「アスペルガー症候群（ASD）」と『ADHD』の違いはご存じですか？【医師解説】

アスペルガー症候群とADHDの基本的な違い

アスペルガー症候群とADHDは、どちらも発達障害に分類されますが、その特性には明確な違いがあります。

アスペルガー症候群の主な特徴

アスペルガー症候群は、自閉スペクトラム症（ASD）の一つとして位置づけられています。主な特徴として、社会的コミュニケーションの困難さ、限定的な興味や反復的な行動パターンが挙げられます。 相手の表情や声のトーンから感情を読み取ることが難しい場合があり、比喩や皮肉の理解に時間がかかることもあります。特定の話題に強いこだわりを持ち、その分野について深い知識を蓄積する傾向が見られます。知的能力や言語能力は平均的またはそれ以上の方が多く、特定分野で高い能力を示すケースもあります。 感覚過敏（特定の刺激に過剰に反応してしまう特性）を伴う場合も見られ、特定の音や光、触感に対して不快感や集中力の低下などの強い反応を示すことがあります。こうした特性は個人差が大きく、日常生活への影響の程度も異なります。環境や状況によって現れ方が変化することもあるため、周囲の理解と配慮が求められます。

ADHDの主な特徴

ADHD（注意欠如・多動症）は、不注意、多動性、衝動性という3つの主要な症状で特徴づけられます。これらの症状の現れ方には個人差があり、不注意が優勢なタイプ、多動・衝動性が優勢なタイプ、混合タイプに分類されます。 不注意の特徴としては、細かいミスが多い、物事を順序立てて進めることが苦手、物をよくなくす、約束を忘れやすいといった点があります。多動性では、じっと座っていられない、落ち着きがない、過度におしゃべりをするなどの特性が見られます。衝動性は、順番を待てない、他者の話を遮る、結果を考えずに行動するといった形で現れることがあります。 年齢とともに症状の現れ方が変化することもあり、子どもの頃は多動性が目立っていても、成人すると不注意が主な課題となる場合があります。生活環境や求められる役割によって、困難を感じる場面も変わってきます。