「がん家系」って本当にあるの?知っておきたい「遺伝性腫瘍」の割合と正解【医師解説】

がんのうち遺伝的要因が強く関与するものは約5〜10%とされ、多くのがんは生活習慣や環境要因が主な原因です。遺伝性乳がん卵巣がん症候群やリンチ症候群など、特定の遺伝子変異が発症リスクを高めるケースがありますが、変異を持つ方が必ずがんを発症するわけではありません。遺伝とがんの関係を正確に知ることで不必要な不安を減らし、家族歴が気になる場合は遺伝カウンセリングを受けることで適切な対策を講じられます。

監修医師:
小坂 真琴(医師)
2022年4月~2024年3月、今村総合病院(鹿児島県鹿児島市)で初期研修を修了
2024年4月よりオレンジホームケアクリニック(福井県福井市) 非常勤医師として在宅診療を行いながら、福島県立医科大学放射線健康管理学講座大学院生として研究に従事
2025年10月よりナビタスクリニックに勤務
週1度、相馬中央病院 (福島県相馬市) 非常勤医師として内科外来を担当
がんと遺伝の関係を正しく理解する
がんの一部は遺伝的要因が関与していますが、多くのがんは生活習慣や環境要因が主な原因です。遺伝とがんの関係を正確に知ることで、不必要な不安を減らし、適切な対策を講じられます。
遺伝性腫瘍の基礎知識
がんのうち、遺伝的要因が強く関与する遺伝性腫瘍は約5〜10%とされています。これは親から受け継ぐ特定の遺伝子変異が発症リスクを大きく高めるケースで、代表例には遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)、リンチ症候群、家族性大腸腺腫症があります。
HBOCはBRCA1またはBRCA2遺伝子の変異により、乳がん・卵巣がんのリスクが一般より大幅に上昇します。リンチ症候群はDNA修復に関わる遺伝子の異常が原因で、大腸がんや子宮内膜がんなどの発症率が高まります。ただし、遺伝子変異を持つ人が必ずがんを発症するわけではなく、他の環境因子や生活習慣も関与します。
家族性大腸腺腫症はAPC遺伝子の変異により若年期から多数の大腸ポリープが生じ、放置すると高確率でがん化します。これら遺伝性腫瘍は、家族内に同じ種類のがんが多い、若い年齢での発症、複数のがんを発症するといった特徴がみられます。
遺伝性腫瘍が疑われる場合の対応
家族内で同じ種類のがんが多発している、若くしてがんを発症した親族がいるといった場合は、遺伝カウンセリングを受けることが推奨されます。専門のカウンセラーや医師が家族歴を詳しく聞き取り、遺伝性腫瘍の可能性を評価します。必要に応じて、血液や唾液を用いた遺伝学的検査が提案され、特定の遺伝子変異の有無を調べます。検査が陽性であった場合には、発症リスクに応じた予防策や定期的な検査(サーベイランス)が計画されます。検査を受けるかどうか、結果を知るかどうかは本人の自由意思で決められます。
たとえばBRCA遺伝子変異が確認された場合は乳房や卵巣の定期検査、場合によっては予防的手術が選択肢となります。リンチ症候群では若年からの大腸内視鏡検査や子宮内膜の検査が推奨されます。
まとめ
がんは誰にでも起こり得る病気ですが、正しい知識を持ち、日々の生活習慣を整え、定期的な検診を受けることで、リスクを下げ、早期発見につなげられる可能性があります。食べ物や運動、遺伝、症状について理解を深めることは、自分自身と大切な方の健康を守る第一歩です。少しでも気になる症状があれば、躊躇せず医療機関に相談し、専門医の診察を受けましょう。早期発見と適切な治療により、多くのがんは克服できる時代です。今日から実践できることを一つずつ始め、健やかな毎日を築いていきましょう。




