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「胆石」は痛くないこともある?激痛が走る原因と進行時のサイン【医師解説】

 公開日:2025/12/19
胆石の代表的な症状

胆石は形成されても必ずしも症状が現れるわけではなく、発症の有無や程度には大きな個人差があります。生涯無症状で経過する方もいれば、突然の激痛に見舞われる方もいらっしゃいます。無症状の胆石と症状が出る胆石にはどのような違いがあるのか、また初期症状から進行した場合の症状まで、段階的な変化を詳しく見ていきましょう。

齋藤 宏章

監修医師
齋藤 宏章(医師)

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相馬中央病院 内科、内視鏡センター 医師
福島県立医科大学放射線健康管理学講座 博士研究員
【専門・資格】
消化器内科、内視鏡
消化器病専門医、消化器内視鏡専門医、肝臓内科専門医、カプセル内視鏡認定医

胆石の代表的な症状

胆石は形成されても必ずしも症状が現れるわけではありません。発症の有無や程度には個人差があり、生涯無症状で経過する方もいれば、突然の激痛に見舞われる方もいます。

無症状の胆石と症状が出る胆石の違い

胆石を持つ方の約70〜80%は、生涯にわたって症状が現れない「無症状胆石」といわれています。これは、胆石が胆のう内で安定した状態にあり、胆汁の流れを妨げていないためです。健康診断や他の疾患の検査時に偶然発見されるケースが大変多く、発見時には驚かれる方も少なくありません。
一方、残りの20〜30%の方では、胆石が胆のうの出口や胆管に詰まることで症状が出現します。特に、脂肪分の多い食事をとった後や夜間に症状が現れやすいという特徴があります。胆のうは食事に反応して収縮し胆汁を分泌しようとしますが、この際に石が移動して管を塞ぐと、激しい痛みが生じるのです。
無症状の段階で発見された場合は、定期的な経過観察を行いながら、症状が現れた時点で治療を検討するという方針が一般的です。ただし、石の大きさや形状、患者さんの全身状態によっては、症状がなくても予防的な治療が推奨される場合もあります。医師と相談しながら、個々の状況に応じた対応を選択することが大切です。

初期症状と進行した場合の症状

胆石の初期症状としては、右上腹部の違和感や鈍い痛み、食後の膨満感などが挙げられます。これらの症状は一時的に治まることも多く、胃腸の不調と誤解されやすいという特徴があります。
症状が進行すると、胆石発作と呼ばれる激しい腹痛が起こります。この痛みは突然始まり、右上腹部から背中や右肩にかけて放散することがあります。痛みは持続的で、数十分から数時間続くこともあり、冷や汗や吐き気、嘔吐を伴うことも少なくありません。痛みの感じ方や持続時間には個人差がありますが、多くの方が日常生活に支障をきたすほどの強さを訴えます。
さらに進行すると、胆のう炎や胆管炎といった合併症を引き起こす可能性があります。これらが発症すると、発熱や黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)といった症状が加わり、緊急性の高い状態となります。特に黄疸が現れた場合は、胆管に石が詰まって胆汁の流れが完全に遮断されている可能性があるため、速やかに医療機関を受診することが必要です。

まとめ

胆のう摘出術を受けた後も、胆管結石が新たに形成される可能性があるため、定期的なフォローアップが必要です。特に術後に消化器症状が続く場合や、異常な腹痛が生じた場合には、速やかに医療機関を受診することが大切です。
胆石は適切な知識と対応により、重症化を防ぐことが期待できる疾患です。右上腹部の痛みや食後の不快感といった初期症状を見逃さず、早めに消化器内科や消化器外科を受診することが重要です。生活習慣の改善により予防も期待できますので、定期的な健康診断を受けながら、自身の健康管理に努めることをおすすめします。気になる症状がある場合には、ためらわずに専門医に相談してください。

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