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「胃がん」発症の主な原因は何が考えられる?【医師監修】

 公開日:2026/01/06
胃がんの主要な原因と発症メカニズム

日本における胃がんの9割以上は、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染に関連していると考えられています。そのほか、食生活や喫煙といった環境要因も発症リスクに影響を及ぼします。ここでは、胃がんが発生するメカニズムと、主要なリスク要因について解説します。

水野 靖大

監修医師
水野 靖大(マールクリニック横須賀)

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【経歴】
京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院、北野病院、日赤和歌山医療センター、東京大学医科学研究所附属病院などで腹部外科医として患者の全身管理や救急の現場に従事。
2012年にマールクリニック横須賀(神奈川県横須賀市)を開院し、院長を務める。

【専門・資格・所属】
日本外科学会 外科専門医
日本ヘリコバクター学会 ピロリ菌感染症認定医
日本旅行医学会 旅行医学認定医

胃がんの主要な原因と発症メカニズム

胃がんの発生原因は一つではありませんが、日本においてはその9割以上がヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の感染に関連しているとされています。そのほか、食生活などの環境要因や遺伝的要因も発症リスクに影響を及ぼします。

ピロリ菌感染と胃がん発症の関係

ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃の粘膜に生息する細菌で、胃がん発症の最大の原因です。ピロリ菌に感染すると胃に慢性的な炎症が起こり、長期間続くと胃粘膜が薄く痩せてしまう「萎縮性胃炎」へと進行します。この萎縮性胃炎がさらに進むと、胃粘膜が腸の粘膜のようになる「腸上皮化生」という状態になりがんが発生するリスクが著しく高まります。

日本では特に中高年の感染率が高く、50歳以上では40〜50%程度が感染していると推定されています。ピロリ菌の感染は、上水道が整備されていなかった時代には幼少期に井戸水を飲むことで感染することがほとんどでしたが、現代では家族内での幼少期の経口感染が多いと考えられています。

ピロリ菌の除菌治療を行うことで、胃がん発症リスクを低減できることが複数の研究で示されています。特に萎縮性胃炎が進行する前の段階で除菌を行うことが効果的です。ただし、除菌後も胃がんのリスクが完全にゼロになるわけではないため、定期的な内視鏡検査が推奨されます。

その他のリスク要因:食生活と環境要因

食生活は胃がんの発症リスクに大きく影響します。塩分の過剰摂取は、胃粘膜を傷つけ炎症を引き起こすことで発がんリスクを高めます。特に塩蔵食品や漬物を頻繁に摂取する食習慣は、胃がんリスクの上昇と関連があるといわれています。

喫煙も重要なリスク因子です。タバコに含まれる発がん性物質が胃粘膜に到達し、DNAの損傷を引き起こすことで発がんを促進します。喫煙者は非喫煙者に比べて胃がんリスクが約1.5倍から2倍高いとされています。

一方で、野菜や果物の摂取は胃がん予防に有効である可能性が示されています。これらに含まれるビタミンC、ビタミンE、カロテノイドなどの抗酸化物質が、発がん物質による細胞障害を防ぐ働きを持つと考えられています。バランスの取れた食事を心がけることは、胃がん予防においても重要です。

まとめ

胃がんの主な原因はピロリ菌感染であり、早期発見・早期治療によって完治が期待できるがんです。まずはご自身のピロリ菌感染の有無を知り、感染している場合は除菌治療を受けることが効果的な予防策です。そのうえで、年齢やリスク因子(ピロリ菌感染歴、萎縮性胃炎、家族歴など)に応じて定期的な内視鏡検査を受けることで、胃がんの早期発見につながるでしょう。気になる症状がある場合や、ご自身の胃がんリスクについて不安がある場合は、消化器内科の医療機関に相談することをおすすめします。

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