「高血圧の改善」はまず”減塩”から。家庭でできる対策を医師に聞く
公開日:2025/11/24

高血圧の予防および治療において、塩分制限は非薬物療法の中核を成します。具体的な実践方法と、継続するためのポイントを理解することが重要です。ここでは、急激な減塩による挫折を避けるための段階的な進め方を解説します。味覚の適応期間を乗り越えることが長期的な成功の鍵となります。日本高血圧学会が推奨する目標値や、家庭血圧測定の活用方法についても詳しく紹介します。

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)
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群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。
高血圧の予防と管理における塩分制限
高血圧の予防および治療において、塩分制限は非薬物療法の中核を成します。具体的な実践方法と、継続するためのポイントを理解することが重要です。段階的な減塩の進め方
急激に塩分を減らすと食事の満足度が低下し、継続が困難になります。そのため、段階的に減塩を進めることが推奨されます。まず現在の塩分摂取量を把握し、目標値との差を確認しましょう。尿中ナトリウム排泄量を測定することで、おおよその摂取量を推定することができます。 初期の段階では、味付けを薄くするのではなく、食材そのものの味を楽しむことを意識します。新鮮な野菜や魚を使い、素材の旨味を活かした調理法を取り入れましょう。次に、調味料の種類と使用量を見直します。減塩タイプの調味料を活用し、計量スプーンで正確に量ることで、使用量を可視化できます。 味覚は2〜3週間程度で適応すると言われています。徐々に薄味に慣れることで、以前の濃い味付けが不快に感じられるようになる場合があります。この適応期間を乗り越えることが、長期的な減塩成功の鍵となります。高血圧患者さんの具体的な塩分目標
日本高血圧学会は、高血圧患者さんに対して1日6g未満の塩分摂取を推奨しています。この目標を達成するためには、1食あたり2g以下に抑える必要があります。朝食で1.5g、昼食で2.0g、夕食で2.0g、間食や飲料で0.5gといった配分が一つの目安となります。 既に降圧薬を服用している方でも、減塩によって薬の効果が高まり、薬剤の減量や中止につながる可能性があります。ただし、薬の調整は必ず医師と相談しながら行う必要があります。自己判断での服薬中止は、急激な血圧上昇を招く危険性があるため避けましょう。 家庭血圧の測定を習慣化し、減塩の効果を数値で確認することもモチベーション維持に役立ちます。朝と夜の決まった時間に測定し、記録をつけることで、塩分摂取と血圧の関係性を実感できる場合があります。測定結果は診察時に医師に提示し、治療方針の参考にしてもらいましょう。まとめ
塩分摂取と健康リスクの関係性について、摂取量の目安から、むくみ・高血圧・腎臓病・脳梗塞といった具体的な疾患との関連まで解説しました。日本人の平均塩分摂取量は目標値を大きく上回っており、これが循環器疾患や腎疾患の発症リスクを高める要因の一つとなっています。適切な減塩は、これらの疾患の予防と進行抑制に効果をもたらす可能性があります。日常生活での工夫を積み重ね、継続的に実践することが重要です。段階的な減塩、調味料の工夫、加工食品の選択、家庭血圧の測定など、できることから始めましょう。 症状や不安がある方、既に疾患をお持ちの方は、早めに専門医療機関を受診し、個別の状況に応じた指導を受けることをおすすめします。医師や管理栄養士と相談しながら、自分に合った塩分管理の方法を見つけることが、長期的な健康維持への第一歩となります。参考文献