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「自律神経失調症」で使用する”薬の効果と副作用”とは?カウンセリング併用の効果も解説!

 公開日:2026/01/18
「自律神経失調症」で使用する”薬の効果と副作用”とは?カウンセリング併用の効果も解説!

自律神経失調症では、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで、全身にさまざまな症状が現れます。動悸や消化器症状、頭痛といった身体症状に加え、不安感や気分の落ち込みなど精神面にも影響が及びます。治療では症状に応じて自律神経調整薬や抗不安薬、抗うつ薬、漢方薬などが用いられます。本記事では、代表的な症状の特徴と日常生活への影響、治療に使用される薬の種類と副作用、服用時の注意点について解説します。

伊藤 有毅

監修医師
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

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専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

自律神経失調症の治療に用いられる薬

自律神経失調症の治療では、症状の種類や程度に応じてさまざまな薬が用いられます。薬物療法は症状の緩和を目的とし、生活習慣の改善や心理療法と組み合わせることで効果が高まります。

自律神経調整薬と抗不安薬

自律神経調整薬は交感神経と副交感神経のバランスを整える作用を持ち、動悸やめまい、発汗異常などの症状に対して処方されます。代表的な薬剤としてはグランダキシンやハイゼットなどがあり、比較的副作用が少なく長期間の服用も可能です。効果は穏やかで即効性は期待しにくいものの、継続的な服用によって症状の安定が図られます。グランダキシン(トフィソパム)などは不安軽減や緊張緩和を目的に処方される薬で、「自律神経を直接整える薬」として承認されているわけではなく、症状に応じて補助的に使用されます。
抗不安薬は不安感やイライラ、緊張が強い場合に用いられ、ベンゾジアゼピン系が中心です。デパスやソラナックスなどが代表的で、即効性があり不安症状を速やかに軽減します。しかしベンゾジアゼピン系は依存や離脱症状のリスクがあるため、原則として数週間〜1カ月以内の短期使用、もしくは必要最小限の量で管理することが推奨されます。
抗不安薬は服用後の眠気やふらつき、集中力低下といった副作用があるため、車の運転や危険を伴う作業を行う場合には注意が必要です。医師の指示に従い、用量や服用時間を守ることが重要です。

抗うつ薬と漢方薬の役割

抗うつ薬は自律神経失調症の背景にうつ状態や不安障害がある場合に処方されます。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が用いられ、気分の安定や意欲の回復を促します。効果が現れるまでには2週間から4週間程度かかることが多く、継続的な服用が求められます。
抗うつ薬の副作用としては、服用初期の吐き気や食欲不振、眠気、口の渇きなどがあります。多くの副作用は数週間で軽減しますが、症状が強い場合には医師に相談し薬の変更や用量調整を行います。
漢方薬は身体全体のバランスを整える考え方に基づき、自律神経失調症の治療に広く用いられます。加味逍遙散や半夏厚朴湯、桂枝加竜骨牡蛎湯などが代表的で、症状や体質に応じて選択されます。漢方薬は副作用が比較的少なく、西洋薬との併用も可能です。効果は緩やかで即効性は期待しにくいものの、長期的な体質改善に役立ちます。
薬物療法は症状を抑えるための一つの手段であり、根本的な治療には生活習慣の見直しやストレス管理が不可欠です。医師と相談しながら、適切な薬を適切な期間使用することが大切です。

薬の副作用と服用時の注意点

自律神経失調症の治療に用いられる薬にはそれぞれ副作用があり、服用時には注意が必要です。副作用を正しく理解し、適切に対処することで安全な治療が可能になります。

薬ごとの主な副作用

自律神経調整薬は比較的副作用が少ないとされますが、眠気や倦怠感、口の渇きが現れることがあります。これらの症状は服用を続けるうちに軽減することが多いものの、日常生活に支障がある場合には医師に相談します。
抗不安薬は眠気やふらつき、記憶障害、筋弛緩作用による転倒リスクが問題となります。高齢の方では特に注意が必要であり、転倒による骨折を防ぐため少量から開始することが一般的です。依存性や耐性が生じる可能性があるため、自己判断で用量を増やしたり長期間使用し続けたりすることは避けるべきです。
抗うつ薬の初期副作用としては吐き気や下痢、食欲不振、眠気が挙げられます。これらは服用開始後2週間程度で軽減することが多く、継続することで効果が現れます。まれに不安感が一時的に増強することがあり、この場合には医師に速やかに報告します。
漢方薬は副作用が少ないとされますが、体質に合わない場合には胃腸障害や発疹、肝機能障害が生じることがあります。漢方薬だから安全という思い込みは避け、症状が現れた場合には早めに相談することが重要です。

服用を続けるためのポイント

薬の効果を得るためには、処方された用法・用量を守り継続的に服用することが必要です。自己判断で服用を中断すると症状が再燃したり、離脱症状が現れたりする場合があります。特に抗うつ薬や抗不安薬は急な中断を避け、減量する際には医師の指導のもとで段階的に行います。
副作用が気になる場合には、服用を止める前に医師に相談し、薬の変更や用量調整を検討します。副作用が強く日常生活に支障をきたす場合には、別の薬への切り替えや他の治療法の併用が検討されます。
服用時間を守ることも大切です。朝と夕、食前や食後など、指示された時間に服用することで効果が安定し副作用も軽減されます。飲み忘れを防ぐために、服用時間を日常生活の習慣に組み込む工夫が有効です。
アルコールとの併用は薬の作用を増強したり副作用を強めたりするため避けるべきです。他の薬やサプリメントとの相互作用もあるため、新たに薬を追加する場合には必ず医師や薬剤師に伝えます。

症状を改善できる生活習慣の見直し

自律神経失調症の治療において、生活習慣の見直しは薬物療法と並ぶ重要な柱です。日常生活の中で自律神経のバランスを整える工夫を取り入れることで、症状の改善が期待できます。

睡眠と食事の見直し

睡眠は自律神経を整えるうえで最も基本的な要素です。毎日同じ時間に就寝し、同じ時間に起床することで体内時計が整い、自律神経の働きが安定します。就寝前にはスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整えることが推奨されます。寝室の温度や湿度、照明を適切に調整し、質の高い睡眠を確保します。
食事では栄養バランスを意識し、規則正しい時間に食べることが大切です。朝食を抜くと血糖値が不安定になり、自律神経の乱れを招くため、軽くても朝食を取る習慣をつけます。カフェインやアルコールの過剰摂取は交感神経を刺激するため控えめにし、水分を適切に摂取します。
ビタミンB群やマグネシウム、カルシウムは神経の働きを支える栄養素であり、野菜や果物、乳製品、魚類を積極的に取り入れることが有効です。過度なダイエットや偏食は避け、身体に必要な栄養を確保します。

運動とストレス管理の重要性

適度な運動は自律神経のバランスを整え、ストレスを軽減する効果があります。ウォーキングやジョギング、ヨガ、水泳など、自分に合った運動を継続的に行うことが推奨されます。激しい運動は逆効果になることがあるため、無理のない範囲で楽しめる運動を選ぶことが大切です。
運動は交感神経と副交感神経の切り替えをスムーズにし、血行を促進して身体の緊張をほぐします。毎日30分程度の軽い運動でも効果があり、継続することで症状の改善が期待できます。
ストレス管理では、自分なりのリラックス方法を見つけることが重要です。深呼吸や瞑想、音楽鑑賞、趣味の時間を持つことで心身の緊張がほぐれます。ストレスの原因を特定し、可能であれば環境を調整することも有効です。職場や家庭での悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に相談することも大切です。
入浴は副交感神経を優位にし、リラックス効果が高いため、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる習慣を取り入れるとよいでしょう。アロマテラピーやマッサージなど、自分が心地よいと感じる方法を試し、日常生活に取り入れることで症状の軽減につながります。

心理療法とカウンセリングの活用

自律神経失調症の背景には心理的ストレスや不安が関与していることが多く、心理療法やカウンセリングが有効な治療手段となります。薬物療法と併用することで、より包括的な治療効果が期待できます。

認知行動療法の役割

認知行動療法は、症状に対する考え方や行動パターンを変えることで症状を軽減する方法です。自律神経失調症では、症状への過度な不安や否定的な思考が症状を悪化させることがあります。認知行動療法では、こうした思考のクセを認識し、より現実的で前向きな考え方に修正していきます。
たとえば動悸が起きたときに「心臓の病気かもしれない」と不安が強まると、さらに症状が悪化します。認知行動療法では、動悸は自律神経の乱れによる一時的な症状であり危険ではないと理解し、冷静に対処する方法を学びます。行動面では、回避していた状況に段階的に挑戦し、成功体験を積み重ねることで自信を取り戻します。
認知行動療法は通常、週に1回程度のセッションを数ヶ月間続けることで効果が現れます。専門のカウンセラーや臨床心理士、医師の指導のもとで進められ、宿題として日常生活での実践が求められます。

カウンセリングとリラクゼーション法

カウンセリングでは、日常生活のストレスや悩みを専門家に話すことで心理的負担が軽減されます。自分の感情や考えを整理し、問題の本質を見つめ直す機会となります。カウンセラーは共感的に話を聞き、問題解決のための具体的な助言や支援を提供します。
リラクゼーション法としては、深呼吸法や漸進的筋弛緩法、自律訓練法などがあります。深呼吸はゆっくりと腹式呼吸を行うことで副交感神経を優位にし、心身の緊張を和らげます。漸進的筋弛緩法は筋肉を意識的に緊張させた後にリラックスさせることで、全身の緊張をほぐします。
自律訓練法は自己暗示を用いたリラクゼーション法で、手足の重さや温かさをイメージすることで心身をリラックスさせます。これらの方法は自宅でも実践でき、継続することで自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
心理療法やカウンセリングは即効性は期待しにくいものの、継続することで症状の根本的な改善につながります。医師と相談しながら、自分に合った方法を取り入れることが重要です。

まとめ

自律神経失調症は適切な診断と治療により改善が期待できる疾患です。症状に悩んでいる方は、一人で抱え込まず専門医に相談し、薬物療法や生活習慣の改善、心理療法を組み合わせた包括的な治療を受けることが大切です。症状が軽いうちに対処することで、日常生活の質を保ちながら回復を目指すことができます。早期の受診と継続的な治療が、症状の改善につながります。

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