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知っておきたい「ALS」の予兆。筋肉が細かく動く“ぴくつき”を放置してはいけない理由

 公開日:2026/01/28
ALSの初期症状の特徴

ALSの初期症状は、発症部位によって多様な形で現れます。手足の筋力低下から始まる方もいれば、話しづらさや飲み込みにくさが最初に自覚されることもあります。早期に気づくことで、適切な支援や治療の開始が可能になるため、どのような症状に注意すべきかを知っておくことが重要です。ここでは、手足に現れる運動障害と、発話や嚥下に関わる症状について詳しく解説します。

田頭 秀悟

監修医師
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

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鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

ALSの初期症状の特徴

ALSの初期症状は、発症部位によって多様な形で現れます。手足の筋力低下から始まる場合もあれば、話しづらさや飲み込みにくさが最初に自覚されることもあります。早期に気づくことで、適切な支援や治療の開始が可能になります。

手足に現れる運動障害

ALSの初期症状として多いのが、手や腕、足の筋力低下です。たとえば、箸やペンを持つ手に力が入りにくくなったり、ボタンをかけるのに時間がかかるようになったりします。また、足がつまずきやすくなる、階段の上り下りで疲れやすくなるといった変化も典型的です。
こうした症状は片側だけに現れることが多く、徐々に反対側にも広がっていきます。筋肉がやせてくることもあり、手の甲や親指の付け根あたりがくぼんで見えることがあります。筋力低下とともに、筋肉が細かくぴくぴくと動く筋線維束攣縮(きんせんいそくれんしゅく)という症状が見られることもあり、これは神経の異常を示唆する重要なサインです。ただし、筋線維束攣縮は過労やストレス、カフェインの摂取などでも起こることがあるため、必ずしもALSを意味するわけではありません。

発話や嚥下に関わる症状

球麻痺型と呼ばれるタイプでは、話す機能や飲み込む機能に関わる筋肉が最初に障害されます。具体的には、ろれつが回らなくなる、声が鼻にかかるようになる、食べ物や飲み物がむせやすくなるといった症状が現れます。
特にむせの頻度が増えると、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため注意が必要です。舌の動きが悪くなることで、発音が不明瞭になったり、食べ物を口の中でうまくまとめられなくなったりします。こうした症状は日常生活の質に直結するため、早期に言語聴覚士による評価や指導を受けることが推奨されます。嚥下機能の低下が進むと、食事の形態を変更したり、栄養摂取の方法を見直したりする必要が出てくることもあります。

まとめ

ALSは現在のところ根本的な治療法が確立されていない難病ですが、早期発見と適切な支援により、患者さんの生活の質を長く保つことが可能です。初期症状を見逃さず、疑わしい場合には神経内科を受診することが大切です。
また、医療費助成や福祉制度を活用することで、経済的な負担を軽減しながら療養を続けられます。患者さんご自身とご家族が孤立せず、医療チームや支援団体とつながりながら、希望を持って日々を過ごせる環境を整えることが何よりも重要です。
少しでも気になる症状がある方や、ご家族に不安を感じている方は、まずは専門医に相談してみてください。早期の相談により、適切な診断と支援の導入が可能になり、より良い療養生活を送るための第一歩となります。

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