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「カテキンが不足する」とどのようなリスクが発生する?【管理栄養士監修】

 公開日:2025/11/20
「カテキンが不足する」とどのようなリスクが発生する?【管理栄養士監修】

カテキンは必須栄養素に分類されるものではありませんが、抗酸化物質としての重要な役割を担っています。カテキンを含むポリフェノール類の摂取が少ない食生活を続けると、身体の抗酸化防御力が低下し、さまざまな健康リスクが高まる可能性があります。ここでは、カテキンが不足することで生じる可能性のある影響について、科学的な知見をもとに説明していきます。

武井 香七

監修管理栄養士
武井 香七(管理栄養士)

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帝京平成大学健康メディカル学部健康栄養学科卒業 横浜未来ヘルスケアシステム、戸塚共立第一病院3年7ヶ月勤務 株式会社コノヒカラ、障がい者グループホーム半年勤務 その後フリーランスを経て株式会社Wellness leadを設立。栄養士事業と健康事業を行なっている。

保有免許・資格
管理栄養士資格

カテキン不足による健康への影響

カテキンは必須栄養素ではないため、不足により直ちに重篤な欠乏症状が現れることはありませんが、抗酸化物質の摂取が少ない食生活は、酸化ストレス増加や生活習慣病リスク上昇と関連する可能性があります。

抗酸化防御力の低下

カテキンを含むポリフェノール類の摂取が少ない食生活を続けると、体内の抗酸化防御システムが十分に働かず、酸化ストレスが蓄積しやすくなる可能性があります。活性酸素による細胞ダメージが進むと、血管壁の老化が早まり、動脈硬化のリスクが高まることが懸念されます。 また、皮膚や他の組織における酸化ダメージの蓄積により、老化の兆候が現れやすくなることも考えられます。ただし、カテキン単独の不足が問題となるわけではなく、野菜や果物などに含まれる他の抗酸化物質(ビタミンC、ビタミンE、カロテノイドなど)も総合的に摂取することが重要です。 多様な植物性食品をバランスよく食べることで、抗酸化物質を幅広く取り入れることができます。特定の成分だけに頼るのではなく、食事全体の質を高めることが健康維持の基本となります。

生活習慣病リスクの潜在的増加

カテキンを含む食品(特に緑茶)を摂取する習慣がない場合、生活習慣病の予防に役立つ成分を十分に取り入れられていない可能性があります。疫学研究では、緑茶の摂取習慣がない方と比較して、日常的に緑茶を飲む方で心血管疾患や一部のがんのリスクが低い傾向が報告されています。 これはカテキン単独の効果だけでなく、緑茶摂取に伴う他の健康的な生活習慣の影響も含まれると考えられますが、カテキンの寄与も無視できません。ただし、カテキンを摂取しないことが直接的に病気を引き起こすわけではなく、他の健康的な食生活や運動習慣でリスクを管理することは可能です。 重要なのは、特定の成分の有無よりも、総合的な生活習慣の質です。緑茶を飲む習慣がない方でも、他の方法で抗酸化物質を摂取し、バランスの取れた食事と適度な運動を継続することで、健康を維持できます。

まとめ

カテキンは私たちの健康をさまざまな側面からサポートする有用な成分です。抗酸化作用や脂質代謝の改善、血糖値や血圧の調節など、多様な効果が研究で示されています。日常的に緑茶を飲む習慣は、これらの恩恵を受ける手軽な方法といえるでしょう。 ただし、過剰摂取による肝機能障害や鉄吸収阻害といったリスクもあるため、適量を守ることが大切です。1日に緑茶を3から5杯程度飲む分には問題ありませんが、サプリメントを利用する場合は特に注意が必要です。 他の栄養素や薬との相互作用にも注意し、必要に応じて医療機関に相談しながら取り入れてください。鉄剤を服用している方や抗凝固薬を使用している方は、摂取タイミングを調整することで相互作用のリスクを減らせます。 カテキンはビタミンCや食物繊維と組み合わせることで、相乗効果が期待できます。緑茶と果物や野菜を一緒に摂取する習慣は、栄養面でも理にかなった方法といえます。 緑茶を中心としたカテキンの摂取を日常の習慣とし、バランスの取れた食事や適度な運動と組み合わせることで、健康的な生活の一助としていただければ幸いです。特定の成分に過度に依存するのではなく、総合的な生活習慣の改善を心がけることが、長期的な健康維持には最も重要です。

この記事の監修管理栄養士

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