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脳にどんな変化があると「前頭側頭型認知症」を発症する?【医師監修】

 公開日:2026/02/07
前頭側頭型認知症の原因となる脳の変化

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで発症し、これらの部位には特定のタンパク質が異常に蓄積します。神経細胞が徐々に失われていくこの病理学的変化が、前頭側頭型認知症の特徴的な症状を引き起こす根本的な原因となっています。タンパク質の異常蓄積と脳の萎縮パターンについて詳しく見ていきましょう。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

プロフィールをもっと見る
脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

前頭側頭型認知症の原因となる脳の変化

脳の前頭葉と側頭葉が萎縮することで発症し、これらの部位には特定のタンパク質が異常に蓄積し、神経細胞が徐々に失われていきます。この病理学的変化が、特徴的な症状を引き起こす根本的な原因となっています。

タンパク質の異常蓄積

前頭側頭型認知症の多くのケースでは、タウタンパク質やTDP-43というタンパク質が神経細胞内に異常に蓄積します。これらのタンパク質は通常、神経細胞の機能維持に重要な役割を果たしていますが、何らかの原因で異常な形に変化し、細胞内に凝集してしまいます。この異常蓄積が神経細胞の機能を障害し、最終的には細胞死を引き起こします。

タウタンパク質が異常蓄積する病理型は、ピック病と呼ばれる病型を含む、いくつかのタイプに分けられます一方、TDP-43が蓄積するタイプは、運動神経疾患を合併することがあり、筋力低下や嚥下障害などの症状を伴うこともあります。どのタイプのタンパク質が蓄積するかによって、症状の現れ方や進行速度に違いが生じることが報告されています。これらのタンパク質がなぜ異常蓄積するのか、詳しいメカニズムは現在も研究が進められています。

脳の萎縮パターン

前頭側頭型認知症では、脳の前頭葉と側頭葉が選択的に萎縮します。MRIやCTなどの画像検査で、これらの部位が小さくなっている様子が確認できます。前頭葉は人格、判断、計画、社会的行動を司り、側頭葉は言語理解、意味記憶、感情処理に関わっています。これらの部位が萎縮することで、前頭側頭型認知症に特徴的な症状が現れるのです。

萎縮の程度や広がり方には個人差があり、それによって症状の現れ方も異なります。前頭葉の萎縮が優位な場合は行動や人格の変化が目立ち、側頭葉の萎縮が優位な場合は言語障害が前面に出ることが多いとされています。また、萎縮は徐々に進行し、脳のほかの部位にも広がっていくため、症状も時間とともに多様化していきます。定期的な画像検査により、病気の進行を客観的に評価することができます。

まとめ

前頭側頭型認知症は、行動や人格の変化を主症状とする認知症であり、比較的若い年代から発症することが特徴です。前頭葉と側頭葉の萎縮により、社会性の喪失、感情のコントロール障害、言語機能の低下などが生じます。初期段階では記憶は比較的保たれるため、認知症と気づかれにくいこともあります。

原因としては、タウタンパク質やTDP-43の異常蓄積、遺伝的要因が関与しています。進行速度は個人差があるものの、一般的にアルツハイマー型認知症より速く、発症から平均6〜8年で日常生活に重大な支障をきたします。人格変化は前頭葉の機能障害によるものであり、本人の意思とは無関係に生じます。

早期に症状に気づき、専門の医師を受診することで、適切な診断と対応が可能となります。家族や周囲の方は、症状が病気によるものであることを理解し、適切なサポート体制を整えることが重要です。気になる症状がある場合は、神経内科や精神科、物忘れ外来などを受診し、専門の医師の診察を受けることをおすすめします。

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