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爪に黒い線ができたら要注意!メラノーマを見分けるポイントと受診目安

 公開日:2025/12/20
爪に黒い線ができたら要注意!メラノーマを見分けるポイントと受診目安

メラノーマは皮膚だけでなく爪にも発生することがあり、特に日本人を含むアジア系の方に比較的多く見られる特徴があります。爪の変化は見逃されやすい部位の一つですが、黒褐色の縦線や色調の変化など、特徴的なサインを知っておくことで早期発見につながります。ここでは爪に現れる初期症状と注意すべきポイントを解説します。

本木 智輝

監修医師
本木 智輝(医師)

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神奈川県川崎市 ナビタスクリニック川崎(皮膚科)勤務

新潟大学卒業
日本医科大学皮膚科 助教

爪に現れるメラノーマの初期症状

メラノーマは皮膚だけでなく、爪にも発生することがあります。爪のメラノーマは日本人を含むアジア系の人々に比較的多く見られる特徴があり、見逃されやすい部位の一つです。爪の変化を正しく理解することが早期発見につながります。

爪の縦線や黒い筋の特徴

爪に生じるメラノーマの初期症状として、爪に黒褐色の縦線(色素線条)が現れることがあります。この線は爪の根元から先端に向かって伸び、幅が広く見える場合もありますが、幅の大小だけで良性・悪性を判断することはできません。重要なのは、時間とともに変化するかどうかです。

メラノーマによる縦線は、月日が経つにつれて少しずつ幅が広がったり、色調が濃くなったり、不均一になったりすることがあります。たとえ幅が3mm未満であっても、これらの「変化」がみられる場合は注意が必要です。
また、縦線の幅が不均一で、境界がぼやけている場合も注意が必要です。一本の指だけに現れることが多く、複数の指に同時に出現することは比較的少ないとされています。特に親指、人差し指、足の親指に発生しやすいという報告があります。
さらに進行すると、爪だけでなく、そのまわりの皮膚にまで黒っぽい色が広がって見えることがあります。また、爪が変形したり、薄くなって欠けやすくなったり、爪の下で出血が起きることもあります。このように爪周囲の皮膚まで色がにじむ現象は、「ハッチンソン徴候」と呼ばれ、悪性を疑う重要なサインとされています。
このような色の広がりや爪の形の変化、出血が見られた場合は、早めに皮膚科の専門医に相談することが大切です。

爪の内出血や真菌感染との違い

爪の黒い変色は、メラノーマ以外の原因でも起こることがあります。代表的なのは外傷による内出血で、爪をぶつけたり挟んだりした後に黒紫色の変色が現れます。内出血の場合は、時間とともに爪が伸びるにつれて変色部分も先端に向かって移動し、やがて消失していくのが特徴です。
真菌感染による爪の変色も鑑別が必要な状態です。爪白癬と呼ばれる真菌感染では、爪が白濁したり黄色く変色したりすることがありますが、メラノーマのような黒褐色の縦線とは異なる外観を示します。ただし、真菌感染とメラノーマが併発する可能性もゼロではないため、注意が必要です。
また、加齢による色素線条も良性の変化として知られています。これは細く均一な茶色の縦線として現れ、複数の爪に同時に出現することがあります。メラノーマとの違いは、線の幅が狭く均一で、経時的な変化が乏しい点です。

まとめ

メラノーマは早期に発見できれば治療可能な疾患です。自覚症状に乏しく見逃されやすいという特徴を持つメラノーマですが、皮膚の変化を注意深く観察し、少しでも気になる点があれば専門医に相談することで、早期発見につなげることができます。爪の縦線や皮膚のほくろの変化、特に短期間での急速な変化や出血といった症状は重要なサインです。ABCDEルールを参考にしながら定期的に自己観察を行い、見えにくい部位は家族の協力を得て確認することが推奨されます。紫外線対策などの予防とともに、リスク因子を持つ方は定期的な専門医による検診を受けることで、メラノーマの早期発見と適切な治療につなげていきましょう。

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