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ほくろが多いのは遺伝?環境要因との関係やメラノーマにつながらない予防法

 公開日:2025/12/18
ほくろができる原因

ほくろは遺伝的要因と環境要因の相互作用によって形成され、メラノサイトが特定の部位で集簇して母斑細胞となることで生じます。家族内でほくろの数や分布が似る傾向があり、遺伝的素因が関与していることが示されています。紫外線曝露はメラノサイトを刺激して色素産生を促進するため、幼少期から思春期にかけての日焼けは生涯のほくろの数に影響を与えると考えられています。

高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

ほくろができる原因

ほくろは遺伝的要因と環境要因の相互作用によって形成されます。メラノサイトは胎児期に神経堤から発生し、皮膚全体に分布しますが、特定の部位で集簇して母斑細胞となり、ほくろを形成します。このプロセスには遺伝子の関与が大きく、家族内でほくろの数や分布が似る傾向があります。

紫外線曝露はメラノサイトを刺激し、色素産生を促進します。日焼けを繰り返すことで新たなほくろが出現したり、既存のほくろが濃くなったりすることがあります。幼少期から思春期にかけての紫外線曝露は、生涯のほくろの数に影響を与えるとされます。白色人種では紫外線とほくろ・メラノーマの関連が強く示されていますが、日本人でも一定の関連があると考えられています。

遺伝的背景とほくろの発生

ほくろの数や大きさ、分布には遺伝的素因が関与します。多数のほくろを持つ家系では、子孫も多くのほくろを有する傾向があります。異形成母斑症候群と呼ばれる遺伝性疾患では、多数の異形成母斑が全身に出現し、メラノーマの発症リスクが高まります。この症候群はCDKN2A遺伝子などの変異と関連しており、家族内での発症が見られます。

先天性色素性母斑は出生時から存在し、大きさによって小型、中型、巨大型に分類されます。巨大先天性色素性母斑は発生頻度が低いものの、生涯にわたるメラノーマ発症リスクが数パーセント存在するため、定期的な経過観察や早期切除が検討されます。

遺伝的背景を持つ方は、特に注意深い皮膚の観察と定期的な専門医への相談が重要です。家族歴がある場合は、医師にその旨を伝えることが推奨されます。

環境要因とほくろの増加

紫外線は重要な環境因子であり、特にUVBはメラノサイトのDNAに損傷を与えます。日焼けによる急性の炎症反応は、メラノサイトの増殖を促し、ほくろの形成や既存病変の変化を引き起こす可能性があります。屋外活動が多い職業やレジャーで長時間日光に曝される方は、ほくろの数が増加する傾向があります。

ホルモンの変動もほくろに影響します。妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンの増加により、ほくろが濃くなったり大きくなったりすることがあります。経口避妊薬の使用でも同様の変化が報告されています。これらの変化は多くの場合、出産後やホルモン剤の中止後に元に戻りますが、一部は持続することもあります。

まとめ

ほくろは日常的に目にする皮膚病変ですが、時に悪性黒色腫であることがあります。形状の非対称性、辺縁の不整、色調の不均一、直径の増大、経時的変化といった特徴を持つ場合は、早期に皮膚科を受診することが重要です。

メラノーマは早期発見により治療の選択肢が広がり、予後の改善が期待できます。日常的な皮膚の観察を習慣化し、異常があれば自己判断せずに専門医の診察を受けることが大切です。

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