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胆石の痛みはどこに出る?見逃してはいけない痛みの場所と受診の目安 【医師解説】

 公開日:2025/12/21
胆石の痛みが出現する場所

痛みを感じる部位は胆石を疑ううえで重要な手がかりとなります。典型的には右上腹部に痛みが現れますが、背中や肩へと広がるケースも珍しくありません。痛みの場所と広がり方のパターンを知ることで、早期発見につながる可能性があります。関連痛として現れる特徴的な部位についても理解を深めていきましょう。

齋藤 宏章

監修医師
齋藤 宏章(医師)

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相馬中央病院 内科、内視鏡センター 医師
福島県立医科大学放射線健康管理学講座 博士研究員
【専門・資格】
消化器内科、内視鏡
消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓内科専門医、カプセル内視鏡認定医

胆石の痛みが出現する場所

胆石による痛みは、特定の部位に現れやすいという特徴があります。痛みの場所を把握しておくことで、早期発見につながる可能性があります。

主な痛みの出現部位

胆石の痛みで多いのは、右上腹部(右肋骨の下あたり)です。この部位は胆のうが位置している場所であり、胆石発作の典型的な痛みの場所として知られています。患者さんの多くは、右の肋骨の下を手で押さえるような姿勢をとられることがあります。
痛みは単一の場所にとどまらず、放散することも特徴的です。右上腹部から背中側へ抜けるように痛みが広がり、特に右肩甲骨の下あたりに痛みを感じる方もいます。これは「関連痛」と呼ばれる現象で、内臓の痛みが特定の体表部位に感じられるものです。
さらに、心窩部(みぞおち)に痛みが現れることもあります。この場合、胃の痛みや消化不良と混同されやすく、適切な診断が遅れる原因となることがあります。特に初めて胆石発作を経験される方は、胃腸の問題と考えて胃薬を服用されるケースも見られますが、症状が改善しない場合は別の原因を疑う必要があります。

痛みが広がる範囲と関連痛

胆石の痛みは、感じ始めた部位から徐々に広がっていくことがあります。右上腹部から始まった痛みが、腹部全体に広がるように感じられる場合もあり、これは腹膜刺激症状の可能性を示唆します。腹膜が炎症を起こすと、腹部全体が硬く張った状態(筋性防御)になることがあり、これは緊急性の高いサインです。
関連痛として特徴的なのは、右肩や右肩甲骨周囲の痛みです。これは横隔神経と呼ばれる神経を介した痛みで、胆のう周囲の炎症が横隔膜を刺激し、その信号が肩の部位として認識されるためです。
まれに、左側の腹部や胸部に痛みを感じることもあります。特に心窩部から左側に痛みが広がる場合は、心臓疾患との鑑別が必要になることがあります。胸痛を主訴に循環器内科を受診された結果、実は胆石が原因だったというケースも報告されています。このような非典型的な症状の場合は、詳細な検査によって正確な診断を行うことが重要です。

まとめ

胆のう摘出術を受けた後も、胆管結石が新たに形成される可能性があるため、定期的なフォローアップが必要です。特に術後に消化器症状が続く場合や、異常な腹痛が生じた場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。
胆石は適切な知識と対応により、重症化を防ぐことが期待できる疾患です。右上腹部の痛みや食後の不快感といった初期症状を見逃さず、早めに消化器内科や消化器外科を受診することが重要です。生活習慣の改善により予防も期待できますので、定期的な健康診断を受けながら、自身の健康管理に努めることをおすすめします。気になる症状がある場合には、ためらわずに専門医に相談してください。

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