筋萎縮と側索硬化の意味
筋萎縮性とは、筋肉がやせて細くなることを指します。ALSでは運動神経が障害されるため、神経からの信号が筋肉に届かなくなり、筋肉が使われずに萎縮していきます。
側索硬化の「側索」とは、脊髄の中で運動神経が通る経路の名称です。この部分が変性して硬くなることから、側索硬化という名称がつけられました。病理学的には、運動神経細胞が失われ、その跡に神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)が増殖することで組織が硬くなるとされています。このように、病名は疾患の特徴的な病理学的変化をそのまま表現したものになっています。
英語名と国際的な認知
ALSという略称は、英語のAmyotrophic Lateral Sclerosisの頭文字をとったものです。Amyotrophicは「筋萎縮性の」、Lateralは「側方の」、Sclerosisは「硬化」を意味します。
欧米ではLou Gehrig's disease(ルー・ゲーリッグ病)とも呼ばれ、これは1930年代に活躍したアメリカの有名な野球選手ルー・ゲーリッグ氏がこの病気を発症したことに由来します。彼の引退スピーチは多くの人々に感動を与え、ALSの認知度向上に大きく貢献しました。現在も、ルー・ゲーリッグ氏の名前を通じて、ALSという病気を知る方が少なくありません。
まとめ
ALSは現在のところ根本的な治療法が確立されていない難病ですが、早期発見と適切な支援により、患者さんの生活の質を長く保つことが可能です。初期症状を見逃さず、疑わしい場合には神経内科を受診することが大切です。
また、医療費助成や福祉制度を活用することで、経済的な負担を軽減しながら療養を続けられます。患者さんご自身とご家族が孤立せず、医療チームや支援団体とつながりながら、希望を持って日々を過ごせる環境を整えることが何よりも重要です。
少しでも気になる症状がある方や、ご家族に不安を感じている方は、まずは専門医に相談してみてください。早期の相談により、適切な診断と支援の導入が可能になり、より良い療養生活を送るための第一歩となります。


