糖尿病やがんも早期発見!定期的な「血液検査」でわかる病気の種類を解説

血液検査は多くの疾患の早期発見に大きく貢献し、症状が出る前の段階で異常を捉えられることも少なくありません。定期的な検査により、生活習慣病やがん、血液疾患などを早期に発見し、適切な治療へつなげることが可能です。早期発見により治療の選択肢が広がり、予後の改善が期待できるケースも多くあります。ここでは生活習慣病の早期発見と、がんや血液疾患の発見について、それぞれの重要性を解説します。

監修医師:
濱木 珠恵(ナビタスクリニック新宿)
北海道大学医学部を卒業後、国立国際医療センターにて研修。
虎の門病院、国立がんセンター中央病院で造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院での血液疾患診療を経て、2012年にナビタスクリニック東中野院長、2016年よりナビタスクリニック新宿院長に就任。
貧血外来や女性内科などで女性の健康をサポート。
【専門・資格・所属】
血液内科、貧血、女性内科、内科一般
日本血液学会 専門医
日本内科学会 認定医
目次 -INDEX-
血液検査で早期発見できる主な病気
血液検査は多くの疾患の早期発見に貢献します。症状が出る前の段階で異常を捉えられることも多く、定期的な検査の重要性が認識されています。
生活習慣病の早期発見
糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)などの生活習慣病は、初期には自覚症状がほとんどありません。血液検査により早期に発見し、生活習慣の改善や治療を開始することで、重篤な合併症を予防できる可能性があります。
糖尿病は放置すると神経障害、網膜症、腎症といった三大合併症のほか、動脈硬化の進行により心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まることがあります。脂質異常症も動脈硬化を促進し、血管系の疾患につながる可能性があります。これらは相互に関連し合うことが多く、メタボリックシンドロームとして総合的に管理することが推奨されています。
高尿酸血症は痛風発作の原因となるだけでなく、腎臓病や尿路結石のリスクも高める可能性があります。尿酸値が7.0mg/dLを超える場合は、食事療法や薬物療法による管理が検討されます。これらの疾患は血液検査で容易にスクリーニングでき、早期介入により長期的な予後が改善する可能性が高まります。生活習慣の見直しが治療の基本となるため、検査結果をきっかけに健康的な生活を始めることが大切です。
がんや血液疾患の発見
血液検査は一部のがんや血液疾患の早期発見にも役立つことがあります。白血病やリンパ腫などの血液がんでは、白血球数や血小板数の異常、貧血などが初期から見られることがあります。腫瘍マーカーは特異度が完全ではありませんが、他の検査と組み合わせることで診断の一助となります。
肝臓がんでは腫瘍マーカーのAFP(アルファフェトプロテイン)が上昇することがあり、慢性肝炎や肝硬変の方では定期的な測定が推奨されます。前立腺がんのPSA(前立腺特異抗原)検査は、50歳以上の男性に推奨されることが多いスクリーニング検査です。
ただし、血液検査だけでがんを診断することはできません。異常値が見られた場合は、画像検査(CT、MRI、超音波など)や内視鏡検査、組織検査などの精密検査が必要です。早期発見により治療の選択肢が広がり、予後の改善が期待できる可能性があるため、定期的な検査と異常時の速やかな精査が重要です。検査で異常が見つかった場合は、過度に不安にならず、医師の指示に従って適切な検査を受けることが大切です。
まとめ
血液検査は全身の健康状態を把握できる有用な検査です。血球系検査、生化学検査、その他の特殊検査により、貧血、感染症、肝臓・腎臓の機能異常、糖尿病、脂質異常症など多様な疾患の早期発見が可能となります。定期的な検査により症状が現れる前の段階で異常を捉え、適切な対処を行うことで、重篤な合併症を予防できる可能性があります。検査結果を正しく理解し、医師の指導のもとで生活習慣の改善や必要な治療を行うことが大切です。年に1回は血液検査を受け、ご自身の健康管理に役立ててください。
参考文献