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「前頭側頭型認知症」を発症するとどんな行動が目立つようになる?【医師監修】

 公開日:2026/02/04
前頭側頭型認知症の症状の特徴

アルツハイマー型認知症では記憶障害が中心となるのに対し、前頭側頭型認知症では行動や人格の変化が先行する点が特徴的です。このため周囲の方が認知症であることに気づきにくく、診断が遅れるケースも少なくありません。社会性の喪失や感情・共感能力の変化など、前頭側頭型認知症に特有の症状について理解を深めていきましょう。

鮫島 哲朗

監修医師
鮫島 哲朗(医師)

プロフィールをもっと見る
脳神経外科
東京逓信病院脳神経外科部長
脳腫瘍 頭蓋底外科センター長

【経歴】
平成2年3月 宮崎医科大学(現宮崎大学)卒業
平成2年6月 宮崎医科大学(現宮崎大学)脳神経外科入局
平成3年4月 九州大学救急部研修(厚生省研修プログラム)
平成14年4月 Duke University Medical Center, USA
University of Torino , Italy
平成22年2月 NTT東日本関東病院脳神経外科主任医長
平成25年4月 浜松医科大学脳神経外科准教授
令和6年10月 東京逓信病院脳神経外科部長 脳腫瘍頭蓋底外科センター長

【専門・資格】
脳腫瘍 頭蓋底腫瘍 困難な脳外科手術等
医学博士
日本脳神経外科学会 専門医・指導医
日本脳卒中学会 専門医

前頭側頭型認知症の症状の特徴

アルツハイマー型認知症では記憶障害が中心となるのに対し、前頭側頭型認知症では行動や人格の変化が先行することが特徴的です。このため周囲の方が認知症であることに気づきにくく、診断が遅れることもあります。

社会性の喪失

前頭葉は社会的行動を制御する役割を担っているため、この部位が障害されると社会性が失われていきます。他者への配慮ができなくなり、自己中心的な行動が目立つようになります。会話の際に相手の話を遮って一方的に話し続ける、相手の気持ちを推し量ることができない、社会的な距離感を保てなくなるといった症状が現れます。

公共の場で大声を出す、列に割り込むといった行動も見られ、周囲の方が戸惑うことも少なくありません。また、身だしなみへの関心が薄れ、同じ服を何日も着続けたり、入浴を拒否したりすることもあります。清潔保持の概念が失われることで、衛生状態が悪化することもあります。これらの変化は、本人に病識がないことが多く、家族が指摘しても改善されにくいという特徴があります。周囲の方は、これが病気による症状であることを理解し、適切な対応を心がける必要があります。

感情や共感能力の変化

前頭側頭型認知症では、感情表現が平板化したり、逆に感情が不安定になったりします。喜びや悲しみといった感情を適切に表現できなくなり、悲しい場面で笑ったり、嬉しい出来事に無関心だったりすることがあります。また、他者の感情に共感する能力が低下するため、家族が悲しんでいても気づかない、相手が困っていても手助けしようとしないといった変化が生じます。

無関心や無気力も特徴的な症状です。これまで趣味や仕事に熱心だった方が、突然それらに興味を示さなくなることがあります。一日中ぼんやりと過ごしたり、何も考えずにテレビを見続けたりする姿が見られます。この無関心は、うつ病と誤解されることもありますが、前頭側頭型認知症による症状である可能性を考慮する必要があります。感情や共感能力の変化は、家族関係に大きな影響を及ぼすため、早期の診断と適切な対応が重要となります。

まとめ

前頭側頭型認知症は、行動や人格の変化を主症状とする認知症であり、比較的若い年代から発症することが特徴です。前頭葉と側頭葉の萎縮により、社会性の喪失、感情のコントロール障害、言語機能の低下などが生じます。初期段階では記憶は比較的保たれるため、認知症と気づかれにくいこともあります。

原因としては、タウタンパク質やTDP-43の異常蓄積、遺伝的要因が関与しています。進行速度は個人差があるものの、一般的にアルツハイマー型認知症より速く、発症から平均6〜8年で日常生活に重大な支障をきたします。人格変化は前頭葉の機能障害によるものであり、本人の意思とは無関係に生じます。

早期に症状に気づき、専門の医師を受診することで、適切な診断と対応が可能となります。家族や周囲の方は、症状が病気によるものであることを理解し、適切なサポート体制を整えることが重要です。気になる症状がある場合は、神経内科や精神科、物忘れ外来などを受診し、専門の医師の診察を受けることをおすすめします。

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