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「もしかしてALS?」と思ったら。専門医が行う検査の全容と今できる治療のすべて

 公開日:2026/02/01
ALSの診断と治療の現状

ALSの診断は臨床症状と検査所見を総合的に評価して行われます。現時点では根本的な治療法は確立されていませんが、症状の進行を遅らせる薬剤やリハビリテーション、支持療法により生活の質を保つことが可能です。診断プロセスと検査の内容、そして薬物療法と対症療法の現状について、最新の医療情報をもとに解説します。

田頭 秀悟

監修医師
田頭 秀悟(たがしゅうオンラインクリニック)

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鳥取大学医学部卒業。「たがしゅうオンラインクリニック」院長 。脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門としている。また、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。日本神経学会神経内科専門医、日本東洋医学会専門医。

ALSの診断と治療の現状

ALSの診断は臨床症状と検査所見を総合的に評価して行われます。現時点では根本的な治療法は確立されていませんが、症状の進行を遅らせる薬剤やリハビリテーション、支持療法により生活の質を保つことが可能です。

診断プロセスと検査

ALSの診断には、神経内科専門医による詳細な診察が必要です。筋力や反射、筋肉のぴくつきなどを評価し、脳から脊髄へ司令を送る上位運動ニューロン(※ニューロンとは神経細胞の単位のこと)と脊髄から筋肉へ司令を送る下位運動ニューロンの、それぞれの障害具合について確認が行われます。筋電図検査では、筋肉の電気的活動を調べることで神経障害のパターンを把握します。また、MRIで脊髄や脳の状態を確認し、腫瘍や脊髄症など他の疾患を除外します。血液検査では、似た症状を示す他の神経疾患や筋疾患の可能性を調べます。診断確定までには数ヶ月を要することもあり、経過観察が重要です。複数回の検査や診察を重ねることで、より正確な診断が可能になります。

薬物療法と対症療法

現在、日本で承認されているALS治療薬には、リルゾールとエダラボンがあります。リルゾールは神経伝達物質の過剰な放出を抑制し、神経細胞の保護効果が期待される薬剤です。エダラボンは抗酸化作用を持ち、神経細胞の酸化ストレスを軽減する効果があるとされています。
これらの薬剤は病気の進行を遅らせる可能性がありますが、完全に止めることはできません。対症療法としては、筋肉のこわばりに対する抗痙縮薬、唾液分泌過多に対する抗コリン薬、痛みに対する鎮痛薬などが用いられます。患者さんの症状に応じて、複数の薬剤を組み合わせて使用することもあります。薬物療法と並行して、リハビリテーションや栄養管理、呼吸管理などの総合的な支援を行うことで、生活の質を維持することが目指されます。

まとめ

ALSは現在のところ根本的な治療法が確立されていない難病ですが、早期発見と適切な支援により、患者さんの生活の質を長く保つことが可能です。初期症状を見逃さず、疑わしい場合には神経内科を受診することが大切です。
また、医療費助成や福祉制度を活用することで、経済的な負担を軽減しながら療養を続けられます。患者さんご自身とご家族が孤立せず、医療チームや支援団体とつながりながら、希望を持って日々を過ごせる環境を整えることが何よりも重要です。
少しでも気になる症状がある方や、ご家族に不安を感じている方は、まずは専門医に相談してみてください。早期の相談により、適切な診断と支援の導入が可能になり、より良い療養生活を送るための第一歩となります。

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