健康診断で「γ-GTP」の数値が高いと言われた… 数値が上がる3つの理由と改善法を消化器専門医が解説

γ-GTPは肝臓の健康状態を評価する重要な指標です。健康診断で数値が高いと指摘されると不安になる方も多いでしょう。この酵素は肝臓や胆道系に多く分布しており、細胞が損傷を受けると血液中に漏れ出すため、数値の上昇として確認できます。基準値や上昇のメカニズムを正しく理解することで、適切な対処につなげることができます。

監修医師:
藤原 大輔(医師)
1999年香川大学卒業
1999年4月香川大学放射線科勤務
2000年4月岡山大学第二内科勤務
2000年6月十全総合病院勤務
2001年6月岡山赤十字病院勤務
2011年5月クリニック開業
2022年8月以降体調不良により離職中
【免許・資格】
総合内科専門医
消化器内視鏡学会専門医
消化器病学会専門医
目次 -INDEX-
γ-GTPとは何か
γ-GTPは正式には「ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ」と呼ばれる酵素です。この酵素は肝臓をはじめ、腎臓や膵臓、脾臓など身体のさまざまな臓器に存在していますが、特に肝臓や胆道系に多く分布しています。γ-GTPはグルタチオンという抗酸化物質の代謝に関わる酵素で、アミノ酸の再利用などに関与します。ただし、タンパク質合成や毒素分解を直接行う酵素ではありません。この酵素の大きな特徴は、肝臓や胆道系に何らかの障害が生じると、細胞が壊れてγ-GTPが血液中に漏れ出すことです。そのため血液検査でγ-GTPの数値を測定することで、肝臓や胆道の健康状態を間接的に知ることができます。特に、アルコールによる肝障害や胆道系疾患の早期発見に役立つ指標として、健康診断や人間ドックで欠かせない検査項目となっています。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど、症状が出にくい臓器です。そのため、γ-GTPの数値は自覚症状が現れる前に肝臓の異常を知らせてくれる重要なサインと言えます。日々の生活習慣や飲酒量の影響を反映しやすく、早めに対策を取ることが健康維持には欠かせません
γ-GTPの正常値
γ-GTPの基準範囲は医療機関によって若干異なりますが、一般的には男性で50IU/L以下、女性で30IU/L以下が正常値とされています。男性のほうが基準値が高めに設定されているのは、体格や筋肉量、平均的なアルコール摂取量の違いなどが影響していると考えられています。
健康診断では、この基準値を超えた場合に「要注意」や「要精密検査」といった判定が下されます。ただし、基準値をわずかに超えた程度であれば、食生活や運動習慣などの生活習慣の改善で正常化することも十分に可能です。一方で、基準値の数倍を超える高値が続く場合は、肝臓や胆道系に重大な疾患が潜んでいる可能性もあるため、自己判断せず、速やかに医療機関での二次検査を受けることが勧められます。また、一度高値が出た場合は「前回との比較」もとても重要です。同じ生活をしていて数値が徐々に上昇している場合は、肝臓のダメージが蓄積しているサインであるため、早めの対策が必要です。
γ-GTPが上昇するメカニズム
γ-GTPは通常、肝細胞や胆管の細胞膜に存在していますが、これらの細胞が何らかの理由で損傷を受けると、細胞内のγ-GTPが血液中に放出されます。たとえば、アルコールの過剰摂取によって肝細胞が傷つくと、細胞膜が破れてγ-GTPが血液中に流れ出します。
また、胆汁の流れが悪くなる胆汁うっ滞という状態でも、γ-GTPは上昇します。胆汁は肝臓で作られて胆管を通り、十二指腸へと運ばれますが、この経路が胆石や腫瘍などで詰まると、胆汁が逆流して肝細胞にダメージを与えます。その結果、γ-GTPが血液中に漏れ出し、数値が高くなるのです。さらに、肝臓で薬物を代謝する際にもγ-GTPは間接的に関与しており、薬剤の影響で酵素が誘導されることで数値が上昇することもあります。
まとめ
γ-GTPは肝臓や胆道の健康状態を示す重要な指標であり、数値の上昇は肝細胞の障害や胆汁うっ滞を反映しています。主な原因としてアルコールの過剰摂取が知られていますが、肥満や脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病、薬剤の影響、胆道系疾患なども関与します。高い状態を放置すると肝硬変や肝がんへと進行するリスクがあるため、早期の対処が不可欠です。改善には食事の見直し、運動習慣の確立、禁酒や節酒が有効であり、必要に応じて医療機関での治療を受けることが大切です。定期的な検査で数値の推移を確認し、専門医の指導のもと適切な管理を続けることで、肝臓の健康を守り、全身の健康維持につなげることができます。
参考文献