ほくろががんになる確率は?悪性化のリスク因子と早期発見のためのABCDEルール

ほくろが悪性化してメラノーマに変わる確率は非常に低いものの、特定の条件下ではリスクがやや高まることが知られています。先天性の巨大色素性母斑や慢性的な刺激を受ける部位のほくろ、免疫抑制状態にある方では注意が必要です。既存のほくろに形や色、大きさの変化が現れた場合は、ABCDEルールを参考にしながら早めに専門医の診察を受けることが重要です。

監修医師:
高藤 円香(医師)
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ほくろががんになる可能性
ほくろが悪性化してメラノーマに変化する確率は非常に低く、大半の場合は生涯にわたり良性のままです。しかし、特定の条件下では悪性転化のリスクがやや高まることが知られています。
悪性転化のリスク因子
先天性の巨大色素性母斑は出生時から存在し、直径が20cmを超えるものは生涯にわたるメラノーマ発症リスクが数パーセントとされます。このような母斑は早期に切除を検討する場合もありますが、大きさや部位によっては段階的な切除や経過観察を選択することもあります。治療方針は個々の状況に応じて専門医と相談のうえで決定されます。
後天性のほくろであっても、慢性的な刺激や外傷を繰り返す部位に生じたものは注意が必要です。紫外線曝露は欧米人におけるメラノーマの主要因ですが、日本人でも過度の日焼けや紫外線による皮膚ダメージが蓄積すると、メラノサイトの遺伝子変異を促進する可能性があります。
免疫抑制状態にある方や臓器移植後の患者さんも、メラノーマを含む皮膚がんの発症リスクが高まることが報告されています。これらの方は特に定期的な皮膚科受診を心がけることが重要です。
観察と受診のタイミング
既存のほくろが変化し始めた場合は、速やかに皮膚科を受診することが重要です。変化の兆候としては、形の非対称性、辺縁の不整、色調の不均一、直径の増大、表面性状の変化などが挙げられます。これらは「ABCDEルール」としてまとめられ、国際的にメラノーマの早期発見に活用されています。
ABCDEルールとは、A(Asymmetry:非対称)、B(Border:辺縁不整)、C(Color:色調の多様性)、D(Diameter:直径6mm以上)、E(Evolving:経時的変化)の5項目を指します。これらの項目に当てはまる場合は、専門医による評価が必要です。ただし、これらの基準はあくまで目安であり、気になる変化があれば早めに相談することが望ましいでしょう。
まとめ
ほくろは日常的に目にする皮膚病変ですが、時に悪性黒色腫であることがあります。形状の非対称性、辺縁の不整、色調の不均一、直径の増大、経時的変化といった特徴を持つ場合は、早期に皮膚科を受診することが重要です。
メラノーマは早期発見により治療の選択肢が広がり、予後の改善が期待できます。日常的な皮膚の観察を習慣化し、異常があれば自己判断せずに専門医の診察を受けることが大切です。