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やけど?感染症?「舌の奥にぶつぶつ」ができるのは?痛みあり・なし別に歯科医師が解説!

 公開日:2025/12/10
やけど?感染症?「舌の奥にぶつぶつ」ができるのは?痛みあり・なし別に歯科医師が解説!

舌の奥にぶつぶつができて痛みを感じると、何らかの病的な変化が起きているかもしれません。痛みの有無や程度、随伴症状を観察することで、原因の特定につながる重要な情報が得られます。ここでは、痛みを伴うぶつぶつの特徴や考えられる疾患、痛みが強い場合に注意すべきポイントについて解説します。

橋村 威慶

監修歯科医師
橋村 威慶(サッカー通りみなみデンタルオフィス)

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【経歴】
1998年 鹿児島大学歯学部 卒業
2002年3月  すなまち北歯科クリニック 開設
2014年2月~2016年3月  東京大学医科学研究所 客員研究員
2019年5月  東京都文京区にサッカー通りみなみデンタルオフィス 開設
2019年6月  特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

【専門・資格・所属】
日本抗加齢医学会 専門医
日本歯周病学会
日本補綴歯科学会
日本アンチエイジング歯科学会

舌の奥のぶつぶつと痛みの関係

舌の奥に生じるぶつぶつに痛みが伴う場合、炎症や感染、外傷などのほかに口腔内乾燥など病的な変化が起きている可能性が高くなります。痛みの程度や随伴症状を観察することで、原因の特定につながる重要な情報が得られます。

痛みを伴うぶつぶつの特徴

痛みを伴うぶつぶつには、発赤や腫脹、熱感といった炎症所見が認められることが一般的です。舌乳頭と呼ばれる舌表面の小突起が炎症を起こすと、触れるだけで痛みを感じたり、食事の際にしみたりします。特に酸味や辛味の強い食品を口にしたときに症状が増悪しやすく、日常生活に支障をきたすこともあります。

炎症が強い場合には、ぶつぶつの周囲が白っぽくなったり、黄色い膿のような滲出液が付着したりすることもあります。痛みの程度は軽度の違和感から強い刺痛までさまざまで、原因となる病態によって異なります。また、複数のぶつぶつが集まって出現する場合や、単独で大きく腫れ上がる場合など、形態にも多様性が見られます。食事や会話の際に痛みが増す場合には、日常的な動作が制限され、生活の質に影響を及ぼすこともあるでしょう。

痛みが強い場合に考えられる疾患

痛みが強いときには、細菌やウイルスによる感染症、アフタ性口内炎、舌乳頭の炎症などが原因として考えられます。特にヘルペスウイルス感染では、舌の奥を含む口腔内に小さな水疱や潰瘍が多発し、強い痛みと発熱を伴うことがあります。初感染の場合は症状が重く、食事が困難になるほどの痛みを生じることも少なくありません。水疱が破れて潰瘍になると、さらに痛みが増すことがあります。

アフタ性口内炎は境界明瞭な円形の潰瘍で、周囲が赤く中央が白っぽい外観を呈します。舌の奥にできると飲み込む際に痛みが増し、日常的な会話や食事に影響を及ぼします。アフタ性口内炎は感染ではなく、持続的ストレス・ビタミンB群欠乏・寝不足・機械的刺激などが要因と考えられています。また、舌乳頭の炎症である舌炎では、舌炎では舌全体が赤く腫れ、表面の凹凸が目立つ、表面の凹凸が目立つようになります。ビタミンB群や鉄分の欠乏、自己免疫疾患などが背景にある場合もあり、繰り返す場合には内科的な精査が必要です。受診される患者さんの多くはアフタ性口内炎によるものです。痛みの持続期間や随伴症状の有無を観察することで、医療機関での診察時に有用な情報を提供できるでしょう。

痛くないぶつぶつの原因と対処法

痛みがないぶつぶつは、正常な構造である場合が多いものの、時に病的な変化の初期段階である可能性も考慮する必要があります。痛みの有無だけで判断せず、他の所見も含めて総合的に評価することが重要です。

痛くない場合に考えられる病態

痛みを伴わないぶつぶつの多くは、先述した正常な有郭乳頭や葉状乳頭です。葉状乳頭は舌の側縁後方にあり、ひだ状の構造をしています。口を開けて鏡で見ると左右対称に存在し、触っても痛みはありません。これらは味覚を感じる器官であり、生理的なものなので治療の必要はありません。ただし、初めて自分の舌を詳しく観察した際に、これらの正常構造を異常と誤解する方も少なくありません。

しかし、痛みがなくても注意が必要なケースもあります。リンパ組織の過形成や良性の腫瘤、まれに初期の悪性腫瘍などは、痛みを伴わないことが多いため、大きさの変化や形状、硬さなどを観察することが重要です。特に喫煙や飲酒の習慣がある方、長期にわたる慢性刺激がある方では、定期的な確認が推奨されます。自己判断が難しい場合には、専門医の診察を受けることで、不安を解消できるでしょう。

自然に治るケースと受診が必要なケース

一過性の刺激や軽度の炎症によるぶつぶつは、数日から1週間程度で自然に改善することが多いです。熱い飲食物による火傷や、硬い食べ物による機械的刺激が原因であれば、刺激を避けることで徐々に症状は落ち着きます。ただし、痛みが強い・腫れが増す・発熱を伴う場合は早めに受診が必要です。また、ストレスや疲労、睡眠不足などで免疫力が低下した際に一時的に炎症が起きることもあり、体調が回復すれば自然治癒が期待できます。日常生活の見直しが、予防につながることも多いでしょう。

一方、2週間以上経過してもぶつぶつが消失しない場合や、徐々に大きくなる場合、硬いしこりを触れる場合、出血や潰瘍を伴う場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。特に片側のみに出現する場合や、左右で明らかに形状が異なる場合には、病的な変化の可能性を考慮して専門医の診察を受けるべきでしょう。自己判断による経過観察が長引くと、診断が遅れる可能性もあります。気になる症状がある場合には、早めの受診が安心につながります。

まとめ

舌の奥にぶつぶつができる原因は、正常な解剖学的構造から感染症、全身疾患、まれに腫瘍性病変までさまざまです。痛みの有無や形状、経過を観察し、2週間以上改善しない場合や増大する場合には、耳鼻咽喉科や歯科口腔外科を受診しましょう。日常的な口腔ケアと生活習慣の見直しが予防につながります。気になる症状がある場合には、自己判断せず専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることが大切です。早期発見と早期対応により、多くの場合、良好な経過が期待できます。口腔内の健康は全身の健康と密接に関連しているため、日頃から注意深く観察し、異常を感じたら速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

この記事の監修歯科医師

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