目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. メラノーマの進行速度は?初期の変化に気づくためのポイントを医師が解説

メラノーマの進行速度は?初期の変化に気づくためのポイントを医師が解説

 公開日:2025/12/19
メラノーマの進行速度は?初期の変化に気づくためのポイントを医師が解説

メラノーマの進行速度は病変のタイプによって大きく異なり、ゆっくりと広がるものから比較的短期間で深部へ進むものまでさまざまです。早期発見のためには、皮膚の変化がどのくらいの期間で起こるのかを理解し、適切な頻度でセルフチェックを行うことが重要になります。ここでは進行のペースと効果的な観察方法について説明します。

本木 智輝

監修医師
本木 智輝(医師)

プロフィールをもっと見る
神奈川県川崎市 ナビタスクリニック川崎(皮膚科)勤務

新潟大学卒業
日本医科大学皮膚科 助教

メラノーマ初期の進行速度と経過観察のポイント

メラノーマは一部のタイプで速く進行することが知られていますが、進行のスピードは種類によって大きく異なります。そのため、初期段階での適切な経過観察と早期の医療機関受診が重要になります。ここでは進行のペースや観察時の具体的なポイントについて説明します。

どのくらいの期間で変化が起こるのか

メラノーマの進行には個人差があり、さらに病変のタイプによって特徴が異なります。たとえば、最も多い「表在拡大型メラノーマ(SSM)」は、まず“横に広がる”時期が続き、数ヶ月〜数年かけて皮膚の表面をゆっくりと広がっていくのが一般的です。その後、時間とともに皮膚の深い層へ入り込むようになります。
これに対して、「結節型メラノーマ(NM)」は“盛り上がってくる”タイプで、比較的短い期間でコブのように立ち上がり、早い段階から皮膚の深い部分へ向かって進行しやすい傾向があります。
実際の臨床では、数週間から数ヶ月の間に明らかな大きさの変化や色の変化を認めるケースが報告されています。特に注意すべきなのは、以前から存在していたほくろが急に変化し始めた場合です。長年変わらなかったほくろが急に大きくなったり、色が濃くなったり、形が変わったりした場合は、速やかに皮膚科を受診する必要があります。
また、新たに出現した色素斑が短期間で変化する場合も警戒が必要です。成人になってから新しくできるほくろは、良性であっても定期的な観察が推奨されます。変化のペースを把握するため、気になる病変の写真を定期的に撮影しておくことも有効な方法といえるでしょう。

セルフチェックの適切な頻度と方法

メラノーマの早期発見には、定期的なセルフチェックが欠かせません。皮膚科の専門医は、月に1回程度の自己観察を推奨しています。特に紫外線を多く浴びる季節の後や、日焼けをした後には注意深く観察することが大切です。
セルフチェックの方法としては、明るい場所で全身の皮膚を鏡を使って観察します。手の届きにくい背中や頭皮、足の裏などは、家族に協力してもらうか、手鏡を使って確認するとよいでしょう。既存のほくろやしみの大きさ、色、形を記録しておき、前回との違いを比較することが重要です。

まとめ

メラノーマは早期に発見できれば治療可能な疾患です。自覚症状に乏しく見逃されやすいという特徴を持つメラノーマですが、皮膚の変化を注意深く観察し、少しでも気になる点があれば専門医に相談することで、早期発見につなげることができます。爪の縦線や皮膚のほくろの変化、特に短期間での急速な変化や出血といった症状は重要なサインです。ABCDEルールを参考にしながら定期的に自己観察を行い、見えにくい部位は家族の協力を得て確認することが推奨されます。紫外線対策などの予防とともに、リスク因子を持つ方は定期的な専門医による検診を受けることで、メラノーマの早期発見と適切な治療につなげていきましょう。

この記事の監修医師

注目記事