「胆石」の診断方法とは?超音波検査やCT、血液検査でわかることを医師が解説

胆石を正確に診断するためには、問診や身体診察に加えて、超音波検査やCT検査などの画像検査、血液検査を組み合わせた総合的な評価が不可欠です。それぞれの検査にはどのような特徴があり、どのような情報が得られるのかを理解しておくと、受診時の流れもスムーズになります。検査の準備や注意点についても知っておきましょう。

監修医師:
齋藤 宏章(医師)
福島県立医科大学放射線健康管理学講座 博士研究員
【専門・資格】
消化器内科、内視鏡
消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓内科専門医、カプセル内視鏡認定医
目次 -INDEX-
胆石の診断方法
胆石の正確な診断には、問診、身体診察、そして画像検査を組み合わせた総合的な評価が必要です。それぞれの検査の特徴を理解しておくことで、受診時の流れをスムーズに進められます。
画像検査による胆石の確認
超音波検査(エコー検査)は、胆石の診断の第一選択となる検査です。侵襲がなく、放射線被ばくもないため、繰り返し実施できるという利点があります。胆石は超音波を反射する性質があり、画面上では白く映り、その後ろに音響陰影と呼ばれる黒い影が見られます。この特徴的な所見により、胆石の診断率は高い精度を示します。
超音波検査では、胆石の大きさ、数、位置を確認できるだけでなく、胆のう壁の厚さや周囲の炎症の有無も評価できます。また、胆嚢腺筋腫症という胆石や胆嚢炎を起こしやすい体質の発見等もできます。検査前には6〜8時間程度の絶食が推奨されており、これは胆のうを膨らませて観察しやすくするためです。食事をとると胆のうが収縮してしまい、小さな石を見逃す可能性があります。
CT検査は、超音波検査で判断が難しい場合や、合併症の評価に用いられます。特に造影CT検査では、胆のう壁の血流状態や周囲臓器への炎症の広がりを詳しく評価できます。ただし、コレステロール結石はX線透過性のためCTでも映りにくく、小さな石の検出には超音波検査が優れています。検査方法の選択は、症状や状態に応じて医師が判断します。
血液検査と症状からの診断
血液検査では、肝機能や炎症の程度を評価します。急性胆のう炎や胆管炎を合併している場合、白血球数の増加やCRP(C反応性蛋白)の上昇といった炎症反応が見られます。これらの数値は、炎症の程度や治療効果の判定にも役立ちます。
肝機能検査では、AST、ALT、γ-GTPなどの数値を確認します。胆管結石で胆汁の流れが阻害されると、これらの数値が上昇します。特にγ-GTPやALP(アルカリホスファターゼ)は、胆汁うっ滞の敏感な指標となります。また、ビリルビン値の上昇は黄疸の有無と相関し、総ビリルビンが2mg/dL以上になると、肉眼的に黄疸を認めるようになります。ただし、これらの数値は個人差があり、必ずしも病態の重症度と比例するわけではありません。
問診では、痛みの性質、部位、持続時間、随伴症状などを詳しく聞き取ります。食事との関連性、既往歴、家族歴なども診断の重要な手がかりとなります。身体診察では、マーフィー徴候と呼ばれる特徴的な所見を確認します。これは、右肋骨弓下を押さえながら深呼吸してもらうと、痛みのために呼吸が止まってしまう現象で、急性胆のう炎に特徴的な所見として知られています。
まとめ
胆のう摘出術を受けた後も、胆管結石が新たに形成される可能性があるため、定期的なフォローアップが必要です。特に術後に消化器症状が続く場合や、異常な腹痛が生じた場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。
胆石は適切な知識と対応により、重症化を防ぐことが期待できる疾患です。右上腹部の痛みや食後の不快感といった初期症状を見逃さず、早めに消化器内科や消化器外科を受診することが重要です。生活習慣の改善により予防も期待できますので、定期的な健康診断を受けながら、自身の健康管理に努めることをおすすめします。気になる症状がある場合には、ためらわずに専門医に相談してください。
