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“ハム・ソーセージ”は危険? 腎臓を苦しめる「隠れ塩分」の罠とは【医師監修】

 公開日:2025/11/25
腎臓病患者さんにおける塩分管理の実際

腎臓病を抱える患者さんにとって、塩分管理は治療の根幹を成す重要な要素です。日常生活の中で実践可能な具体的な方法を理解し、継続することが腎機能保護につながります。ここでは、病期別の塩分制限目標から、腎臓病食における減塩の工夫まで詳しく解説します。タンパク質やカリウム、リンの制限も必要となる場合の総合的な栄養管理についても触れ、宅配食サービスの活用など継続的な食事管理の助けとなる情報を紹介します。

本多 洋介

監修医師
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

腎臓病患者さんにおける塩分管理の実際

腎臓病を抱える患者さんにとって、塩分管理は治療の根幹を成す重要な要素です。日常生活の中で実践可能な具体的な方法を理解し、継続することが腎機能保護につながります。

病期別の塩分制限目標

慢性腎臓病はステージ1から5まで分類され、各ステージによって推奨される塩分摂取量が異なります。ステージ1〜2の早期では、1日6g未満が目標となり、一般的な高血圧の管理と同等の制限が推奨されます。ステージ3以降では、1日3〜6g未満とより厳格な制限が必要になる場合があります。 透析を受けている患者さんでは、血液透析の場合は1日6g未満、腹膜透析の場合は透析液からのナトリウム除去量を考慮して個別に設定されます。透析間の体重増加を適切な範囲に保つためにも、塩分と水分の管理は一体的に行う必要があります。 腎移植を受けた患者さんでも、移植腎を保護し、免疫抑制薬による高血圧を予防するために、継続的な塩分制限が推奨されます。移植後の生活では、感染予防や薬剤管理とともに、食事管理も重要な自己管理項目となります。

腎臓病食における減塩の工夫

腎臓病の食事療法では、塩分制限に加えてタンパク質やカリウム、リンの制限も求められることがあり、食事の満足度を保つことが課題となります。香辛料や酸味を活用し、視覚的な彩りを工夫することで、薄味でも満足感のある食事を実現できる場合があります。 調理の際には、食材に含まれる塩分にも注意が必要です。加工品や練り製品、ハムやソーセージなどには予想以上の塩分が含まれています。新鮮な肉や魚、野菜を中心とした食事構成にすることで、添加塩分を減らすことができます。 外食や中食を利用する際には、事前に栄養成分情報を確認し、塩分量の少ないメニューを選択しましょう。一部の宅配食サービスでは、腎臓病患者さん向けの栄養計算された食事を提供しているところもあり、栄養管理の負担を軽減する手段として活用できます。こうしたサービスの利用も、継続的な食事管理の助けとなるでしょう。

まとめ

塩分摂取と健康リスクの関係性について、摂取量の目安から、むくみ・高血圧・腎臓病・脳梗塞といった具体的な疾患との関連まで解説しました。日本人の平均塩分摂取量は目標値を大きく上回っており、これが循環器疾患や腎疾患の発症リスクを高める要因の一つとなっています。適切な減塩は、これらの疾患の予防と進行抑制に効果をもたらす可能性があります。日常生活での工夫を積み重ね、継続的に実践することが重要です。段階的な減塩、調味料の工夫、加工食品の選択、家庭血圧の測定など、できることから始めましょう。 症状や不安がある方、既に疾患をお持ちの方は、早めに専門医療機関を受診し、個別の状況に応じた指導を受けることをおすすめします。医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った塩分管理の方法を見つけることが、長期的な健康維持への第一歩となります。

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