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「椎骨動脈解離」は頭痛だけで終わらない? “脳梗塞”に繋がる3つの前兆を専門医が解説

 公開日:2026/02/07
椎骨動脈解離の重篤な症状と危険なサイン

初期の痛みだけの段階から進行すると、脳への血流が阻害されたり、血管が破れたりすることで、命に関わる重篤な症状が現れることがあります。片側の手足に力が入らない、回転するようなめまいが続く、突然バットで殴られたような激しい頭痛が起こるといった症状は、脳梗塞やくも膜下出血を疑う重要なサインです。これらの危険な症状を正しく理解し、迷わず救急対応を取ることが、その後の予後を大きく左右します。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

プロフィールをもっと見る
脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

椎骨動脈解離の重篤な症状と危険なサイン

初期症状から進行すると、より重篤な神経症状が現れることがあります。たとえば血流障害による脳梗塞や血管が破れることによるくも膜下出血などを引き起こすことがあります。この段階では痛みだけではなく、明らかな神経症状や全身症状が加わり、これらは命に関わることもあるため、危険なサインを理解し、迷わず医療機関を受診することが大切です。

片側の手足の脱力・めまいなど、脳梗塞を疑う症状

椎骨動脈は、脳幹や小脳といったバランスや運動調整に関わる部位に血液を送っています。解離によって血管が狭くなったり、血栓が飛んで詰まったりすると、これらの領域への血流が不足し、脳梗塞の症状が現れ始めます。たとえば、片側の手足に力が入らなくなる、物がうまくつかめない、歩こうとしても片足が出しにくいといった運動障害がみられます。感覚障害については、片側の顔面や手足にしびれが出たり、触られた感覚や温度の感じ方が鈍くなったりすることもあります。まっすぐ歩けない、千鳥足のようになる、体が片側に傾いてしまうといったふらつきも、脳幹や小脳の虚血を疑う重要なサインです。
また、自分や周囲がぐるぐる回っているように感じる回転性のめまい、浮いているようなふわふわしためまい、吐き気・嘔吐を伴うめまいも、椎骨動脈解離に伴う脳梗塞でみられます。

これらの症状が現れた場合には、脳梗塞を発症している可能性が考えられます。時間の経過とともに症状が悪化することもあるため、症状に気づいた時点で速やかに救急車を呼びましょう。
発症から早期であれば治療の選択肢が広がるため、一刻も早い受診が求められます(※解離の状態によっては、血栓溶解療法が適応とならない場合もあります)。

激しい頭痛、嘔吐などくも膜下出血を疑う症状

椎骨動脈解離が血管の外側まで広がり、血管が破れてしまうと、くも膜下出血という重篤な状態を引き起こします。くも膜下出血では、突然の非常に強い頭痛が特徴で、「バットで後頭部を殴られたような痛み」「頭が割れそうな痛み」と表現されることが多いです。しばしば嘔吐や意識障害を伴い、急速に状態が悪化することも少なくありません。

後頭葉や脳幹の視覚に関わる領域に血流障害や二次的な影響が及んだ場合には、視野の一部が欠ける、ものが二重に見える(複視)といった視覚症状が現れることもあります。片目を閉じると複視が少し軽くなる場合もあれば、両目を閉じるまで違和感が続く場合もあり、姿勢や視線の向きで症状が変動することもあります。

突然の激しい頭痛に加えて、意識がもうろうとする、うまく会話が成り立たない、真っ直ぐ立てない、視野が急におかしくなったといった症状が同時に起こったときには、椎骨動脈解離に限らず、くも膜下出血や脳梗塞を含む脳血管疾患の可能性もあります。その場合は、迷わず救急要請を行い、救急外来でのCTやMRIなどによる診察を受けましょう。

まとめ

椎骨動脈解離は、突然の頭痛や首の痛みといった見過ごしやすい症状から始まることも多い疾患です。初期症状を正確に認識し、速やかに医療機関を受診することで、重篤な合併症を予防できる可能性が高まります。適切な治療により多くの方が回復されていますが、再発予防のためには長期的な管理が欠かせません。血圧コントロール、ストレス管理、定期的な画像検査など、継続的な取り組みが重要です。気になる症状がある場合には、早めに神経内科や脳神経外科を受診し、専門医の診察を受けることをおすすめします。

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