切らない「前立腺がん」治療。最新放射線とホルモン療法のリアルな経過と副作用

手術以外の治療法として、放射線療法とホルモン療法は重要な選択肢となります。放射線療法には外照射療法と小線源療法があり、ホルモン療法はがんの増殖に関わる男性ホルモンの働きを抑える方法です。がんの進行度や患者さんの状態に応じて、単独で行われることもあれば、組み合わせて用いられることもあります。

監修医師:
新村 浩明(ときわ会 常磐病院)
いわき市医師会副会長
いわき市病院協議会副理事
【経歴】
平成5年 富山大学医学部卒
平成5年 東京女子医科大学泌尿器科入局
平成17年9月 ときわ会 いわき泌尿器科病院
平成23年6月 ときわ会 常磐病院(福島県いわき市)
平成27年9月 ときわ会 常磐病院 院長就任
【資格】
日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本透析医学会 専門医・指導医
日本臨床腎移植学会 認定医
日本核医学会 PET核医学認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
放射線療法とホルモン療法の選択
放射線療法とホルモン療法は、手術療法と並んで前立腺がんの主要な治療法です。がんの進行度や患者さんの状態に応じて、単独で行われることもあれば、組み合わせて行われることもあります。
放射線療法の種類と適応
放射線療法には大きく分けて、外照射療法と小線源療法の2種類があります。外照射療法は、身体の外から前立腺に向けて放射線を照射する方法で、通常は週5回、7週間から8週間程度の通院治療が必要で、患者さんの生活リズムに合わせたスケジュールで行われます。近年では、IMRT(強度変調放射線治療)やVMAT(強度変調回転照射)といった高精度な照射技術が普及し、周囲の正常組織への影響を抑えながら、がん細胞に集中的に放射線を届けることが可能になっています。
小線源療法は、前立腺内部に放射線を放出する小さなカプセル(シード)を埋め込む方法で、低線量率の永久挿入型と、高線量率の一時挿入型があります。低線量率の小線源療法は、日帰りまたは短期入院で行われることが多く、治療後の通院回数が少ないというメリットがあります。高線量率の場合は、入院期間はやや長くなりますが、短時間で強い放射線を集中して当てられるため、治療効果が高いケースがあります。放射線療法の副作用としては、排尿時の痛みや頻尿、直腸の炎症による下痢や出血などが挙げられますが、多くは一時的なもので、治療終了後には改善する傾向がありますが、一部では長期に続くことがあります。
ホルモン療法の仕組みと効果
ホルモン療法は、前立腺がんが男性ホルモン(アンドロゲン)によって増殖する性質を利用し、男性ホルモンの分泌を抑えたり、がん細胞への作用を阻害したりする治療法です。具体的には、LH-RHアゴニストやLH-RHアンタゴニストといった注射薬を用いて精巣からのホルモン分泌を抑制する方法や、抗アンドロゲン薬を内服してホルモンの作用を阻害する方法があります。
ホルモン療法は、進行したがんや転移がある場合に選択されることが多く、症状の緩和や病状の進行を遅らせる効果が期待されます。ただし体に及ぼす影響もあるため、注意が必要です。主な副作用としては、ほてりや発汗、性欲の低下、骨密度の低下、体重増加などが報告されており、長期間にわたる治療では、骨粗鬆症や心血管系への影響にも注意が必要です。定期的に骨密度の測定や血液検査を行い、医師と相談を通じて副作用への対策を講じながら治療を続けることが大切です。
まとめ
前立腺がんの診断を受けた際には、誰もが不安を感じるものです。しかし、早期に発見し適切な治療を受ければ、良好な経過をたどることができるがんの一つでもあります。治療法は多岐にわたり、手術療法、放射線療法、ホルモン療法など、患者さんの状態や希望に応じた選択が可能です。
費用面では、高額療養費制度や医療費控除、民間保険を活用することで、経済的な負担を軽減できます。前立腺がんは初期症状に乏しいため、定期的なPSA検査による早期発見が何よりも重要です。不安や疑問があれば、泌尿器科の専門の医師に相談し、納得のいく治療を選ぶことが大切です。ご自身の身体と向き合いながら、医師や医療スタッフと協力して、より良い治療と生活を目指していきましょう。


