「乳がんの治療後」はどんなことに気を付けて生活したらいい?【医師監修】

治療が一段落したあとも、外見の変化への対応や日常生活の工夫が必要となることがあります。適切なケアとサポートにより、治療後の生活の質を高めることが期待できます。リンパ浮腫の予防や管理、スキンケア、アピアランスケアなど、長期的な視点での外見管理が重要になります。本章では、治療後の生活における外見管理の具体的な方法と、患者さんが自分らしく過ごすための工夫について解説します

監修医師:
尾崎 章彦(医師)
平成22年3月 東京大学医学部医学科卒業
平成22年4月 国保旭中央病院初期研修プログラム
平成24年4月 竹田綜合病院 外科
平成26年10月 南相馬市立総合病院外科 外科
平成30年1月 大町病院 外科
平成30年7月 ときわ会常磐病院(福島県いわき市) 乳腺外科
【資格】
専門:外科学、乳腺腫瘍学、災害医学、利益相反、医学教育
日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 専門医
日本乳癌学会 乳腺専門医
検診マンモグラフィ読影認定
乳房超音波読影認定
目次 -INDEX-
治療後の生活と外見管理
治療が一段落したあとも、外見の変化への対応や日常生活の工夫が必要となることがあります。適切なケアとサポートにより、治療後の生活の質を高めることが期待できます。
リンパ浮腫の予防と管理
リンパ節郭清や放射線療法を受けた患者さんは、リンパ浮腫のリスクがあります。リンパ浮腫は一度発症すると完治が難しいため、予防が重要です。重い荷物を持つことや腕の締め付け、採血や血圧測定を患側で行うことは避けるよう指導されます。皮膚の清潔を保ち、小さな傷からの感染を防ぐことも大切です。
もし腕のむくみや重だるさを感じた場合は、早期に専門家に相談することで進行を抑えられる可能性があります。リンパドレナージと呼ばれるマッサージや圧迫療法、運動療法などにより症状の改善が期待できます。リンパ浮腫の発症時期は手術後すぐから数年後までさまざまであり、長期的な注意が必要です。ただし、予防策を行ってもすべての発症を防げるわけではなく、発症のリスクには個人差があります。
スキンケアとアピアランスケア
治療による皮膚の変化に対しては、適切なスキンケアが有効です。放射線療法後の皮膚は乾燥しやすく敏感になるため、刺激の少ない保湿剤を使用します。化学療法による爪の変化に対しては、手袋の着用や保湿が推奨されます。
アピアランスケアとは、医学的・整容的・心理社会的支援を通じて外見の変化に対処する取り組みです。ウィッグや帽子、スカーフの選び方、メイクアップの工夫など、具体的な方法について専門家からアドバイスを受けることができます。多くの医療機関ではアピアランスケアに関する外来や相談窓口を設けており、患者さんが自分らしさを保ちながら社会生活を送れるよう支援しています。アピアランスケアは医療的な必要性だけでなく、心理的な支援としても重要な役割を果たします。
まとめ
乳がんの治療は、がんそのものへの対処だけでなく、身体機能や外見、心理面など多面的なケアが必要となります。ステージに応じた適切な治療選択により、生存率は着実に向上しています。治療による見た目の変化は避けられない場合もありますが、再建やアピアランスケアなどの対策により、患者さんの生活の質を保つことが期待できます。気になる症状があれば早期に専門の医師を受診し、個別化された治療計画を立てることが大切です。医療チームと十分に相談しながら、自分に合った治療とケアを選択していきましょう。