「心室細動」発生直前に体が発する 3つの警告! “突然死”を招く前兆を医師が解説

不整脈の中には、生命に直結する危険なタイプが存在します。心室細動や心室頻拍といった致死的な不整脈は、迅速な対応がなければ突然死につながる可能性があるのです。これらの危険な不整脈には、事前に現れる警告サインが存在することもあります。ここでは、致死的不整脈の特徴と、見逃してはいけない症状の組み合わせについて詳しく説明します。

監修医師:
小坂 真琴(医師)
2022年4月~2024年3月、今村総合病院(鹿児島県鹿児島市)で初期研修を修了
2024年4月よりオレンジホームケアクリニック(福井県福井市) 非常勤医師として在宅診療を行いながら、福島県立医科大学放射線健康管理学講座大学院生として研究に従事
2025年10月よりナビタスクリニックに勤務
週1度、相馬中央病院 (福島県相馬市) 非常勤医師として内科外来を担当
突然死につながる危険な不整脈の前兆
不整脈の中には生命に関わる危険なものが存在します。心室性不整脈などの致死的な不整脈の特徴を知り、警告サインを見逃さないことが重要です。
致死的不整脈の特徴と警告サイン
心室細動や心室頻拍といった心室性不整脈は、心臓が血液を送り出す能力を著しく低下させ、数分以内に死に至る可能性がある危険な状態です。これらの不整脈では、心臓が細かく震えるだけで効果的な収縮ができなくなります。
心室細動の前兆として、胸痛や強い動悸、呼吸困難が突然現れることがあるでしょう。意識が急速に失われ、数秒で倒れてしまうため、周囲の人がすぐに気づく必要があります。このような状態では緊急の心肺蘇生とAED(自動体外式除細動器)の使用が生死を分けることになります。
心室頻拍では心拍数が1分間に150回以上となり、激しい動悸や胸部不快感、めまい、冷や汗といった症状が現れるでしょう。血圧が著しく低下する場合には意識消失に至ることもあります。トルサード・ド・ポアンツと呼ばれる特殊な心室頻拍は、QT延長症候群や電解質異常、特定の薬剤使用時に発生しやすく、心室細動に移行するリスクが高いことが知られています。
見逃してはいけない症状の組み合わせ
突然死のリスクが高い不整脈では、複数の症状が組み合わさって現れることがあります。動悸とともに強い胸痛や呼吸困難が生じた場合、急性心筋梗塞に伴う致死的不整脈の可能性があるでしょう。このような状況では一刻も早く救急車を要請する必要があります。
失神と動悸が繰り返し起こる場合も重要な警告サインです。特に運動中や強い感情の高ぶり時に失神が起こる場合には、遺伝性不整脈症候群やカテコラミン誘発性多形性心室頻拍といった疾患の可能性があります。
息切れや足のむくみといった心不全の症状と不整脈が併存する場合、心臓のポンプ機能が著しく低下している可能性があるでしょう。心不全の方では心室性不整脈のリスクが高まることが知られており、突然死の予防のために植込み型除細動器(ICD)の適応が検討されることもあります。
めまいや立ちくらみが頻繁に起こり、脈が異常に遅い場合には、完全房室ブロックなどの高度な伝導障害が疑われます。この状態では心臓が一時的に停止する可能性があり、ペースメーカー治療が必要となることがあります。
まとめ
不整脈は誰にでも起こり得る症状ですが、その中には生命に関わる危険なものも含まれます。動悸や胸の違和感、めまいといった症状を感じた際には、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。特に失神や強い胸痛を伴う場合には、速やかな受診が求められるでしょう。
不整脈の原因は心臓の疾患だけでなく、ストレスや生活習慣、加齢など多岐にわたるため、総合的な評価が必要となります。適切な診断と治療により、多くの不整脈は良好にコントロールでき、突然死のリスクも大幅に軽減できるのです。気になる症状がある方は、循環器内科の専門医にご相談ください。
参考文献


