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心臓病だけじゃない! 「不整脈」を引き起こす意外な 3大原因とは【医師解説】

 公開日:2025/12/15
不整脈を引き起こす主な原因

不整脈が生じる背景には、心臓そのものの構造的な問題から、生活習慣や全身の疾患まで、実に多様な要因が関わっています。虚血性心疾患や心臓弁膜症といった心臓の病気だけでなく、飲酒や甲状腺の異常なども影響を及ぼすことがあるのです。ここでは、不整脈を引き起こす代表的な原因について、心臓の構造的問題と生活習慣や全身疾患の両面から説明します。

小坂 真琴

監修医師
小坂 真琴(医師)

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2022年、東京大学医学部卒業
2022年4月~2024年3月、今村総合病院(鹿児島県鹿児島市)で初期研修を修了
2024年4月よりオレンジホームケアクリニック(福井県福井市) 非常勤医師として在宅診療を行いながら、福島県立医科大学放射線健康管理学講座大学院生として研究に従事
2025年10月よりナビタスクリニックに勤務
週1度、相馬中央病院 (福島県相馬市) 非常勤医師として内科外来を担当

不整脈を引き起こす主な原因

不整脈の原因は多岐にわたり、心臓そのものの問題から全身的な要因まで含まれます。虚血性心疾患や心臓弁膜症といった構造的問題、生活習慣や全身疾患など、さまざまな要因が関与します。

心臓の構造的問題と疾患による原因

不整脈の背景には、心臓の構造や機能に関わる疾患が存在することが少なくありません。虚血性心疾患、すなわち狭心症や心筋梗塞は、心筋への血流が不足することで心臓のリズムを乱す重要な原因となります。心筋梗塞の既往がある方では、傷ついた心筋が電気信号の伝導を妨げ、不整脈を生じやすくなるのです。
心臓弁膜症も不整脈の原因として知られています。僧帽弁や大動脈弁の異常により心房や心室に負担がかかると、心房細動などの不整脈が発生しやすくなるでしょう。先天性心疾患を持つ方も、心臓の構造的な異常により不整脈のリスクが高まることがあります。
心筋症は心筋そのものの病気であり、拡張型心筋症や肥大型心筋症では心室性不整脈のリスクが上昇します。特に肥大型心筋症では若年者でも突然死のリスクがあり、注意が必要です。心不全の状態では心臓への負担が増大し、さまざまなタイプの不整脈が合併しやすくなります。心不全と不整脈は互いに悪影響を及ぼし合う関係にあり、適切な管理が求められるでしょう。

生活習慣や全身疾患による原因

心臓に直接的な病気がなくても、生活習慣や他の臓器の疾患が不整脈を引き起こすことがあります。飲酒は特に影響が大きく、大量飲酒は心房細動の発生リスクを高めることが複数の研究で示されています。「ホリデーハート症候群」と呼ばれる状態では、多量の飲酒後に一時的に心房細動が出現することがあるのです。
カフェインの過剰摂取も、動悸や期外収縮を誘発する可能性があります。喫煙は血管を収縮させ心臓への負担を増やすだけでなく、不整脈のリスクも高めます。禁煙は不整脈予防の重要な第一歩といえます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、甲状腺ホルモンの過剰により心拍数が増加し、心房細動などの不整脈が起こりやすくなります。逆に甲状腺機能低下症では徐脈が生じることがあるでしょう。電解質異常、特にカリウムやマグネシウムの異常は、心筋の電気的な性質に影響を与え、不整脈を引き起こします。脱水状態や下痢、利尿薬の使用などで電解質バランスが崩れた際には注意が必要です。

まとめ

不整脈は誰にでも起こり得る症状ですが、その中には生命に関わる危険なものも含まれます。動悸や胸の違和感、めまいといった症状を感じた際には、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。特に失神や強い胸痛を伴う場合には、速やかな受診が求められるでしょう。
不整脈の原因は心臓の疾患だけでなく、ストレスや生活習慣、加齢など多岐にわたるため、総合的な評価が必要となります。適切な診断と治療により、多くの不整脈は良好にコントロールでき、突然死のリスクも大幅に軽減できるのです。気になる症状がある方は、循環器内科の専門医にご相談ください。

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