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『原因不明のあざ』に潜む“血液”と“血管”の危険サイン 「ぶつけた記憶ないけど…」

 公開日:2025/11/30
『原因不明のあざ』に潜む“血液”と“血管”の危険サイン 「ぶつけた記憶ないけど…」

青あざがぶつけた覚えがないのに出現することがあり、不安を感じる症状の一つです。通常は外傷によって生じますが、明らかな外傷がない場合は血管の脆弱性や血液凝固機能の異常などが考えられます。本章では青あざができやすくなる原因として、血管や血小板の問題、凝固系の異常、薬剤の影響について解説します。青あざの出現パターンや随伴症状を観察することが重要です。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

原因不明の青あざができる理由

青あざ(医学的には皮下出血や紫斑と呼ばれます)は、ぶつけた覚えがないのに出現することがあり、不安を感じる症状の一つです。通常、青あざは外傷によって皮下の血管が破れて血液が漏れ出ることで生じますが、明らかな外傷がない場合は、血管の脆弱性や血液凝固機能の異常などが考えられます。 青あざの大きさ、数、出現部位、色調の変化、消失までの時間などを観察することが、原因を探る手がかりになります。また、歯茎からの出血や鼻血が出やすい、月経量が多いなど、他の出血傾向がないかも確認する必要があります。

血管や血小板に関連する問題

加齢に伴い血管壁が脆くなると、わずかな刺激でも青あざができやすくなります。これは老人性紫斑と呼ばれ、特に前腕の伸側に出現しやすいことが特徴です。通常は健康上の大きな問題ではありませんが、見た目の悩みとなることがあります。加齢の程度や皮膚の状態により、出現頻度は個人差があります。 血小板減少症は、血小板の数が正常より少なくなる病態で、青あざができやすくなる主な原因の一つです。特発性血小板減少性紫斑病は自己免疫機序により血小板が破壊される疾患で、青あざのほかに鼻血や歯茎からの出血、点状出血などが見られることがあります。重症度や症状の程度には幅があります。 血小板の機能異常も青あざの原因となります。血小板の数は正常でも、その働きが低下していると出血しやすくなります。先天性のものと後天性のものがあり、薬剤の影響で生じることもあります。機能異常の程度により、出血傾向の強さは異なります。

凝固系の異常と薬剤の影響

血液凝固因子の異常も出血傾向の原因となります。血友病は凝固因子の欠乏による遺伝性疾患で、男性に多く見られます。関節内出血や筋肉内出血が特徴ですが、皮下出血も起こりやすくなります。重症度により症状の程度は異なります。 肝機能障害がある場合、肝臓で産生される凝固因子が不足し、出血傾向が現れることがあります。慢性肝炎や肝硬変では、青あざができやすくなるほか、鼻血や消化管出血のリスクも高まる可能性があります。肝機能の程度により、出血傾向の強さは影響を受けます。 抗血小板薬や抗凝固薬といった、血液をサラサラにする薬剤を服用している場合も、青あざができやすくなります。アスピリン、クロピドグレル、ワルファリン、直接経口抗凝固薬などが代表的です。これらの薬剤は心筋梗塞や脳梗塞の予防に重要ですが、出血のリスクも伴います。薬剤の種類や用量により、出血傾向の程度は異なります。

まとめ

原因不明の足の痛み、発熱、腹痛、青あざ、体調不良など、身体が発するさまざまなサインには、それぞれに多様な原因が潜んでいる可能性があります。これらの症状は日常的によく経験するものですが、長期間続く場合や生活に支障をきたす場合は、専門的な評価が必要です。自己判断で対処するのではなく、適切なタイミングで医療機関を受診し、詳しい検査と診断を受けることが、根本的な解決への第一歩です。 原因不明の症状に対しては焦らず段階的に対応していくことが重要で、医療機関での適切な評価と治療、そして自身でのセルフケアを組み合わせることで、症状の改善と生活の質の向上を目指しましょう。

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