健康診断で「中性脂肪が高い」と指摘されたらどんな生活習慣が大切になる?

健康診断で中性脂肪の数値が高いと指摘され、不安を感じている方は少なくありません。中性脂肪は身体のエネルギー源として重要な役割を果たす一方で、過剰になると動脈硬化や心疾患のリスクを高める要因となります。しかし、適切な知識と日常的な対策により、数値の改善は十分に可能です。本記事では、中性脂肪を下げるための食生活や飲み物の選び方、健康診断での検査項目の見方、再検査が必要な場合の対応まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

監修医師:
濱木 珠恵(ナビタスクリニック新宿)
北海道大学医学部を卒業後、国立国際医療センターにて研修。
虎の門病院、国立がんセンター中央病院で造血幹細胞移植の臨床研究に従事。都立府中病院、都立墨東病院での血液疾患診療を経て、2012年にナビタスクリニック東中野院長、2016年よりナビタスクリニック新宿院長に就任。
貧血外来や女性内科などで女性の健康をサポート。
【専門・資格・所属】
血液内科、貧血、女性内科、内科一般
日本血液学会 専門医
日本内科学会 認定医
健康診断で中性脂肪が高いと指摘されたら
健康診断で中性脂肪が高めと言われると、驚いたり不安になったりする方も多いでしょう。しかし、慌てる必要はありません。数値の高さにも段階があり、要因の多くは生活習慣にあります。数値の程度に応じた対応をすれば改善は十分可能です。ここでは、指摘を受けたときの行動指針を紹介します。
軽度から中等度の場合の生活改善
中性脂肪値が150〜300mg/dL程度の場合、多くは生活習慣の見直しで改善できる範囲です。医師から薬を処方されるよりも先に、食事内容の見直しと適度な運動を3〜6ヶ月間継続し、その後再検査を行うのが一般的な流れです。この段階では、糖質や脂質の摂取量を調整し、アルコールを控えることで、数値の改善を感じられるケースがほとんどです。
医療機関では管理栄養士による栄養指導を受けられる場合があり、個別の生活状況に応じた具体的なアドバイスを得られます。体重が標準より過剰な方は、医師や管理栄養士の指導のもと、3〜6ヶ月で現体重の3〜5%程度の減量を目標とすると、中性脂肪値の改善が期待できます。ただし、無理な減量は身体に負担をかけるため、医師や管理栄養士と相談しながら進めることが重要です。体重や食事を記録しておくと、次回の検査時に成果を確認でき、モチベーション維持にもつながります。
高度な高値や合併症がある場合の医療介入
中性脂肪値が500mg/dLを超える場合や、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を合併している場合は、薬物療法の検討が必要になることがあります。代表的なものにフィブラート系薬剤やEPA製剤などがあり、生活習慣の改善と並行して治療を進めます。薬によってはコレステロール値にも良い影響を与えるものもあるため、LDLやHDLのバランス改善にも役立ちます。これらの病気は互いに悪影響を及ぼし合うため、トータルの生活習慣病対策として捉えることが大切です。
また、家族性の脂質異常症や甲状腺機能低下症など、他の疾患が原因で中性脂肪が上昇している可能性もあります。そのため、初めて高値を指摘された場合や急激な上昇が見られた場合は、専門の医師による詳細な検査と診断を受けることが推奨されます。自己判断で放置せず、医療機関を受診することが重要です。治療方針は個々の状況により異なるため、医師の指示に従って進めていきましょう。
まとめ
中性脂肪の改善は、短期間では実現しません。しかし、日々の食生活や飲み物の選択、適度な運動習慣を積み重ねることで、徐々に数値の変化を感じられる方もいらっしゃいます。健康診断で異常を指摘された場合は、放置せず早めに対処することが重要です。再検査や精密検査が必要な場合は、医療機関の指示に従い、必要に応じて専門の医師の診察を受けてください。中性脂肪は生活習慣の鏡ともいえる指標です。今日からできる小さな改善を始めることで、将来の健康リスクを減らせる可能性があります。