目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 配信コンテンツ
  3. 「前頭側頭型認知症」を発症すると人格はどんな変化がある?【医師監修】

「前頭側頭型認知症」を発症すると人格はどんな変化がある?【医師監修】

 公開日:2026/02/19
前頭側頭型認知症における人格変化のメカニズム

もっとも特徴的な症状の一つが人格変化であり、これまでの性格とは全く異なる行動パターンを示すようになります。家族や周囲の方は「別人のようになった」と感じることが多くありますが、この人格変化は前頭葉の機能障害によって生じるものです。前頭葉の機能と人格の関係、感情と共感の変化について詳しく解説します。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

プロフィールをもっと見る
脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

前頭側頭型認知症における人格変化のメカニズム

もっとも特徴的な症状の一つが人格変化であり、これまでの性格とは全く異なる行動パターンを示すようになります。家族や周囲の方は「別人のようになった」と感じることが多くありますが、この人格変化は前頭葉の機能障害によって生じるものであり、本人の意思とは無関係に起こります。

前頭葉の機能と人格の関係

前頭葉は、人格、社会的行動、感情のコントロール、倫理観、意思決定など、人間らしさの中核を担う部位です。この部位が障害されることで、長年培ってきた性格や行動パターンが変化します。前頭葉は、本能的な欲求や衝動を抑制し、社会的に適切な行動を選択する役割を果たしています。この抑制機能が失われると、衝動的な行動や社会規範から逸脱した行動が現れます。

具体的には、我慢ができなくなる、欲しいものをすぐに手に入れようとする、相手の立場を考えずに発言するといった変化が見られます。また、危険を予測する能力も低下するため、無謀な行動をとることもあります。これらの変化は、本人に悪意があるわけでも、わざとやっているわけでもなく、脳の機能障害による症状であることを理解することが大切です。

感情と共感の変化

前頭側頭型認知症では、感情の処理や共感能力を司る脳の部位も障害されます。このため、ほかの方の感情を読み取ることができなくなり、適切な感情的反応を示せなくなります。悲しい場面で笑う、楽しい場面で無表情でいるといった、状況にそぐわない反応が見られることがあります。また、家族が困っていても手助けしようとしない、相手が悲しんでいても気づかないといった共感能力の欠如も特徴的です。

無関心や無気力も、人格変化の一側面といえます。これまで大切にしてきた趣味や人間関係に興味を失い、何事にも無関心になります。家族との関わりも減少し、孤立していくこともあります。一方で、特定の物事に対する執着が強まることもあり、同じテレビ番組を繰り返し見る、特定の食べ物ばかり食べるといった行動が見られます。これらの変化は、家族にとって大きな心理的負担となるため、適切なサポート体制を整えることが重要です。

まとめ

前頭側頭型認知症は、行動や人格の変化を主症状とする認知症であり、比較的若い年代から発症することが特徴です。前頭葉と側頭葉の萎縮により、社会性の喪失、感情のコントロール障害、言語機能の低下などが生じます。初期段階では記憶は比較的保たれるため、認知症と気づかれにくいこともあります。

原因としては、タウタンパク質やTDP-43の異常蓄積、遺伝的要因が関与しています。進行速度は個人差があるものの、一般的にアルツハイマー型認知症より速く、発症から平均6〜8年で日常生活に重大な支障をきたします。人格変化は前頭葉の機能障害によるものであり、本人の意思とは無関係に生じます。

早期に症状に気づき、専門の医師を受診することで、適切な診断と対応が可能となります。家族や周囲の方は、症状が病気によるものであることを理解し、適切なサポート体制を整えることが重要です。気になる症状がある場合は、神経内科や精神科、物忘れ外来などを受診し、専門の医師の診察を受けることをおすすめします。

この記事の監修医師

注目記事