「乳房再建手術」はどのようなことに考慮して進める?【医師監修】

乳房切除術を受けた患者さんには、乳房再建という選択肢があります。再建には複数の方法があり、それぞれに利点と考慮すべき点があります。手術と同時に行う一次再建か、治療終了後に行う二次再建か、またインプラントを用いるか自家組織を用いるかなど、さまざまな選択肢が存在します。本章では、乳房再建のタイミングや方法、そして再建を選択する際に考慮すべきポイントについて詳しく見ていきましょう。

監修医師:
尾崎 章彦(医師)
平成22年3月 東京大学医学部医学科卒業
平成22年4月 国保旭中央病院初期研修プログラム
平成24年4月 竹田綜合病院 外科
平成26年10月 南相馬市立総合病院外科 外科
平成30年1月 大町病院 外科
平成30年7月 ときわ会常磐病院(福島県いわき市) 乳腺外科
【資格】
専門:外科学、乳腺腫瘍学、災害医学、利益相反、医学教育
日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 専門医
日本乳癌学会 乳腺専門医
検診マンモグラフィ読影認定
乳房超音波読影認定
目次 -INDEX-
乳房再建の選択肢
乳房切除術を受けた患者さんには、乳房再建という選択肢があります。再建には複数の方法があり、それぞれに利点と考慮すべき点があります。
再建のタイミングと方法
乳房再建は一次再建と二次再建に分けられます。一次再建は乳房切除術と同時に行う方法で、乳房を失った状態の期間をなくせる利点があります。二次再建はがんの治療が一段落してから行う方法で、がん治療に専念したあとに再建を検討できる点がメリットです。
再建方法には大きく分けて人工物(シリコンインプラント)を用いる方法と、自家組織(自分の身体の組織)を用いる方法があります。インプラント再建は手術時間が比較的短く、身体への負担が少ない一方、定期的な交換が必要となる場合があります。自家組織再建は腹部や背中の皮膚と脂肪を移植する方法で、自然な感触が得られますが、手術時間が長く提供部位に傷が残ります。再建方法の選択は、患者さんの体型や皮膚の状態、希望する結果などを考慮して決定されます。
再建を選択する際の考慮点
乳房再建を受けるかどうか、受ける場合にどの方法を選ぶかは、患者さんの価値観や生活スタイル、全身状態などを総合的に考慮して決定します。再建手術には一定の合併症リスクがあり、感染や創傷治癒遅延などが生じる可能性があります。放射線療法を受ける予定がある場合は、再建のタイミングや方法に制約が生じることがあります。
また、再建後も定期的な診察が必要であり、長期的なフォローアップを理解しておくことが大切です。保険適用の条件や自己負担額についても事前に確認しておくとよいでしょう。再建を行わない選択も十分に尊重されるべきであり、エピテーゼなどの補正具を用いることで外見を整えることも可能です。再建に関する決定は急ぐ必要はなく、十分な情報を得たうえで時間をかけて考えることができます。
まとめ
乳がんの治療は、がんそのものへの対処だけでなく、身体機能や外見、心理面など多面的なケアが必要となります。ステージに応じた適切な治療選択により、生存率は着実に向上しています。治療による見た目の変化は避けられない場合もありますが、再建やアピアランスケアなどの対策により、患者さんの生活の質を保つことが期待できます。気になる症状があれば早期に専門の医師を受診し、個別化された治療計画を立てることが大切です。医療チームと十分に相談しながら、自分に合った治療とケアを選択していきましょう。