「アスペルガー症候群（ASD）」と『ADHD』 病院の初診時に“やっておくと良い”こととは？

アスペルガー症候群とADHDの診断プロセス

正確な診断を受けることは、適切な支援や治療を受けるための第一歩となります。

診断を受けるべきタイミングと相談先

日常生活や仕事で繰り返し困難を感じている場合、専門機関への相談を検討するとよいでしょう。具体的には、対人関係がうまくいかない、仕事でミスが多い、約束や締め切りを守れない、感情のコントロールが難しいといった状況が続く場合です。ただし、これらの症状だけで発達障害と断定できるわけではなく、他の要因による可能性も考慮する必要があります。 相談先としては、精神科や心療内科、発達障害を専門とする医療機関が適しています。地域の発達障害者支援センターでも、相談や医療機関の紹介を受けられます。成人の発達障害に対応している医療機関を選ぶことが重要です。医療機関によって診療方針や待機期間が異なるため、事前に確認することをおすすめします。 初診時には、幼少期からの発達歴や現在困っていることを整理しておくと、診断がスムーズに進みます。母子手帳や通知表など、幼少期の様子がわかる資料があれば持参するとよいでしょう。家族からの情報も診断の参考になるため、可能であれば同伴してもらうことも検討できます。

診断に用いられる評価方法

診断には、詳細な問診、行動観察、心理検査などが用いられます。問診では、幼少期からの発達の様子、学校や職場での適応状況、対人関係の特徴などを丁寧に聞き取ります。可能であれば、家族からの情報も診断の参考になります。医師は複数の情報源から総合的に判断するため、正確な情報提供が重要です。 心理検査としては、知能検査や発達障害の特性を評価する質問紙などが実施されます。WAIS（ウェクスラー成人知能検査）により、認知機能のバランスを把握できます。AQ（自閉症スペクトラム指数）やADHDの評価尺度も診断の補助として活用されます。これらの検査結果は、特性の理解や支援計画の立案にも役立ちます。 これらの評価を総合的に判断し、診断基準に照らして診断が確定されます。診断までに数回の受診が必要になることもあります。診断結果は、本人の特性を理解し、必要な支援を受けるための重要な情報となりますが、診断がすべてではなく、日常生活の改善が最終的な目標です。