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「胆石」にも種類がある?タイプ別に知っておきたい原因と食生活の注意点【医師解説】

 公開日:2025/12/23
胆石の種類と原因の関係

胆石は成分によっていくつかの種類に分けられ、それぞれ異なる背景や要因によって形成されます。コレステロール結石とビリルビン結石では、できやすい方の体質や基礎疾患が異なるため、種類を把握することで適切な治療や予防につながります。黒色石と褐色石の違いや、それぞれの発生メカニズムについても詳しく解説していきます。

齋藤 宏章

監修医師
齋藤 宏章(医師)

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相馬中央病院 内科、内視鏡センター 医師
福島県立医科大学放射線健康管理学講座 博士研究員
【専門・資格】
消化器内科、内視鏡
消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓内科専門医、カプセル内視鏡認定医

胆石の種類と原因の関係

胆石は成分によっていくつかの種類に分類され、それぞれ形成される原因や背景が異なります。種類を理解することで、より適切な治療や予防策を選択できます。

コレステロール結石の特徴と成因

コレステロール結石は、胆石全体の約70〜80%を占める一般的なタイプです。黄白色から黄緑色をしており、表面が比較的なめらかな特徴があります。X線検査では映りにくい(透過性)ことが多く、超音波検査での診断が主体となります。
この種類の結石は、胆汁中のコレステロール濃度が胆汁酸やレシチンの溶解能力を超えることで形成されます。遺伝的にコレステロール代謝に関わる酵素の活性が異なる方もいらっしゃり、家族内で胆石が多発するケースも見られます。
食生活の影響が大きいのもコレステロール結石の特徴です。動物性脂肪の摂取が多い、食物繊維が不足している、過度なカロリー制限を繰り返すなどの生活パターンがある方は、注意が必要とされています。また、脂質異常症や糖尿病などの代謝性疾患を持つ方も、コレステロール結石のリスクが高まることが知られています。

ビリルビン結石とその発生要因

ビリルビン結石は、黒色石と褐色石に分けられます。黒色石は黒褐色で硬く、主に溶血性疾患や肝硬変などの基礎疾患がある方に見られます。褐色石は茶褐色で柔らかく、胆道感染や胆汁うっ滞に関与しています。
黒色石は、ビリルビンの代謝異常により形成されます。溶血性貧血などでビリルビンの産生が増加すると、未抱合ビリルビンという形態が増え、これがカルシウムと結合して石を作ります。また、肝硬変では胆汁の組成が変化し、ビリルビンが結晶化しやすい環境になります。
褐色石は、細菌感染によって胆汁中のビリルビンが変化することで形成されます。特に大腸菌などの細菌が産生する酵素(β-グルクロニダーゼ)が、ビリルビンを不溶性の形に変えてしまいます。胆管の狭窄や、過去に胆道系の手術を受けた方では、胆汁の流れが悪くなり細菌感染を起こしやすいため、褐色石のリスクが高まります。

まとめ

胆のう摘出術を受けた後も、胆管結石が新たに形成される可能性があるため、定期的なフォローアップが必要です。特に術後に消化器症状が続く場合や、異常な腹痛が生じた場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。
胆石は適切な知識と対応により、重症化を防ぐことが期待できる疾患です。右上腹部の痛みや食後の不快感といった初期症状を見逃さず、早めに消化器内科や消化器外科を受診することが重要です。生活習慣の改善により予防も期待できますので、定期的な健康診断を受けながら、自身の健康管理に努めることをおすすめします。気になる症状がある場合には、ためらわずに専門医に相談してください。

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