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「前立腺がん」が隠れているかも… 夜間頻尿や残尿感に隠された病気のリスク

 公開日:2025/12/31
前立腺がんの初期症状と早期発見の重要性

前立腺がんは初期にはほとんど自覚症状がないことが多く、健康診断でのPSA検査によって偶然発見されることが少なくありません。排尿困難や頻尿といった症状が現れることもありますが、前立腺肥大症でも同様の症状が見られるため、症状だけでは判断できません。早期発見のためには定期的な検査が重要です。

新村 浩明

監修医師
新村 浩明(ときわ会 常磐病院)

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ときわ会常磐病院院長
いわき市医師会副会長
いわき市病院協議会副理事

【経歴】
平成5年 富山大学医学部卒
平成5年 東京女子医科大学泌尿器科入局
平成17年9月 ときわ会 いわき泌尿器科病院
平成23年6月 ときわ会 常磐病院(福島県いわき市)
平成27年9月 ときわ会 常磐病院 院長就任

【資格】
日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本透析医学会 専門医・指導医
日本臨床腎移植学会 認定医
日本核医学会 PET核医学認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医

前立腺がんの初期症状と早期発見の重要性

前立腺がんは、初期にはほとんど自覚症状がないことが多く、健康診断や人間ドックでのPSA検査によって偶然発見されることが少なくありません。早期発見のためには、定期的な検査と症状に対する注意が欠かせません。

初期に現れる症状

前立腺がんの初期には、多くの場合、自覚症状はありません。しかし、がんが大きくなり尿道を圧迫するようになると、排尿困難、頻尿、残尿感、尿の勢いの低下、夜間の頻尿などの症状が現れることがあります。これらの症状は、前立腺肥大症でも見られるため、症状だけでがんと肥大症を区別することは困難です。

また、前立腺がんが進行すると、血尿や精液に血が混じる血精液症が見られることもあります。さらに進行してリンパ節や骨に転移すると、腰痛、背中の痛み、脚のしびれ、体重減少、疲労感などが現れることがあります。これらの症状がある場合には、早めに泌尿器科を受診し、適切な検査を受けることが重要です。

早期発見のための検査

前立腺がんの早期発見には、PSA検査が有効です。PSAは前立腺から分泌されるタンパク質で、血液検査で測定できます。一般的に、PSA値が4.0ng/mL以上の場合には、前立腺がんの可能性が疑われ、さらに詳しい検査が推奨されます。ただし、PSA値は前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇するため、高値だからといって必ずしもがんとは限りません。

PSA検査で異常が見つかった場合には、直腸診、超音波検査、MRI検査などを行い、必要に応じて前立腺生検が実施されます。前立腺生検は、前立腺の組織を採取してがん細胞の有無を調べる検査であり、診断の確定に不可欠です。50歳以上の男性や、家族にがんの病歴がある方は、定期的なPSA検査を受けることが推奨されます。

まとめ

前立腺がんの診断を受けた際には、誰もが不安を感じるものです。しかし、早期に発見し適切な治療を受ければ、良好な経過をたどることができるがんの一つでもあります。治療法は多岐にわたり、手術療法、放射線療法、ホルモン療法など、患者さんの状態や希望に応じた選択が可能です。

費用面では、高額療養費制度や医療費控除、民間保険を活用することで、経済的な負担を軽減できます。前立腺がんは初期症状に乏しいため、定期的なPSA検査による早期発見が何よりも重要です。不安や疑問があれば、泌尿器科の専門の医師に相談し、納得のいく治療を選ぶことが大切です。ご自身の身体と向き合いながら、医師や医療スタッフと協力して、より良い治療と生活を目指していきましょう。

この記事の監修医師