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「レビー小体型認知症」の発症リスクは? 脳に溜まる“異常なタンパク質”を解説【医師監修】

 公開日:2026/02/06
「レビー小体型認知症」の発症リスクは? 脳に溜まる“異常なタンパク質”を解説【医師監修】

レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」という異常なタンパク質が蓄積することで発症します。このレビー小体がどのようにして形成され、なぜ症状を引き起こすのかを理解することは、治療や予防を考えるうえで重要です。原因の解明が進むことで、将来的な治療法の開発にもつながることが期待されています。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

プロフィールをもっと見る
脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

レビー小体型認知症の原因とメカニズム

レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」という異常なタンパク質が蓄積することで発症します。このレビー小体がどのようにして形成され、なぜ症状を引き起こすのかを理解することは、治療や予防を考えるうえで重要です。

レビー小体とは何か

レビー小体は、αシヌクレインというタンパク質が異常に凝集して形成される構造物です。健康な脳では、αシヌクレインは神経細胞の機能を助ける役割を果たしていますが、何らかの原因で構造が変化し、凝集しやすくなると、レビー小体として神経細胞内に蓄積します。αシヌクレインは本来、神経細胞の膜やシナプスで働き、神経伝達を円滑にする機能を持っています。

このレビー小体が蓄積すると、神経細胞の正常な働きが妨げられ、神経伝達物質のバランスが崩れます。特にアセチルコリンやドパミンといった重要な神経伝達物質の働きが低下し、認知機能や運動機能に障害が生じます。レビー小体は大脳皮質や脳幹、脊髄など広範囲に分布するため、多様な症状が現れるのが特徴です。レビー小体の分布パターンによって、症状の現れ方や進行速度が異なることも知られています。

発症に関わる要因

レビー小体型認知症の発症原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。まず、加齢は大きなリスク要因です。高齢になるほど発症率が高まることが知られており、60歳以降に発症する方が多い傾向にあります。ただし、まれに若年性のレビー小体型認知症も報告されており、年齢だけが決定要因ではありません。

遺伝的要因も一部関与している可能性があります。家族内に認知症やパーキンソン病の方がいる場合、発症リスクがやや高まるという報告もありますが、明確な遺伝性は確認されていません。大多数の患者さんは孤発例であり、家族歴がないケースが多いです。遺伝的素因は発症リスクを高める要因のひとつに過ぎず、環境要因やその他の因子との複雑な相互作用が発症に関わっていると考えられています。

環境要因や生活習慣の影響も指摘されています。頭部外傷の既往、喫煙、過度の飲酒、運動不足、社会的孤立などが認知症全般のリスクを高めると考えられており、レビー小体型認知症にも同様の影響がある可能性があります。これらの要因は、脳の健康を損なう可能性があり、神経細胞の脆弱性を高めることで、レビー小体の蓄積を促進する可能性が示唆されています。

まとめ

レビー小体型認知症は、幻視やパーキンソン症状、認知機能の変動といった特徴的な症状を持つ認知症です。初期段階での気づきが遅れやすいものの、早期に診断し適切な治療を開始することで、症状の進行を緩やかにし、生活の質(QOL)を保つことが期待できます。原因や余命についてはまだ解明されていない部分も多いですが、現在も研究が進んでおり、将来的にはより効果的な治療法が開発される可能性があります。症状に気づいたら早めに専門の医療機関を受診し、医師や多職種の専門家と連携しながら、患者さんとご家族が前向きに過ごせる環境を整えていきましょう。

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