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「アスペルガー症候群(ASD)」などの“発達障害”がある人への『合理的配慮』とは?

 公開日:2025/12/05
「アスペルガー症候群(ASD)」などの“発達障害”がある人への『合理的配慮』とは?

障害者雇用促進法により、企業には合理的配慮の提供が求められています。静かな作業スペースの確保や指示の文書化、フレックスタイム制の適用など、個々の特性に応じた環境調整を受けることで、働きやすさが向上する可能性があります。また、各地の就労支援機関では、職業訓練や就職後の定着支援など、さまざまなサポートを利用できます。ここでは、合理的配慮の内容や就労支援機関の活用方法についてご紹介します。

三浦 暁彦

監修医師
三浦 暁彦(医師)

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【経歴】
2018年富山大学医学部医学科卒業。慶應大学病院、国立病院機構久里浜医療センター、国立国際医療研究センター国府台病院等で研鑽を積む。自身が不登校、うつ病となった経験から、誰でも気軽にかかれる医療を目指して2023年6月に「おおかみこころのクリニック」を開院。医師偏在等の精神科医療の問題点を克服するため、遠隔診療の研究にも従事し、2025年9月にAIを用いたオンライン診療所「ココフィー」をリリース。著書「脱うつのトリセツ」
【資格】
日本精神神経学会 専門医

職場での合理的配慮と支援制度の活用

法律により、障害のある方が働きやすい環境を整備することが求められています。

障害者雇用制度と合理的配慮

障害者雇用促進法に基づき、企業には障害者の雇用義務が課されています。また、雇用する障害者に対して、過度な負担にならない範囲で合理的配慮を提供することが求められます。ただし、企業の規模や業種によって実現可能な配慮の内容は異なります。 合理的配慮とは、障害の特性に応じて、業務内容や職場環境を調整することです。たとえば、静かな作業スペースの提供、指示の文書化、業務マニュアルの整備、短時間勤務の許可などが該当します。フレックスタイム制の適用や、定期的な面談の機会を設けることも含まれます。これらの配慮は、企業側に提供する義務があり、従業員と企業が協力し合い、現実的で効果的な方法を話し合いながら決定していくものです。 配慮を受けるには、まず自分の特性と必要な支援を明確にすることが大切です。診断書や障害者手帳があると、制度利用の根拠となります。人事部や産業医、上司に相談し、具体的な配慮内容を話し合いましょう。ただし、すべての希望が叶うわけではないため、現実的な範囲での調整が必要です。

就労支援機関の活用

発達障害のある方の就労を支援する機関が各地にあります。ハローワークには、障害者専門の窓口が設置されており、求職相談や職業紹介を受けられます。発達障害者支援センターでは、就労に関する相談や助言、関係機関との連絡調整を行っています。利用は無料ですが、地域によってサービス内容や待機期間が異なる場合があります。 就労移行支援事業所では、就職に必要なスキルを身につけるためのトレーニングや、職場実習の機会を提供しています。ビジネスマナー、パソコンスキル、コミュニケーション訓練などのプログラムがあり、就職後の定着支援も行われます。利用期間は原則2年間で、障害福祉サービス受給者証が必要です。事業所によってプログラム内容や雰囲気が異なるため、見学してから選ぶことをおすすめします。 障害者就業・生活支援センターでは、就業面と生活面の両方から総合的な支援を受けられます。職場での困りごとの相談や、生活リズムの改善、金銭管理の助言など、幅広いサポートが利用できます。こうした支援機関を活用することで、安心して働き続けられる環境を整えられる可能性があります。複数の機関を併用することも可能ですので、自分に合った支援を選びましょう。

まとめ

アスペルガー症候群とADHDは、それぞれ異なる特性を持つ発達障害ですが、併存することも少なくありません。仕事や日常生活での困難は、特性の理解と適切な対処により軽減できる可能性があります。自分に合った職種や環境を選び、必要な支援を活用することで、能力を発揮できる可能性が広がります。特定分野での才能を持つ方もいますが、すべての方がそれぞれの強みを活かして生きられる社会を目指すことが大切です。困りごとがある場合は、専門医療機関や支援機関への相談をおすすめします。

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