目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 超音波で見つかる「小さな石」は何のサイン?「甲状腺乳頭がん」の診断と治療を医師が解説

超音波で見つかる「小さな石」は何のサイン?「甲状腺乳頭がん」の診断と治療を医師が解説

 公開日:2026/02/18
乳頭がんの診断と治療

乳頭がんの診断には超音波検査と細胞診が重要な役割を果たします。治療は主に手術ですが、がんの大きさや広がり、年齢などに応じて方針が決定されます。ここでは画像診断や病理診断の方法、手術の種類、術後の補助療法について解説し、診断から治療までの流れを具体的にお伝えします。

上田 洋行

監修医師
上田 洋行(医師)

プロフィールをもっと見る
【経歴】
大阪大学医学部卒業
住友病院、大阪大学医学部附属病院にて勤務
専門は糖尿病・内分泌・代謝内科
【資格】
・日本専門医機構認定内科専門医
・日本糖尿病学会糖尿病専門医
・内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医

乳頭がんの診断と治療

乳頭がんの診断には、超音波検査と細胞診が中心的な役割を果たします。治療は主に手術ですが、がんの大きさや広がり、年齢などに応じて方針が決定されます。診断から治療までの流れについて説明します。

乳頭がんの画像診断と病理診断

超音波検査では、乳頭がんは低エコー(黒っぽく見える)の結節として描出されることが多いです。内部に微細な石灰化を伴うことがあり、これは診断の重要な手がかりとなります。境界は比較的不整で、周囲への浸潤を示唆する所見が見られることもあります。
細胞診では、特徴的な核の形態が観察されます。すりガラス状の核や核内封入体、核溝といった所見が認められれば、乳頭がんと診断できます。細胞診だけでは濾胞がんとの鑑別が難しい場合もあり、その際は手術で摘出した組織の病理検査により最終診断が確定します。
CTやMRI検査は、がんの広がりやリンパ節転移の評価に用いられます。特に気管や食道への浸潤が疑われる場合や、縦隔リンパ節(肺と肺の間にあるリンパ節)への転移が疑われる場合に有用です。PET-CT検査は、遠隔転移の有無を確認する際に行われることがあります。これらの検査結果を総合的に判断して、治療方針が決定されます。

乳頭がんに対する手術と補助療法

乳頭がんの標準的な治療は手術です。腫瘍の大きさが1cm以下で、リンパ節転移や周囲への浸潤がない場合は、甲状腺の片葉のみを切除する葉切除術が選択されることもあります。腫瘍が大きい場合や両葉に病変がある場合は、甲状腺全摘術が行われます。
リンパ節転移が認められる場合は、リンパ節郭清が追加されます。頸部を中心としたリンパ節を系統的に切除することで、再発リスクを低減します。手術は全身麻酔下で行われ、入院期間は通常1週間前後です。
術後、再発リスクが高いと判断された場合は、放射性ヨウ素内用療法が行われることがあります。これは放射性ヨウ素のカプセルを内服し、残存する甲状腺組織や転移病巣を破壊する治療です。治療後は一定期間の隔離が必要になります。
甲状腺を全摘した場合は、生涯にわたり甲状腺ホルモン薬の内服が必要です。この薬は甲状腺機能を補うだけでなく、TSH(甲状腺刺激ホルモン)を抑制することで、がんの再発を予防する効果も期待されます。定期的な血液検査でホルモン値を確認しながら、適切な量が調整されます。治療法や術後の管理は個人により異なるため、主治医との密な連携が重要です。

まとめ

甲状腺がんは、早期に発見し適切な治療を受けることで、多くの方が良好な予後を得られる疾患です。症状が少ないため見逃されやすい一方で、定期的な健診や自己チェックにより早期発見が可能です。
特に女性では発症率が高く、ライフステージに応じた注意が必要でしょう。首にしこりを感じたり、声の変化が続いたりする場合は、早めに内科や耳鼻咽喉科、内分泌外来などを受診することをおすすめします。
分化型甲状腺がん、特に乳頭がんは進行が緩やかで、適切な治療により長期的な管理が可能な場合が多いとされています。ただし、個々の状況により経過は異なるため、専門医による適切な診断と治療計画が重要です。
生存率は全体として高い水準にありますが、年齢、病期、組織型などの要因により変動します。未分化がんや進行した髄様がんでは予後が厳しい場合もあるため、早期発見の重要性は変わりません。
甲状腺がんに関する不安や疑問がある場合は、専門医に相談することで、個々の状況に応じた適切な情報とサポートを得ることができます。定期的な検査と自己チェックを習慣化し、早期発見・早期治療につなげることが、安心して日常生活を続けるための第一歩となります。

この記事の監修医師

注目記事