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「胆石」ができやすい人の特徴とは?食生活の欧米化やホルモンバランスとの関係【医師解説】

 公開日:2025/12/22
胆石ができる主な原因

胆石が形成される背景には、胆汁成分のバランス異常や体質的な要因、生活習慣など複数の要素が関わっています。コレステロールやビリルビンといった胆汁成分がどのように結晶化するのか、そのメカニズムを理解することは予防や再発防止にも役立ちます。遺伝的な体質や日常の食生活がどう影響するのかについても見ていきます。

齋藤 宏章

監修医師
齋藤 宏章(医師)

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相馬中央病院 内科、内視鏡センター 医師
福島県立医科大学放射線健康管理学講座 博士研究員
【専門・資格】
消化器内科、内視鏡
消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓内科専門医、カプセル内視鏡認定医

胆石ができる主な原因

胆石の形成には複数の要因が関与しており、体質や生活習慣、病態などが複雑に絡み合っています。原因を理解することは、予防や再発防止にもつながります。

胆汁成分の変化と結石形成のメカニズム

胆石の主な成分はコレステロールとビリルビンです。コレステロール結石は、胆汁中のコレステロールが過剰になり、溶解しきれずに結晶化することで形成されます。通常、胆汁中では胆汁酸とレシチンがコレステロールを溶かした状態に保っていますが、このバランスが崩れると石ができやすくなります。
日本人に多いビリルビン結石は、ビリルビンというヘモグロビンの分解産物が主成分です。特に、細菌感染や胆汁の停滞があると、ビリルビンが変化して石になりやすくなります。近年は食生活の欧米化に伴い、日本でもコレステロール結石の割合が増加傾向にあるといわれています。
胆石形成には「胆汁の濃縮」も重要な役割を果たします。胆のうは胆汁を貯蔵する際に水分を吸収して濃縮しますが、この過程で成分が過飽和状態になると結晶が析出しやすくなります。また、胆のうの収縮機能が低下すると胆汁が停滞し、結石形成のリスクが高まります。

胆石ができやすい体質と生活習慣

胆石には「5F」と呼ばれる典型的なリスクファクターがあります。Female(女性)、Forty(40代)、Fatty(肥満)、Fair(白人)、Fertile(妊娠・多産)の頭文字をとったもので、これらに該当する方は胆石ができやすいとされています。ただし、これらに該当しないからといって胆石にならないわけではありません。
女性に胆石が多い理由として、女性ホルモン(エストロゲン)の影響が挙げられます。エストロゲンは胆汁中のコレステロール濃度を上昇させ、胆のうの収縮機能を低下させる作用があります。特に妊娠中や経口避妊薬の使用時には、ホルモンレベルが大きく変動するため、胆石形成のリスクが高まる可能性があります。
食生活では、高カロリー・高脂肪・低繊維の食事が胆石のリスクを上げるとされています。肥満の方はコレステロール代謝が変化し、胆汁中のコレステロール濃度が上昇しやすくなります。反対に、急激なダイエットも胆石の原因となることがあります。身体の重さが急速に減ると、脂肪組織からコレステロールが大量に放出され、胆汁中のコレステロールが過飽和状態になるためです。
生活習慣としては、運動不足や不規則な食事時間も影響します。定期的に食事をとることで胆のうが規則的に収縮し、胆汁の停滞を防ぐことができます。逆に、朝食を抜くなど空腹時間が長いと、胆のう内で胆汁が濃縮されやすくなり、結石形成のリスクが高まるといわれています。ただし、これらの生活習慣が必ずしも胆石の直接的な原因となるわけではなく、複数の要因が重なって発症に至ると考えられています。

まとめ

胆のう摘出術を受けた後も、胆管結石が新たに形成される可能性があるため、定期的なフォローアップが必要です。特に術後に消化器症状が続く場合や、異常な腹痛が生じた場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。
胆石は適切な知識と対応により、重症化を防ぐことが期待できる疾患です。右上腹部の痛みや食後の不快感といった初期症状を見逃さず、早めに消化器内科や消化器外科を受診することが重要です。生活習慣の改善により予防も期待できますので、定期的な健康診断を受けながら、自身の健康管理に努めることをおすすめします。気になる症状がある場合には、ためらわずに専門医に相談してください。

この記事の監修医師