「甲状腺がん」と”女性ホルモンの関係”をご存じですか?注意したい時期と変化を解説!

女性の場合、妊娠・出産や更年期といったライフステージごとに甲状腺がんのリスクや注意すべき点が異なります。妊娠中の甲状腺の変化や治療のタイミング、更年期以降の注意点など、女性ならではの課題について解説します。それぞれの時期に応じた適切な対応を知っておくことが大切です。

監修医師:
上田 洋行(医師)
大阪大学医学部卒業
住友病院、大阪大学医学部附属病院にて勤務
専門は糖尿病・内分泌・代謝内科
【資格】
・日本専門医機構認定内科専門医
・日本糖尿病学会糖尿病専門医
・内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医
女性特有のリスクと注意点
女性の場合、ライフステージごとに甲状腺がんのリスクや注意すべき点が異なります。妊娠・出産、更年期などのタイミングでの変化や、他の女性特有の疾患との関連についても理解しておくことが大切です。
妊娠・出産期における甲状腺の変化
妊娠中は甲状腺ホルモンの需要が増加し、甲状腺が通常よりも大きくなることがあります。この時期にしこりが見つかることもありますが、すべてががんというわけではなく、良性の変化であることも多いのです。ただし、妊娠前や妊娠初期に甲状腺の検査を受けておくことは有用でしょう。
妊娠中に甲状腺がんが発見された場合、手術のタイミングや治療方針については慎重な判断が必要です。がんの進行度や妊娠週数を考慮し、出産後に治療を行うか、妊娠中期に手術を行うかを決定します。多くのケースでは、出産を待ってから治療を開始しても予後に大きな影響はないとされています。
授乳中の治療では、放射性ヨウ素治療は禁忌となります。手術は可能ですが、術後の回復や授乳への影響を考慮する必要があります。女性のライフプランと治療計画を両立させるために、専門医との十分な相談が重要です。個々の状況により適切な対応は異なるため、主治医と綿密に話し合うことが求められます。
更年期以降の甲状腺がんリスク
更年期を迎えると、女性ホルモンの変動により甲状腺機能にも変化が生じることがあります。この時期には、甲状腺機能低下症や甲状腺結節が増加する傾向があり、定期的な検査が推奨されます。
50代以降で甲状腺がんが発見された場合、予後は若年者と比べてやや不良になる傾向がありますが、それでも早期発見により良好な経過が期待できます。高齢になるほど合併症のリスクも考慮する必要があり、個別化された治療計画が立てられます。
女性の場合、骨粗鬆症や心血管疾患などの他の健康課題も抱えることが多い時期です。甲状腺がんの治療と、これらの疾患の管理を両立させるために、総合的な医療サポートが必要になることもあるでしょう。年齢や基礎疾患により最適な治療法は異なるため、複数の専門医と連携しながら治療方針を決めることが大切です。
まとめ
甲状腺がんは、早期に発見し適切な治療を受けることで、多くの方が良好な予後を得られる疾患です。症状が少ないため見逃されやすい一方で、定期的な健診や自己チェックにより早期発見が可能です。
特に女性では発症率が高く、ライフステージに応じた注意が必要でしょう。首にしこりを感じたり、声の変化が続いたりする場合は、早めに内科や耳鼻咽喉科、内分泌外来などを受診することをおすすめします。
分化型甲状腺がん、特に乳頭がんは進行が緩やかで、適切な治療により長期的な管理が可能な場合が多いとされています。ただし、個々の状況により経過は異なるため、専門医による適切な診断と治療計画が重要です。
生存率は全体として高い水準にありますが、年齢、病期、組織型などの要因により変動します。未分化がんや進行した髄様がんでは予後が厳しい場合もあるため、早期発見の重要性は変わりません。
甲状腺がんに関する不安や疑問がある場合は、専門医に相談することで、個々の状況に応じた適切な情報とサポートを得ることができます。定期的な検査と自己チェックを習慣化し、早期発見・早期治療につなげることが、安心して日常生活を続けるための第一歩となります。