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タバコは「ALS」の発症リスクを高める? 知っておきたい生活習慣の落とし穴

 公開日:2026/01/30
環境要因や生活習慣との関連

ALSの発症に環境要因や生活習慣がどの程度影響しているかについては、現在も研究が続けられています。喫煙や特定の職業、農薬への曝露などが関連する可能性が指摘されていますが、確定的な結論には至っていません。現時点でわかっている情報をもとに、喫煙とALSのリスク、そして職業や環境曝露の影響について整理してお伝えします。

田頭 秀悟

監修医師
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

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鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

環境要因や生活習慣との関連

ALSの発症に環境要因や生活習慣がどの程度影響しているかについては、現在も研究が続けられています。喫煙や特定の職業、農薬への曝露などが関連する可能性が指摘されていますが、確定的な結論には至っていません。

喫煙とALSのリスク

複数の疫学研究において、喫煙がALSの発症リスクを高める可能性が示唆されています。特に長期間の喫煙歴がある方や喫煙量が多い方では、リスクが上昇する傾向が報告されています。
喫煙は血管や神経に対する酸化ストレスを増大させるため、運動神経細胞の変性を促進する可能性があると考えられています。禁煙は健康全般にとって有益であり、ALSのリスク低減にもつながる可能性があるため、喫煙習慣のある方は早めの禁煙が推奨されます。ただし、禁煙によってALSの発症を完全に防げるわけではなく、あくまでリスクを下げる可能性があるという位置づけです。

職業や環境曝露の影響

一部の研究では、農業や建設業、軍人など特定の職業に従事している方でALSの発症率が高いという報告があります。農薬や重金属、有機溶剤などへの曝露が関与している可能性が指摘されていますが、因果関係を明確に証明するには至っていません。
また、激しい運動を伴うスポーツ選手でもALSの発症が報告されることがあり、外傷や過度の身体的ストレスが神経変性に影響を与える可能性が議論されています。ただし、これらはあくまで仮説の段階であり、予防策として確立されたものではありません。職業や環境要因が関係している可能性はあるものの、現時点で特定の職業や環境を避けることでALSを予防できるという証拠はありません。

まとめ

ALSは現在のところ根本的な治療法が確立されていない難病ですが、早期発見と適切な支援により、患者さんの生活の質を長く保つことが可能です。初期症状を見逃さず、疑わしい場合には神経内科を受診することが大切です。
また、医療費助成や福祉制度を活用することで、経済的な負担を軽減しながら療養を続けられます。患者さんご自身とご家族が孤立せず、医療チームや支援団体とつながりながら、希望を持って日々を過ごせる環境を整えることが何よりも重要です。
少しでも気になる症状がある方や、ご家族に不安を感じている方は、まずは専門医に相談してみてください。早期の相談により、適切な診断と支援の導入が可能になり、より良い療養生活を送るための第一歩となります。

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