目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「2型糖尿病」の人は『何』を“いつ”食べたら良いかご存じですか?【医師解説】

「2型糖尿病」の人は『何』を“いつ”食べたら良いかご存じですか?【医師解説】

 公開日:2026/02/07
「2型糖尿病」の人は『何』を“いつ”食べたら良いかご存じですか?【医師解説】

2型糖尿病の管理において食事療法は極めて重要な要素です。精製された炭水化物や糖質、脂質の多い食品は血糖値を急激に上昇させやすく、肥満やインスリン抵抗性を助長する可能性があります。一方で食物繊維を豊富に含む野菜や全粒穀物を取り入れ、バランスの取れた食事を規則正しく摂ることで血糖コントロールは改善します。2型糖尿病は完治が難しいとされますが、適切な管理により寛解状態を維持し、合併症を予防しながら健康的な生活を送ることは十分に可能です。

井筒 琢磨

監修医師
井筒 琢磨(医師)

プロフィールをもっと見る
江戸川病院所属。専門領域分類は内科(糖尿病内科、腎臓内科)
2014年 宮城県仙台市立病院 医局
2016年 宮城県仙台市立病院 循環器内科
2019年 社会福祉法人仁生社江戸川病院 糖尿病・代謝・腎臓内科
所属学会:日本内科学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本不整脈心電図学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコー学会

血糖値を安定させる食事のポイント

食事の内容だけでなく、食べ方やタイミングも血糖コントロールに影響します。日常生活に取り入れやすい工夫を知ることで、無理なく血糖値を安定させることが可能です。

食物繊維とバランスの取れた食事

食物繊維は糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急激な上昇を防ぐ効果があります。野菜、海藻、きのこ、豆類などを積極的に取り入れることで、食後の血糖値スパイクを抑えることができます。食事の最初に野菜を食べる「ベジファースト」という方法は、血糖値の上昇を緩やかにする効果が報告されており、簡単に実践できる工夫の一つです。
また、炭水化物、たんぱく質、脂質のバランスを考えた食事も重要です。炭水化物だけに偏らず、魚や大豆製品、卵などのたんぱく質を適量摂ることで満腹感が得られ、食べ過ぎを防ぐことができます。脂質は良質な油を少量使用し、オメガ3脂肪酸を含む青魚やナッツ類を取り入れることが推奨されます。

食事のタイミングと量のコントロール

1日3食を規則正しく摂ることは、血糖値の安定に寄与します。食事を抜くと次の食事で血糖値が急上昇しやすくなり、膵臓に負担をかけます。特に朝食を抜くことは避け、1日のエネルギー配分を均等にすることが望ましいでしょう。
また、夜遅い時間の食事や就寝前の間食は血糖値の上昇を招きやすく、肥満の原因にもなります。夕食は就寝の3時間前までに済ませ、量も控えめにすることが理想的です。間食が必要な場合は、ナッツ類やヨーグルト、少量の果物など、血糖値への影響が少ない食品を選ぶと良いでしょう。

2型糖尿病は治らないのか

2型糖尿病は「治らない」と表現されることが多く、患者さんにとっては重い現実として受け止められがちです。しかし、この表現には正確な理解が必要であり、実際には適切な管理によって健康的な生活を送ることが可能です。

完治と寛解の違い

医学的に「完治」とは、疾患が完全に消失し、治療を必要としなくなった状態を指します。2型糖尿病の場合、一度発症すると膵臓の機能やインスリン抵抗性の根本的な原因を完全に元に戻すことは困難であり、この意味での完治は難しいとされています。
一方で「寛解」という概念があります。これは治療介入によって症状がコントロールされ、薬物療法を必要としない状態を維持できることを意味します。実際に、体重減少や食生活や運動習慣の大幅な改善により、血糖値が正常範囲に戻り、薬の服用を中止できる患者さんも存在します。ただし、これは糖尿病が消えたわけではなく、食生活や運動習慣が乱れれば再び血糖値が上昇するリスクは残ります。

長期的な管理の必要性

2型糖尿病は慢性疾患であり、長期にわたる管理が求められます。血糖値をコントロールし、合併症を予防するためには、継続的な食事療法、運動療法、必要に応じた薬物療法が不可欠です。定期的な受診と検査によって、血糖値だけでなくHbA1c、血圧、脂質などを総合的にモニタリングし、治療方針を調整していくことが重要です。
「治らない」という言葉が持つネガティブな印象にとらわれず、適切な管理によって合併症を防ぎ、日常生活の質を保つことが可能であることを理解することが大切です。医療の進歩により、新しい治療薬やデバイスが登場しており、血糖管理の選択肢は広がっています。

合併症のリスクと予防

2型糖尿病の真の怖さは、高血糖が長期間続くことで全身の血管や神経にダメージが蓄積し、重篤な合併症を引き起こす点にあります。合併症の種類とリスクを知り、予防に努めることが長期的な健康維持につながります。

細小血管障害と大血管障害

糖尿病の合併症は、細い血管が障害される「細小血管障害」と、太い血管が障害される「大血管障害」に大別されます。細小血管障害には糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があり、いずれも高血糖が原因で全身の細い血管にダメージが蓄積することで生じます。
糖尿病網膜症は失明の原因となり得る重篤な合併症であり、初期には自覚症状がないため定期的な眼科検診が欠かせません。糖尿病腎症は腎機能の低下を招き、進行すると透析治療が必要になる場合があります。糖尿病神経障害は感覚の鈍化や痛みを引き起こし、足の壊疽につながるリスクもあります。
大血管障害には心筋梗塞や脳梗塞、末梢動脈疾患が含まれ、糖尿病患者さんはこれらの疾患のリスクが高いことが知られています。血糖コントロールだけでなく、血圧や脂質の管理も並行して行うことが、大血管障害の予防には重要です。

合併症を防ぐための日常管理

合併症を予防するためには、血糖値を目標範囲内に維持することが基本です。HbA1cを7.0%未満に保つことが一般的な目標とされていますが、年齢や合併症の有無、低血糖のリスクなどに応じて個別に設定されます。
定期的な検査も欠かせません。血糖値やHbA1cのほか、尿検査で腎機能を評価し、眼科で眼底検査を受けることで、早期に異常を発見し対処することが可能です。足のケアも重要であり、毎日足の状態を観察し、傷や変色がないか確認することで、神経障害や血流障害による重症化を防ぐことができます。

まとめ

2型糖尿病は発症メカニズムや原因、症状、食事管理、そして治療の現実について正しく理解することで、適切な対応が可能になります。遺伝的要因や生活習慣、加齢など複合的な要素が関わる疾患ですが、早期発見と継続的な管理により、合併症のリスクを大幅に減らし、質の高い日常生活を維持することができます。症状に気づいたら早めに医療機関を受診し、専門医の指導のもとで治療計画を立てることが大切です。

この記事の監修医師

注目記事