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「血糖値」や「コレステロール」が高いとどうなる?血液検査でわかる生活習慣病リスク

 公開日:2025/12/21
「血糖値」や「コレステロール」が高いとどうなる?血液検査でわかる生活習慣病リスク

生化学検査は糖代謝や脂質代謝の異常を早期に捉え、生活習慣病の予防や管理に大きく貢献します。これらの数値は食事や運動などの生活習慣と密接に関連しており、適切な管理により合併症を予防できる可能性があります。血糖値やHbA1c、コレステロール、中性脂肪などの指標は、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクとも深く関わっています。ここでは血糖値と糖尿病の指標、脂質検査と動脈硬化リスクについて説明します。

濱木 珠恵

監修医師
濱木 珠恵(ナビタスクリニック新宿)

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【経歴】
北海道大学医学部を卒業後、国立国際医療センターにて研修。
虎の門病院、国立がんセンター中央病院で造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院での血液疾患診療を経て、2012年にナビタスクリニック東中野院長、2016年よりナビタスクリニック新宿院長に就任。
貧血外来や女性内科などで女性の健康をサポート。

【専門・資格・所属】
血液内科、貧血、女性内科、内科一般

日本血液学会 専門医
日本内科学会 認定医

生化学検査で評価する代謝機能

生化学検査は糖代謝や脂質代謝の異常を早期に捉え、生活習慣病の予防や管理に役立ちます。これらの数値は食事や運動などの生活習慣と密接に関連しています。

血糖値と糖尿病の指標

血糖値は血液中のブドウ糖の濃度を示し、空腹時では一般的に70〜109mg/dL程度が基準範囲とされています。空腹時血糖が126mg/dL以上、または食事とのタイミングに関係なく測った血糖値(随時血糖)が200mg/dL以上の場合は、糖尿病が疑われます。

また、空腹時血糖が110〜125mg/dLの範囲は「境界型」と呼ばれ、糖尿病予備群に分類されます。この段階では症状がなくても将来の糖尿病発症リスクが高いため、食事や運動など生活習慣の見直しが重要とされています。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は過去1から2ヶ月の平均血糖値を反映する指標です。6.5%以上で糖尿病の可能性が高く、5.6%未満が正常とされています。HbA1cは食事の影響を受けないため、空腹時でなくても測定できる利点があります。

糖尿病は初期には自覚症状がほとんどありませんが、放置すると神経障害、網膜症、腎症などの合併症を引き起こす可能性があります。早期発見と血糖コントロールにより、これらの合併症を予防できる可能性が高まります。糖尿病と診断された方は、定期的な血液検査で血糖管理状態を評価し続けることが大切です。生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法により、多くの方が良好な血糖コントロールを維持できています。

脂質検査と動脈硬化リスク

脂質検査では総コレステロール、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、中性脂肪(トリグリセライド)を測定します。LDLコレステロールは動脈硬化の原因となる可能性があるため、140mg/dL未満が望ましいとされています。

HDLコレステロールは動脈硬化を予防する働きがあると考えられており、40mg/dL以上が望ましい値です。中性脂肪は150mg/dL未満が基準値で、食事の影響を大きく受けるため空腹時に測定することが重要です。高中性脂肪血症は肥満、過度の飲酒、糖質の過剰摂取などで起こりやすくなります。

脂質異常症は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める可能性があります。これらの疾患は日本人の死因の上位を占めるため、脂質管理は大きな意味を持ちます。脂質異常が見られた場合は、食事療法、運動療法を中心とした生活習慣の改善が基本となり、必要に応じて薬物療法が検討されます。個人の状態に応じて目標値が設定されるため、医師と相談しながら管理を進めることが大切です。

まとめ

血液検査は全身の健康状態を把握できる有用な検査です。血球系検査、生化学検査、その他の特殊検査により、貧血、感染症、肝臓・腎臓の機能異常、糖尿病、脂質異常症など多様な疾患の早期発見が可能となります。定期的な検査により症状が現れる前の段階で異常を捉え、適切な対処を行うことで、重篤な合併症を予防できる可能性があります。検査結果を正しく理解し、医師の指導のもとで生活習慣の改善や必要な治療を行うことが大切です。年に1回は血液検査を受け、ご自身の健康管理に役立ててください。

この記事の監修医師

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