血液検査の基本CBCとは?赤血球・白血球でわかる貧血や感染症【医師解説】

血球系検査はCBC(Complete Blood Count:全血球計算)とも呼ばれ、血液中の細胞成分を評価する重要な検査です。赤血球、白血球、血小板の数や性状を測定することで、造血機能や免疫状態を把握できます。これらの数値から貧血や感染症、血液疾患の有無を判断することが可能です。ここでは赤血球とヘモグロビン、白血球と免疫機能について、それぞれの役割と基準値、異常値が示す意味を詳しく解説します。

監修医師:
濱木 珠恵(ナビタスクリニック新宿)
北海道大学医学部を卒業後、国立国際医療センターにて研修。
虎の門病院、国立がんセンター中央病院で造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院での血液疾患診療を経て、2012年にナビタスクリニック東中野院長、2016年よりナビタスクリニック新宿院長に就任。
貧血外来や女性内科などで女性の健康をサポート。
【専門・資格・所属】
血液内科、貧血、女性内科、内科一般
日本血液学会 専門医
日本内科学会 認定医
目次 -INDEX-
血球系検査の基本項目
血球系検査は血液中の細胞成分を評価する検査で、CBC(Complete Blood Count:全血球計算)とも呼ばれます。赤血球、白血球、血小板の数や性状を測定し、造血機能や免疫状態を把握します。
赤血球とヘモグロビン
赤血球は酸素を全身に運搬する役割を担っています。赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値などが測定されます。これらの値が低い場合は貧血が疑われ、高い場合は多血症や脱水の可能性が考えられます。
ヘモグロビンは赤血球内に含まれる鉄由来のタンパク質で、酸素と結びついて全身へ運ぶ重要な役割を担います。一般的な目安として、成人男性は13.0〜16.6 g/dL、成人女性は11.4〜14.6 g/dLとされることが多いものの、基準値は検査機関や測定方法によって多少異なる場合があります。そのため、ご自身の検査結果を確認する際は、検査報告書に記載された基準範囲を参照することが大切です。貧血の原因は鉄欠乏、ビタミンB12や葉酸の不足、慢性疾患、出血など多岐にわたります。
MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)といった赤血球指数も重要です。これらの値から貧血のタイプを分類でき、原因の特定に役立ちます。たとえば、鉄欠乏性貧血ではMCVが低下し、ビタミンB12欠乏性貧血では上昇する傾向があります。これらの指標を組み合わせることで、より正確な診断につながる可能性が高まります。
白血球と免疫機能
白血球は免疫を担う細胞で、感染症や炎症があると増加します。成人の基準値は3,500から9,000/μL程度です。白血球数の増加は細菌感染症、炎症性疾患、白血病などで見られ、減少は一部のウイルス感染症、薬剤の影響、骨髄の異常などで起こることがあります。
白血球はさらに好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球の5種類に分類されます。白血球分画検査では、これらの比率を調べることで、感染症のタイプや免疫状態をより詳しく評価することが可能です。好中球は細菌感染で増加し、リンパ球はウイルス感染や一部の血液疾患で変化します。
血小板は止血に関わる細胞成分で、基準値は15万から35万/μL程度です。血小板が減少すると出血しやすくなり、増加すると血栓ができやすくなることがあります。血小板数の異常は、骨髄の疾患、自己免疫疾患、薬剤の副作用、脾臓の異常などさまざまな原因で起こります。血小板の機能を評価する検査が追加で必要になる場合もあります。
まとめ
血液検査は全身の健康状態を把握できる有用な検査です。血球系検査、生化学検査、その他の特殊検査により、貧血、感染症、肝臓・腎臓の機能異常、糖尿病、脂質異常症など多様な疾患の早期発見が可能となります。定期的な検査により症状が現れる前の段階で異常を捉え、適切な対処を行うことで、重篤な合併症を予防できる可能性があります。検査結果を正しく理解し、医師の指導のもとで生活習慣の改善や必要な治療を行うことが大切です。年に1回は血液検査を受け、ご自身の健康管理に役立ててください。
参考文献