「アルコール依存症」はなぜお酒を止められなくなる? 3つの理由を医師が解説

アルコール依存症は、脳内の報酬系や神経伝達物質のバランスが変化することで形成される疾患です。飲酒によるドーパミン放出が繰り返されると、脳はアルコールを強く求めるようになります。さらに耐性が形成されると、同じ効果を得るためにより多くの量が必要となり、飲酒量が増加していきます。身体依存が形成されると離脱症状が現れ、その回避のために飲酒を続けるという悪循環に陥ります。誰にでも起こり得る疾患であることを理解しておきましょう。

監修医師:
小坂 真琴(医師)
2022年4月~2024年3月、今村総合病院(鹿児島県鹿児島市)で初期研修を修了
2024年4月よりオレンジホームケアクリニック(福井県福井市) 非常勤医師として在宅診療を行いながら、福島県立医科大学放射線健康管理学講座大学院生として研究に従事
2025年10月よりナビタスクリニックに勤務
週1度、相馬中央病院 (福島県相馬市) 非常勤医師として内科外来を担当
目次 -INDEX-
アルコール依存症の形成メカニズム
アルコール依存症は、脳内の報酬系や神経伝達物質のバランスが変化することで形成されます。誰にでも起こり得る疾患であり、その仕組みを理解することが予防につながります。
報酬系の変化と耐性の形成
アルコールを摂取すると、脳内でドーパミンという快感に関わる神経伝達物質が放出されます。この快感を繰り返し経験すると、脳はアルコールを「報酬」として認識し、強く求めるようになります。これが依存症の基本的なメカニズムです。
習慣的な飲酒を続けると、同じ量で同じ効果が得られなくなる「耐性」が形成されます。これは脳が適応して、アルコールの存在を前提とした神経伝達のバランスを作り上げるためです。その結果、より多くの量を飲まなければ満足できなくなり、飲酒量が増加していきます。耐性の形成は依存症へのステップであり、早期に気づいて対処することが大切です。
身体依存と離脱症状
長期間にわたる大量飲酒により、身体がアルコールのある状態に適応すると、身体依存が形成されます。この状態でアルコールを急に断つと、離脱症状が現れます。軽度では手の震え、発汗、不安感、不眠といった症状が見られます。
重度の離脱症状では、幻覚や錯乱状態、けいれん発作といった命に関わる症状が出現することがあります。これは振戦せん妄と呼ばれ、医学的な管理が必要な状態です。身体依存が形成されると、離脱症状を避けるために飲酒を続けるという悪循環に陥ります。専門的な治療と支援が不可欠な段階といえるでしょう。
まとめ
アルコール飲料は適切に利用すれば、生活に彩りを添える嗜好品となりますが、その作用や影響を正しく理解していないと、健康を損なうリスクがあります。本記事で解説したように、アルコールは中枢神経系に作用し、身体的・精神的にさまざまな影響を及ぼします。依存症は誰にでも起こり得る疾患であり、早期発見と適切な対処が重要です。自分の飲酒習慣を定期的に見直し、気になる点があれば早めに医療機関や専門機関に相談することをおすすめします。
参考文献