「プロテインシェイク」を過剰摂取すると現れる”3つのリスク”はご存じですか?【医師監修】

プロテインシェイクには多様なメリットがある一方で、理解しておくべきデメリットも存在します。過剰摂取による内臓への負担や、消化器系のトラブル、栄養の偏りなど、適切に活用するために知っておくべき注意点があります。ここではプロテインシェイクを利用する際に注意したいデメリットについて、腎臓への影響と消化器症状という2つの重要な側面から解説します。

監修医師:
濱木 珠恵(ナビタスクリニック新宿)
北海道大学医学部を卒業後、国立国際医療センターにて研修。
虎の門病院、国立がんセンター中央病院で造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院での血液疾患診療を経て、2012年にナビタスクリニック東中野院長、2016年よりナビタスクリニック新宿院長に就任。
貧血外来や女性内科などで女性の健康をサポート。
【専門・資格・所属】
血液内科、貧血、女性内科、内科一般
日本血液学会 専門医
日本内科学会 認定医
プロテインシェイク摂取におけるデメリット
プロテインシェイクには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。過剰摂取による腎臓への負担や、消化器症状と栄養バランスの偏りなど、適切に活用するために理解しておくべき注意点について解説します。
過剰摂取による腎臓への負担
タンパク質を過剰に摂取すると、腎臓に負担がかかる可能性があります。タンパク質は体内で代謝される過程で窒素化合物を生成し、これらは腎臓で処理されて尿として排出されます。過剰な摂取が続くと、腎臓の処理能力を超えてしまい、腎機能に悪影響を及ぼすリスクがあります。特にもともと腎機能に問題がある方や、腎臓病の既往歴がある方は注意が必要です。腎機能が低下している場合、タンパク質の制限が必要になることがあり、自己判断での摂取は避けましょう。事前に医師に相談し、適切な摂取量について指導を受けることが推奨されます。
健康な成人であっても、体重1kgあたり2.0gを超えるタンパク質の長期的な摂取は、腎臓への負担増加につながる可能性が指摘されています。プロテインシェイクを利用する際は、食事からの摂取量も含めた総量を把握し、過剰にならないよう管理することが大切です。また、タンパク質の代謝には水分が必要であるため、十分な水分摂取を心がけることも重要です。
消化器症状と栄養バランスの偏り
プロテインシェイクを摂取すると、腹部膨満感、下痢、便秘などの消化器症状が現れることがあります。特に、乳糖不耐症の方がホエイプロテインを摂取した場合、乳糖による症状が出やすくなります。このような場合は、乳糖を除去した製品や植物性プロテインを選ぶことで症状を軽減できます。
また、プロテインシェイクに頼りすぎると、食事全体の栄養バランスが偏るリスクがあります。タンパク質以外にも、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、身体に必要な栄養素は多岐にわたります。プロテインシェイクだけで食事を置き換えると、これらの栄養素が不足する可能性があります。特に、食物繊維の不足は便秘を引き起こしやすく、腸内環境の悪化にもつながります。また、肝臓が悪い人はタンパク質の摂取量に気をつける必要もあります。
まとめ
プロテインシェイクは、適切に活用すれば健康維持やダイエットに役立つ有用なツールです。健康効果やメリットを理解し、デメリットや飲みすぎのリスクにも注意を払いながら、自分の目的や身体の状態に合わせて利用することが大切です。タンパク質の必要量は個人差が大きく、年齢や性別、活動量、健康状態によって異なります。不安な点がある場合や、基礎疾患をお持ちの方は、医師や管理栄養士などの専門家に相談したうえで取り入れることをおすすめします。バランスの取れた食事と適度な運動を基本としながら、プロテインシェイクを補助的に活用し、健やかな生活を目指していきましょう。